米国のチップベンダー AMD が、LibreOffice の開発母体である The Document Foundation(TDF) の顧問役員(アドバイザリーボード)となった。AMD は LibreOffice の表計算ソフト「Calc」のパフォーマンス向上に協力するという。今回計画されている Calc コードの書き直しは、2010年に LibreOffice が OpenOffice から分裂して以来、最大規模のものとなる見込みだ。

LibreOffice、表計算ソフト「Calc」のコードを全面的に見直しへ ― AMD が協力
The Document Foundation による LibreOffice

LibreOffice 開発者であり、SUSE エンジニアである Michael Meeks 氏は InternetNews.com に対し、「Calc では現在、非常に大規模なソースコードの書き直しが行われている」と説明した。

Calc 書き直し作業は、一部は LibreOffice 4.1 にも反映される。だが利用者がその恩恵を本格的に受けられるようになるのは、LibreOffice 4.2 以降となるようだ。

書き直し作業のうち、AMD が貢献するのは、GPU の利用に関するものだ。Meeks 氏は次のように説明する。

「GPU には非常に多くのトランジスタが搭載されている。だがビジネスアプリが稼働している間、それらは全く何もしていない。我々は、GPU のトランジスタを、Calc でも活用したいと考えた」

計画では、現在 AMD が取り組んでいる異種混合システムアーキテクチャ(Heterogeneous System Architecture:HSA)の活用も目指している。

「これまでの GPU の利用では、我々は GPU にフォーカスし、タスクを GPU に特化したピースに分割しなければなからなかった。HSA の世界では、開発者は GPU の利用でタスクをいじる必要はなく、単に GPU にタスクを送り込むだけで良い」

Meeks 氏は、HSA は CPU と GPU の機能を1つのチップに集積した Accelerated Processing Unit(APU)チップで特に有効であると述べている。

Calc のパフォーマンスは、どの程度改善されるのか

Calc のパフォーマンスがどの程度改善されるのか、現時点ではわからない。だが Meeks 氏は、Calc のパフォーマンス向上は、"驚くべきもの"になると考えているようだ。

「これまでの Cals は世界最速の表計算ソフトではなく、Calc の大規模な書き直しは長年の懸案となっていた。Calc が生まれ変わるために必要なリソースを得られたのは、素晴らしいことだ」

Meeks 氏によれば、Calc の書き直しは、LibreOffice が OpenOffice から分裂する以前からロードマップにあったものだったという。Meeks 氏は、Calc コードの基本構造は、パフォーマンスを意識して設計されたものではないと述べた。

「Calc は、20年前のオブジェクト指向をベースに設計されている。当時の開発者は、セルは1つのオブジェクトであるべきだと考えていたのだ。だがこの設計は、処理を効率的に行う際に、多くの問題を引き起こしていた」

Calc のコードは現在、古い構造を排除して、現代的な、パフォーマンス指向のアプローチで書き直されている。また、Calc の開発者は、大規模なユニットテストも導入する。

「悲しいことに、これまで Calc に対するユニットテストは実施されていなかった。LibreOffice が取り組んでいることの1つに、ユニットテストの構築がある。これにより、我々は製品リリース時に、LibreOffice が動作することに自信を持てるようになるだろう」