2013年3つ目となる Linux カーネルのメジャーアップデートが公開された。Linux 3.10 は、4月30日に登場した Linux 3.9 からわずか2か月後のリリースとなった。

Linus Torvalds 氏は、リリースメッセージに次のように書いている。

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「広い視点に立って見れば、このリリースは典型的なもので、特別な問題を抱えてはいない。リリース日について、私の判断がはっきりしなかったことを除けばだが。いつも通り、バグ修正の大半は、ドライバーに関するものだ(全体の3分の2を占めている)。残りは、アーキテクチャのアップデートと、その他雑多なものだ。今回は、細かい新機能が追加されてはいるが、大きな新しいサブシステムなどはない」

SSD キャッシング

Linux 3.9 カーネルの公開時も、SSD はその目玉だった。Linux 3.10 カーネルでは、Google の Linux カーネル開発者である Kent Overstreet 氏が、ブロックレイヤーキャッシュ技術である「bcache」を導入している。Overstreet 氏は、コミットメッセージに次のように書いている。

「bcache は、ライトスルーとライトバックの両キャッシュ方式をサポートし、アンクリーンシャットダウンの取り扱いに対応している。その他、実際の運用で必要とされる、ちょっとした多くの機能が搭載されている」

マルチタスク


マルチタスク機能の向上は、何年もの間 Linux 開発の焦点となっていた。例えば、2007年に登場した Linux 2.6.33 カーネルでは、「Completely Fair Scheduler(CFS)」と呼ばれるタスクスケジューラが搭載されている。

Linux 3.10 では、「Timer Free Multitasking」と呼ばれる機構が追加された。

現時点での実装では、完全にタイマー非依存になったわけではない。だが、Torvalds 氏によれば、この新機構は、特定のワークロードにおいては最大で1%パフォーマンスを向上できるという。

TCP 最適化

Linux はネットワークベンダーで広く採用されているため、TCP スタックの改善も Linux 開発の焦点であり続けている。Linux 3.10 では、IETF Tail Loss Probe(TLP)アルゴリズムが実装された。IETF 技術仕様ドラフトでは、TLP を次のように説明している。

「再送信タイムアウトは、特に短いトランザクションで、アプリケーションのレイテンシに悪影響を与える。≪中略≫ 再送信タイムアウトの主たる原因は、トランザクションの終了処理で、セグメントの一部が失われることにある」

Google の Linux kernel 開発者 Nandita Dukkipati 氏は、TLP の目指すところは、短いトランザクションにおける終了処理でのレイテンシを削減することだと述べている。TLP は、トランザクション終了処理時のロスによる再送信タイムアウト(RTO)を高速リカバリすることで、これを実現する。

Sean Michael Kerner
Sean Michael Kerner は、InternetNews.com の主任編集者。
(この記事は、7月1日付け英文記事の抄訳です)