米国 Adobe の最高技術責任者(CTO)である Kevin Lynch 氏が、米国 Apple に移籍することになった。Apple は Flash 技術に対して批判を続けてきた企業。このため、業界関係者の多くはこのニュースに驚いている。

All Things D はこの件を次のように伝えた。

「Adobe の CTO であり、Flash 技術の推進者であった Kevin Lynch 氏が、Flash に対して最も批判的だった企業に移籍することになった。Lynch 氏は3月18日に辞意を表明、『新たな可能性を追求したい』と述べた」

Reuters は、Lynch 氏が Apple の技術担当 VP に就任する見込みであることを伝えている。

「Lynch 氏は2005年、Adobe による Macromedia の買収にともない Adobe に参加した。Apple が火曜日に発表したところによれば、Lynch 氏は Apple の技術担当上級 VP である Bob Mansfield 氏直属の技術担当 VP に就任し、Apple のワイヤレスおよび半導体チームを率いることになるという」

Bloomberg は、Flash を巡る Adobe と Apple の衝突をまとめている。 

「Lynch 氏の Adobe 在任期間中、Apple と Adobe は、Flash の Apple デバイスでの使用を巡って衝突を繰り返してきた。Apple の共同創業者である Steve Jobs 氏は、Flash はモバイルコンピューティングに適さないと述べ、iPhone/iPad から Flash を締めだした。Lynch 氏は当時、Flash の締めだしでしわ寄せを受けるのは、Apple の顧客だと主張していた。だが、Adobe や他企業がモバイルデバイスでのビデオ表示技術として、Web 標準である HTML5 を採用し始めて以降、この論争は下火となっていった」

The Mac Observer は、今回の採用は、Apple CEO である Tim Cook 氏の採用手腕が問われるものになると述べている。

「今回の採用は、Tim Cook 氏の採用手腕を試すものともなるだろう。Cook 氏は昨年1月、John Browett 氏をスカウトしたが、Browett 氏は10月には Apple を去っている。もしまた Lynch 氏が Apple を早い時期に去ることになれば、Cook 氏が採用下手という印象は決定的なものとなるかもしれない。とはいうものの、Lynch 氏が Apple 経営陣内で良い働きをする可能性は高い。どちらにせよ、Lynch 氏の Flash にまつわる経歴のため、今回の採用がうまくいくのか、それとも Browett 氏のときの再現となるのかについては、多くの人の関心を集めるものとなるだろう」