2012年は、Mozilla Firefox プロジェクトにとって最も忙しい1年だった。Firefox の高速リリースサイクルが2011年にスタートした後、米国 Mozilla が初めて迎えた1年だったからだ。私は当初、この新たな取り組みはうまくいかないだろうと見ていた。だが2012年が終わり、Mozilla はこの高速リリースシステムが非常にうまく機能していることを証明してみせた。

2012年、Mozilla は Firefox のメジャーバージョンを7つもリリースしている。

Firefox 10

2012年の最初の Firefox リリースは、1月下旬に発表された Firefox 10だった。私にとってこのリリースで追加された最も興味深い機能は「調査ツール」。このツールのおかげで「ページのソースを表示」を利用しなくても済むケースが増えた。

Firefox 10 は、企業向けの延長サポート(Extended Support Release:ESR)版のベースになっている点でも重要だ。2012年を通じて、 Firefox 10 ESR には複数のセキュリティアップデートがリリースされたが、その互換性は維持された。

Firefox 11

Firefox 11 は3月にリリースされ、多くの開発者向け機能が追加された。中でも 3D ビューは未だに私を驚かせるものだ。

Firefox 12

Firefox 12 は4月にリリースされ、Firefox 新時代の幕開けとなった。Firefox 12 ではサイレントアップデートが採用され、利用者が何もしなくても自動的に最新版にアップデートされるようになったのだ。

Firefox 13

Firefox 13 は6月にリリースされ、ここで Mozilla はやっと「新しいタブ」機能の提供を開始した。これは Firefox で新しいタブを開いたときに、ブラウザ画面にブランクページではなく、よくアクセスする Web サイトがタイル状に表示されるというもの。Google Chrome や Safari ではすでに何年も前から提供されていた機能だ。Firefox 13 はまた、SPDY プロトコルを採用して Web 接続をより高速にしている。

Firefox 14

7月、Firefox 14 がリリースされた。このリリースでは、SSL 暗号化を使用した安全な Google 検索を提供している。

このリリースでは、サイト識別情報のデザインも変更された。これにより、Firefox 利用者は HTTP、SSL、EV SSL のどれで接続しているのか、簡単に識別できるようになった。

Firefox 15

Firefox 15 は8月にリリースされた。このバージョンでの主な改善点は、ブラウザのパフォーマンス向上。リリース時点で Mozilla は、Firefox 15 は Firefox 14 よりもメモリ効率が4.8倍向上していると述べていた。

Firefox 16

Firefox 16 は10月にリリース。そのフォーカスは再び開発者へと移され、新たな開発者向けツールが提供された。

Firefox 17

2012年最後のリリースとなったのが11月に公開された Firefox 17。このリリースでは、2012年に公開された Firefox の中で最も多くの利用者向け機能が追加されている。その中でも注目すべきは Social API。これは、Firefox に SNS サービスを統合するものだった。

2012年、Mozilla はこれだけ多くのバージョンの Firefox をリリースした。高速リリースの開始以前にリリースされる Firefox のバージョンが年間に1つか2つだったことを思えば、2012年が Mozilla にとって如何に忙しい1年だったかは想像に難くないだろう。

高速リリースサイクルの採用には確かに多くのデメリットがあった。だがこの1年の Firefox のパフォーマンスの向上、より多くの標準の採用、開発者向け機能の充実を考えれば、そのメリットはデメリットを上回っているのではないだろうか?

2013年、Mozilla は1月第2週(日本時間1月8日深夜)に Firefox 18 のリリースを予定している。Mozilla はそのイノベーションのスピードを落とすつもりはまったくないようだ。