ここ数年、Google が何者なのかを理解するのは困難になっていた。検索エンジン企業としてスタートした Google は、やがてオンライン広告の最大手となり、メディア配信企業となり、モバイルプラットフォーム(Android OS)を提供する企業にもなった。

Google はある時点から「IT 企業」というカテゴリーから飛び出し、自動操縦できる自動車や AR 技術を利用したサングラスの開発まで手がけ始めている。

Google とは、現代における Walt Disney である
Google による自動操縦車

Google とは一体何者なのだろうか?

私はやっとその答えを見つけることができた。Google とは現代における Walt Disney 氏だったのだ。

実験未来都市 EPCOT(Experimental Prototype Community of Tomorrow)

1960年代の初頭、米国がまだ科学技術が世界の諸問題を解決可能だと信じていた時代に Walt Disney 氏は驚くべきビジョンを打ち出した。それが、実験未来都市「EPCOT」(Experimental Prototype Community of Tomorrow)だ。

そのコンセプトは、実験的な未来都市を作り、そこで新しいアイディアを試験運用し、そのアイディアに基づいた新製品の雛形を他の企業に提供しようというものだった(現在米国のフロリダにあるディズニーワールドの EPCOT は、Disney 氏のビジョンとはかなり異なったものとなっている点には注意されたい)。

Disney 氏は次のように述べている。

「EPCOT は、米国産業界の最前線にある新しいアイディアや技術からヒントを得る場となる。EPCOT は決して完成することのない未来のコミュニティーだ。常に新しい製品やシステムを人々に紹介し、コミュニティーで実地にテストし、それがどう役に立つかを示していく」

Google はこれと同じことをしている。違っているのは、Disney 氏が実験都市をフロリダ州の沼地に建設しようとしたのに対し、Google はそれをグローバルに展開しているという点だ。

例を示そう。Google は「Google Fiber for Communities」というプロジェクトを実施している。これは、ある街で超高速ブロードバンドが実現したら、そこで何が起こるのかを調べる実験だ。Google は先週、このブロードバンドサービスを開始した。すると突然、米国 Kansas 州 Kansas City の人たちは、米国で最も速いインターネット接続を享受できるようになったのだ。その回線速度は上り下りともに700Mbps。Google はこのサービスを、初期設置費用なしの月額70ドルで提供している。

では、Google はインターネットサービスプロバイダー(ISP)になりたかったのだろうか?そうではない。Google Fiber は、Disney 氏による EPCOT と全く同じ目的で行われた実験なのだ。Google は新しいシステムを Kansas City でテストし、他の企業に対して新たなサービスの雛形を示したかっただけなのだ。

もし、これを読まれた方が Kansas City を羨ましいと思ったなら、また、他の ISP がこれに刺激を受けて高速で安価なシステムの提供を始めたなら、Google の実験は成功したことになる。

同じことは他のすべての Google プロジェクトに対して言える。Android もそうだ。Google はこの OS を携帯電話メーカーに無償で提供している。Google の目的は、Android OS で利益を出すことではない。モバイルデバイスの世界におけるイノベーションを促進させることにある。

もし Google が街を作ったら?

もし Google が 街を作ったらどうなるだろうか? Google がこれまでに開発してきた製品や、Google ラボでの実験から Google の理想の街「Googletopia」を想像してみよう。

Googletopia では、インターネット接続は超高速なものになるだろう。Wi-Fi 接続は街を完全にカバーし、どこにいても接続が途切れることはないため、電話回線や携帯電話サービスさえ不要になる。この街にはケーブルテレビ企業も存在しない。すべての映画やテレビ番組、音楽ビデオ、書籍、雑誌などはすべて、誰でも、いつでも、どんなデバイスからも、インターネット経由でアクセス可能になる。

すべてのメガネやサングラスは、カメラと音声アシスタントを備えたウェアラブルコンピューターとなる。住人は音声アシスタントを使って、レストランを予約したり、エアコンのスイッチを入れたり、家族に誕生日のプレゼントを送ったりできる。サングラスは道案内もしてくれるので、街中で道に迷うことはない。街を歩いていて出会う、知らないものや知らない人の情報もすぐに入手可能になるだろう。

Googletopia を走る自動車は、すべて自動操縦車となる。住人はもはやハンドルを握る必要はない。自動車通勤をしながら、社内でゲームをしたり、映画を見たりしていればよい。

Google とは、現代における Walt Disney である

家の中やオフィスには巨大なスクリーンがあり、遠く離れた人と、まるでその人が目の前にいるかのように会話ができるようになるだろう。

Google と Walt Disney 氏の違いとは?


これらの技術の多くは、すでに Google によって実現可能な状態に近づいているものばかりだ。どの製品もそう遠くない将来、Google から世界に向けて広められていくことだろう。

そう、ここが Google と Disney 氏の重要な違いだ。EPCOT は観光に訪れるには良い場所だ。だが、Google は世界中を Google の理想郷「Googletopia」にしようとしている。

Google と Apple は、なぜ敵同士になってしまったのか
Mike Elgan は、Elgan Media の CEO。internet.com の他、Computerworld、Cult of Mac などの IT 関連メディアに寄稿している。