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なぜ Google は自動操縦車を開発しているのか?

Mike Elgan
2011年11月18日 / 17:40
 
 
 
世界最大の検索エンジン企業が、自動操縦車を作る自動車メーカーになろうとしている。Google はまた、宇宙エレベーターやデータ収集ロボットも作るつもりだ。
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Google が開発中の自動操縦車

New York Times は今週、Google がシリコンバレーに「Google X」と呼ばれる秘密研究所を持っているというニュースを伝えた。そこでは、上に書いたプロジェクトだけではなく、さらに多くのプロジェクトが研究開発されている。

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インテリジェント LED
プロジェクトの中には、技術的にすぐにでも実現可能なものもある。たとえば、インターネット接続の冷蔵庫だ。牛乳が少なくなったことを自動検知し、通販で発注してくれる。インターネット接続のディナープレートもある。これは、あなたが食べているものを自動的に Google+ に投稿し、仲間に知らせてくれる。
 
 


Google は今年5月 Google X から生まれた製品として 「インテリジェント LED 」を公表済みだ。Android スマートフォンを利用して外出先から自宅の明かりを点灯/消灯できる。
 

これらは、実現可能なプロジェクトの例だ。だが、Google X で取り組んでいるプロジェクトのほとんどは、興味深くはあるが、突飛なものばかり。当然、疑問もわいてくる。Google は本当に自動車会社になるつもりなのか?インターネット企業が、宇宙開発プログラムに関わる必然性はあるのか?

なぜ Google X は「宇宙開発プログラム」に例えられるのか


現実的に考えて、Google がデトロイトに殴り込みをかけ、工場を建設し、ロボットのようなプリウスを製造するとは思えない。

私は、これらのプロジェクトを推し進めているものは、Google の持つ企業文化だと考える。

Google は、イノベーションが、別の発明への取り組みの副産物として生まれることがあると知っているのだ。新しい真空管を作ろうと取り組んだ結果、電子レンジが発明されてしまった、などがその例だ。

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似たようなことはインターネットビジネスの世界でも起きる。例をあげよう。Podcast サービスを提供する会社が、放送の感想をユーザー間で共有できるようにと片手間で取り組んだ小さなプロジェクトがあった。後にそれは Podcast よりも重要なサービスに化けた。「Twitter」と呼ばれるサービスだ。
 


Google が自動車メーカーになることはないだろう。だが、自動操縦車の開発をすることで、なにか面白い技術が生み出されてくる可能性はある、ということだ。

実際、自動操縦車の技術は、様々な分野に応用が可能だ。たとえば、地図の精度向上や携帯電話の位置特定などだ。道路状況の改善や、人間型ロボットの自発的行動に利用できるものもあるかもしれない。

Google による自動操縦車のテスト映像
(日本語字幕付き)

どんな収穫があるかは誰にもわからない。おそらくは Google にもわかってはいない。だが、自動操縦車を作るという大きな目標を立てることは、それに向けて解決すべき膨大な数の課題リストを1つずつ潰していく作業にフォーカスすることだ。そこに意味がある。

この意味で、 Google X プロジェクトはかつて合衆国が挑んだ宇宙開発プログラムに例えることができる。月に人類を着陸させ、そこから連れ戻すために必要とされる無数の課題を解決する中で、アポロ計画は数々のイノベーションを生み出した。医療、食品加工、家の断熱材、浄水設備、スポーツトレーニング、動力工具。「テンピュール」と呼ばれる枕までが、宇宙開発プログラムの副産物なのだ。


なぜ、Google X は Google のコアコンピタンスなのか



「検索エンジン」と「ロボットカー」の開発に共通点はあるだろうか。答えは、「すべてが共通している」だ。

Google のコアコンピタンス(競合他社に真似できない核となる能力)は、大量のデータセットを意味のある何かに変換するアルゴリズムの構築能力にある。

では、この能力で何ができるのだろう?答えは、「何でもできる」だ。

そう、Google が作るアルゴリズムがあれば、世界で最も優れたインターネット検索エンジンを維持し、発展させることができる。アルゴリズムがあれば、スパムメールをフィルタリングすることもできる。ユーザーの行動を分析して、効率の高い広告を出すことができる。そして、自動操縦車を製作できる。これらは、突き詰めて考えれば、すべて同じスキルセットだ。応用の仕方が違うだけだ。

こう書くと、物事を単純化し過ぎてると言われるかもしれない。だが。少々いかれたようにしか見えない Google X プロジェクトに共通する特質を探していけば、そこに辿り着く。

個人的に、私は Google X の存在をうれしく思っている。できれば、より多くの企業がこの種の非現実的な研究に取り組んで欲しいと思う。

1960年代、合衆国は大きな野心を持ち、人間を月へと送り込むことを決意した。そしてそれを実現した。その結果、他の誰にも為し得なかった偉業を達成しただけでなく、誰も予測できなかったほどの膨大な数の技術的革新を手にしたのだ。

そしていま、Google は独自の「宇宙開発プログラム」を持つ企業となった。大きな野心を持ち、高い目標を目指すことで、多くのイノベーションを手にしようとしている。

次に人類が月に向かうとき。そのとき、私たちはロケットではなく、エレベーターを使うことになるのだろう。
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月と地球を繋ぐスペースエレベーターのイメージ
(出典:SpaceRef Interactive Inc.)
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