Technology

テクノロジー

Web サイトの品質を「見える化」する方法を考える

ループス・コミュニケーションズ 取締役副社長 福田浩至
2009年9月8日 / 12:10
 
 
本稿では、Web サイトの品質を「見える化」する手法について紹介する。「どのような Web サイトが品質が良いといえるか?」と関係者に聞けば、

エンジニア:「セキュリティーホールがない」、「バグが少ない」
Web ディレクター:「導線が分かりやすい」、「文字が見やすい」
経営者:「投資対効果が予想通り/あるいは予想以上」

と立場により、違った答えが得られるだろう。こんな中、サイトの改善計画を策定するには、ステークホルダーでの共通の指標を設けることが望ましい。

品質管理を得意分野とするソリューションベンダ、ヒューマンクレスト社では、「品質の良いサイト=利用者であるお客さまが IT サービスを継続的に長く利用していただくこと」、と定義づけ、ISO9241-11の定義に SEO や LPO の視点を加えた、Web サイトの評価指標を策定している。
品質 評価要素分解
品質 評価要素分解
*クリックして拡大

その指標をチェックする PDCA サイクルを確立することで、Web サイトの品質向上を図ることを提案している。Web サイトの品質を向上させる一つの手法として参考にされたい。

指標は以下のように ISO9241-11の評価要素を元に Web サイト向けに細分化されている。

(1)有効性
・信頼の視点(サイトへの信頼性および完全性がみたされていること)
サイト運営情報の公開(運営組織、利用環境の定義、お問い合わせ先の明示など)、情報セキュリティの配慮(個人情報保護に関する記載、お問い合わせフォームの SSL 化、脆弱性の診断実施など)

・到達の視点(必要な情報が存在し、その情報に到達でき、正しく表示されることなど)
目的ページへの到達(頻度の高い問合せの回答、導線の整理、サイト内検索の実装など)、正しい遷移、表示(リンク切れの根絶など)

・正確の視点(情報が正確でかつ正しく表記できていること)
正しい情報(掲載内容の更新、著作権を有するデータの管理方法と掲載方法、用語の統一、表現の一貫性など)

(2)効率性
・理解の視点(分かりやすく、見やすいこと)
ナビゲーション位置サイト構成の標準化、リンクテキストの表示方法と告知方法の妥当性、サイトの階層整理、分かりやすい言葉や表現、色の統一性、文字と背景のコントラストなど)

・操作の視点(操作がストレスなく正しく行えること)
パン屑リストの表示、入力フォームの入力項目と初期時、入力補助、入力フォームの画面遷移、ヘルプの整備、レスポンス、待ち時間の表示方法など

・検索の視点(サイト内の情報が正しく検索できること)
サイト内検索機能の提供、検索キーワードと検索結果の正当性など

(3)満足度
・利用者の行動の視点(ログや利用者などの定量的数値により評価を行う)
サイトの閲覧状況について(直帰率や滞在時間など)、サイトの利用状況について(会員数におけるサイトの利用数、退会数など)

・利用者の声の視点(アンケートなどにより定性もしくは定量評価を行う)
コンタクトポイント(問い合わせフォーム/コールセンター/アンケート)からの要望、クレームの受付と対応・対策(フィードバック)など

「サイトの品質」は主体的に行動する作り手側の視点に囚われ、利用者視点を欠いたサイトづくりに偏ってしまう傾向がある。この点を配慮して、(3)満足度を評価するために、利用者の「行動」や「声」を評価項目に取り込むように工夫されている。

指標項目の選定や重み付けは、Web サイトごとに大きく異なる。国際標準 ISO9241-11はあくまでガイドラインであり、サイトの目的から導き出される「あるべき姿」をそれぞれのサイトの事情に応じて独自に定義することが必要になる。さらに重要なのは、指標ごとの定量的データを収集・分析することでユーザビリティ品質の「見える化」をして、品質改善の PDCA サイクルを軌道に乗せることだ。

“See”プロセスは、ステークホルダーの労力をかけずに客観的なチェックをルーチンワークで消化するシステムを組み込みたい。例えばコラム「ソフト開発の常識が変わる!『何百人が一斉にテスト、バグがなければタダ』という凄いサービス」でも紹介した「uTtest」も活用できる。

全世界のテスターに、例えば操作性の問題や誤字のチェックなどを見つけ出すことを依頼すれば、該当する指標を第三者に確認してもらうことも可能になる。

Web サイトの品質向上に役立つサービス・アイテムは世の中にあまた存在する。次稿より、ソーシャル Web の品質を高める様々なサービスやアイテムを紹介していく。

【当コラム執筆は、Looops Communications 副社長 福田浩至 (twitter アカウントはこちら)と、同社 岡村直人 (twitter アカウントはこちら)が担当しています。ご意見、コンタクトなどお気軽に twitter アカウントにどうぞ】

記事提供:株式会社 Looops Communications(ループス・コミュニケーションズ)
【関連記事】
Amazon EC2 体験記〜今日本でできること/できないこと(前編)
「何百人が一斉にテスト、バグがなければタダ」 驚きのテスティング・サービス uTest【体験編】
ソフト開発の常識が変わる!「何百人が一斉にテスト、バグがなければタダ」という凄いサービス
300ドルで84件のロゴデザインを Get!crowdSPRING を使ってみた。(後編)
クラウドソーシングサイト「crowdSPRING」利用体験記。300ドルで84件のロゴデザインを GET!(前編)

New Topics