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ソフト開発の常識が変わる!「何百人が一斉にテスト、バグがなければタダ」という凄いサービス

ループス・コミュニケーションズ 取締役副社長 福田浩至
2009年6月9日 / 15:10
 
 
ソフトウェア開発において、不具合(バグ)との戦いは永遠のテーマだ。

ソフトウェアの機能を一定期間に完全にテストし、バグをゼロにすることは至難の業だ。とりわけオープンシステムでは、自らがコードを書いてない様々なプログラムを活用することが常であるから、テストの前提条件も複雑だ。

運用面を考えても、O’Reilly 氏が掲げた Web2.0の特長「永遠のベータバージョン」というコンセプトの通り、常にユーザーニーズに従い継続的に改善させていく時代だ。当然、テストも終わりがない。

ソフトウェアのテストでは、一部自動化ツールを活用することもできるが、一般的には労働集約型でテスターの人件費が重い負担となる。しかも期間限定で、数週間から数か月のテスト期間に集中するため、人材調整が難しい。また、経験の有無によりテスト品質も随分差がある。

テスト期間内だけ、スキルのあるテスター集団を組織化できることが望ましい。しかも、リーズナブルな成果報酬(バグ1件あたりいくら)であれば言うことはない。

そんな悩みを持つあなたに朗報をお届けしたい。

全世界150か国以上から参加する1万7,000人の専門テスター、バグあたり2,000円〜4,500円程度で、あなたの Web サイトやゲームソフトを一斉にテストしてくれるという、今まで存在しなかった仕組みをクラウドソーシングが実現しているのだ。

uTest」というサイトがそれである。

uTest
uTest

「uTest」は、Web ベースでテスト工程を管理する、品質管理プラットフォーム環境をオンデマンドで提供している。この管理ツールは、テストスクリプト作成、テスター選抜、品質管理のリアルタイム進捗、品質管理における予算管理、統計情報をベースにした出荷適正診断までをサポートし、Bugzilla、Jira、FogBugs などのバグ追跡システムと連係している。

費用は、まず最初に会員登録フィー等が月1,500ドル。それによりテスターコミュニティにアクセスすることができるようになる。この月額金額が、下に示すようなバグ単価と数に応じて使われてゆく。もし、その月のテストですべての金額を使い切らなければ、未使用分は翌日に繰り越される。

おおよその目安は次のようだ。

GUI バグ:20.00ドル
Technical バグ:32.00ドル
Functional バグ:45.00ドル
有益な提言:16.00ドル

テスターの多くは、インド、中国、ロシア、東欧などの人件費が日本よりはるかに安い国々である。

彼らの過去の作業結果はコミュニティで公開される。その業務経験やバグ発見能力で他者から評価を受け、その5段階評価により報酬が変動する仕組みになっている。有益な提言には別途報酬が用意されており、テスターのインセンティブがしっかり設計されているのが特長だ。また企業はテスターの実績やプロフィールを閲覧でき、優秀なテスターを選抜することも可能だ。

企業からの業務委託ではなく、「uTest」が主体となったバグバトルと呼ばれるコンテストが年に4回ほど開催されている。最新のバグバトル(2009年3月発表)では、メジャー SNS である「Facebook」「Myspace」「LinkedIn」の品質をテストした。

もっとも深刻なバグを発見した者は3,000ドルの賞金を獲得した。すでに数年の実績があるメジャーサービスで、それぞれ200を上回るバグが発見されたことは、彼らテスターの優秀性をアピールする良い機会だったといえる。またバグ発見以外に、各サービスの課題や印象などの提言も求められた。結果として、最も品質の高い SNS は「LinkedIn」、最も機能や使い勝手が優れているのは「Facebook」となった。

業績は公開されていないが、玉石混淆のクラウドソーシングサービスの中で高い成長を示していると言われている。実際に昨年12月、ベンチャー投資が冷え込んでいるこの時期に、メジャーベンチャーキャピタルや既存投資家から5Mドルを調達していることからも事業の順調さが類推される。

「Compete」という米国サイトのアクセス状況の推移を公開しているサイトでみるとこんな感じだ。

「uTest」のアクセス状況の推移
「uTest」のアクセス状況の推移

このサービスのすばらしさは、企業サイドに対する品質管理ソリューションという独自の付加価値と、テスターサイドに対するコミュニティと報酬制度だ。この2つの特長が、単純なマーケットプレースと一線を画するレベルの高いサービスレベルを形成している。

需要と供給のバランスで言えば、テスターサイドの応募が先行している。これは IT 系のクラウドソーシングサービス(前回紹介した「crowdSPRING」をはじめ、「oDesk」「Elance」「Guru」「RentACoder」等)に共通することであるが、開発途上国の技術者から見ると在宅で極めて高額な報酬を得られるため、特別な告知なしで希望者が集中し、技術者はすべてのサイトで順調に増加している。

集合知のメカニズムは「競争」(オープンコンペティション)だが、他者の業績を参考にしたり、コミュニティ内でアドバイス交流も可能なため「共創」の要素も含んでいる。

海外のローコストで優秀なマンパワーが、テストという人材コントロールの難しい業務にオンデマンドで活用できることがこのサイトの魅力だが、実は1万7,000人の登録テスターには日本人が数十名含まれている。この日本人テスターを利用すれば、日本語サイトでもこの画期的なテスティングサービスを、明日からでも試すことが可能なわけだ。

・日本人テスター数十人は本当に戦力になるのだろうか?
・バグ認定にあたって、テスターとの間にトラブルは起きないだろうか?
・テストの段取りやサイトの仕様をテスターはどうやって伝えるのだろうか?
・契約や支払いはどうなるのだろうか?
・取引にはどの程度の英語力が必要となるのだろうか?

百聞は一見にしかず。これらの疑問を解決すべく、当社では実際に「uTest」を利用し、日本語サイトのテストを依頼しクラウドソーシングサイトを体験してみた。「uTest」に確認したところ、日本での利用は初めての試みとのこと。

次回は、このペイパーバグを売りとするクラウドソーシングの体験談を紹介したい。

【当コラム執筆は、Looops Communications 取締役副社長の福田浩至が担当しています】

記事提供:株式会社 Looops Communications(ループス・コミュニケーションズ)
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