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mixi と2ちゃんねるに見る、未来の Web2.0 的仮想社会

平野正信
2006年6月1日 / 09:00
 
 
これまで何回かに分けて Web2.0 に関する話をしてきたが (「Web2.0、3.0 への飛躍」「Web は 2.0 で人工知能化する」「Web2.0 と Linux コモディティ」 )、 今回最後に Web2.0 を別の、社会文化的な側面から解説して、 終わりとする。

では Web2.0 によって、どういう変化が生じてくるだろうか。

■マトリックス的仮想社会の形成

ひとつは仮想社会の形成だ。

現実の世界では、 われわれ社会の構成メンバーは、 面と向かって対話したり、グループになったり、 コミュニティを形成していたりする。

Web2.0 はそれとまったく同じようなものを、 仮想的なインターネットの世界で作り上げるだろう。 いや、そういった世界は、 すでにできつつある。 mixi や2ちゃんねるがその萌芽だ。

映画の『マトリックス』のように、 仮想社会は現実とは別の世界でありながら、 現実の社会とまったく同じ構造をもっているのだ。 現実社会でも安全な場所と危険な場所があるように、 仮想社会でも、 安全な場所(サイト)と危険な場所(サイト)がある。 mixi などの招待制 SNS が広くユーザーに受け入れられたのは、 そういった安全を保障するフィルターが作動しているからだろう。

また、 現実社会ではニート(NEET:Not in Employment, Education or Training)と呼ばれる、ただ食事と睡眠の繰返ししかないように見える人々でも、 実は PC の画面に向かって仮想社会にひたすら没頭しており、 そこではスターになっている、ということもありうる。

仮想社会では匿名性が高いので、 失敗してもそのつどリセットでき、再度チャレンジできるから、 何度でもスターになれるチャンスがある。 彼らにとっては、 現実社会よりも仮想社会のほうが成功できる可能性が高いのだ。

インターネット上の仮想社会が百年ほど経過しないと実際のところはわからないが、 一生仮想社会でのみ生きることができるかもしれないし、 現実社会では悲惨な生活を送っているように見える人でも、 仮想社会では非常に幸せな人生を送ることができるかもしれない。

そういった仮想社会が今形成されつつある。 それが Web2.0 の魅力であり、 多くの人が Web に夢中になる理由だ。

■インターネットは現実より広い

もうひとつはコミュニケーションの量と質の変化だ。

現実世界のコミュニケーションでは、基本的にはまず言葉を発する。 それにジェスチャがついたり、その場の雰囲気の影響を受けたりもするが、 それに対する反応は量的に限界がある。 せいぜい見えている範囲での反応だ。 最大でも武道館程度だ。 アーチストにとって武道館での演奏がうれしいのは、 そこが最大の反応を得られる場所だ、と感じるからだろう。 それ以上はない。

ところがインターネットの世界はもっと広い。 膨大な答えが一気に返ってくるのだ。

■Web2.0 の結論は仮想社会文化

インターネットの仮想社会では、 ほとんど現実に起きていることと同じことを体験できる。 インターフェイスと社会の構成メンバーが違うだけだ。

文化となるには画面の中身、コンテンツが大事だ。 画面の外側は Linux でも Unix でも、Windows でもいい。Intel でも AMD でもいいのだ。 ブラウザも IE でも Firefox でも好きなのを使っていい。 Google が言っているように、問題はコンテンツだ。

さらに、人工知能も仮想社会の存在のひとつだろう。 現在でもオンラインブックストアのアマゾンで本を買うと、 こちらから尋ねたわけではないのに、 「この本を購入した方は、大体こちらの本にも興味があるようです」とか、 「あなたが興味を示しそうな本が出版されました」というメールが来る。 見ると、本当にほしい本だったりする。 どうしてわかったんだろう、と不思議になるが、 こういったシステムもまさに人工知能化のひとつだ。 これは先に説明した、メタデータ、セマンティックWeb、推論エンジンなどの機能で、呼び方は様々であるが、Google も力を入れてやっている。これこそがWeb2.0の真髄だ。

対話の相手が匿名の実体のある人間の場合もあるし、 N人で1人の振りをしている場合もある。 あるいは、人間ではなくて人工知能だったりする場合もある。

仮想社会を実現するための技術の総称が Web2.0 であり、 Web2.0 の結論は、 仮想社会が受け入れられ、ひとつの文化として形成されることだ。

■mixi と2ちゃんねる

mixi の受容には問題はないようだ。 なぜなら、招待制ということで、それなりにフィルターがかかっているからだ。 仮想社会の完成形は mixi 的なものということもありえる。

あるいは、2ちゃんねるも仮想社会のひとつの例だと言えるだろう。 サイトを初めて見たときは、混沌としたでたらめなサイトに見えた。 2ちゃんねるのユーザーは、スレッドを立ててむちゃくちゃな書込みをして、 ストレスを発散しているように思えたものだ。

しかし、サイト開設後時間が経過したせいだろうか、 今はまともなスレッドも多くなったし、それらの議論にも筋が通るようになった。 だめな書込みは自然にはじかれているのだ。 自分自身で読んでいても、いつのまにか自分の頭の中ではじいているので、読みやすくなった。仮想社会への適応が自分の中でも、知らないうちに始まっているようだ。

また、テーマごとにスレッドの流れとその完結がひとつひとつ見えるようになった。 これは非常に不思議だ。 不特定多数のユーザーが書き込んでいるはずなのに、 スレッドの流れがいつの間にか組織化されて、無意識の自浄作用が働いている。

まったく匿名で書込みができるところであるはずなのに、言葉遣いはひどいが、それなりの様式が存在している。書込みの中身も良識的なものに固まっているので、最近は読んでいてもあまり不愉快にならなくなった。 社会問題のスレッドでも、不思議なことにある種のコンセンサスがあるし、情勢を見通す力もある。

2ちゃんねるは mixi のように自分に都合のいい社会ではないが、 匿名であるからこそ、逆に本音を言えるので、本質的には正しい議論が行われていて、 人間の良心のようなものがむしろピュアに残っているような気がする。そこに希望があるかもしれない。

これもひとつの未来形だ。

未来形の仮想社会には、2ちゃんねるのように、人間の心の中のものがうまく取り出す仕組みも出てくるだろうし、mixi のように、ユーザーにとって都合のいい、あるいは理想的なものがさまざまに出現するだろう。

記事提供:OSDL(Open Source Development Labs)米国日本
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