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テクノロジー

Web2.0、3.0 への飛躍

平野正信
2006年2月3日 / 14:00
 
 
今回は Web 2.0 の話をしよう。

■Google の台頭が象徴する Web2.0

今 Google がすごい。 なぜすごいか。 それはおそらく業界全体が Google を、 新しい Web サービスビジネスモデルを成功させた象徴的な存在と見ているからだ。 Microsoft でさえ、明確に対抗馬として意識しはじめ、 Linux の影が薄くなってしまったほどだ。

Google の台頭もあって、 今後、クライアントサイドのユーザーインターフェイス(ブラウザ)が大きく変化する。

また、 Google が CES 2日目に行った基調講演で披露した100ドル PC だが、 Google はこれを1億台、 世界中の子供たちに配布して使ってもらうつもりだ、という。 それ自体が商品になるかどうかは別として、 この100ドル PC では OS はもう関係なく、ブラウザさえ動けばいいのだ。

クライアント側の OS はもうなんでもいい、 ということをはっきり認識すべきだろう。

Web2.0 とは、 Web の世界が新しい時代に突入するという程度の意味だ。 したがって、 Web1.0 という言い方はされていなかった。 最初に Web2.0 という言葉を使ったとされる、 O’Reilley でさえ、きちんと細かく定義したわけではない。

Google は創業当初、単なるサーチエンジンとして、 素直な発展を遂げていた。

ところが、ある時期から、 新しい人たちによって、 クライアントのニーズとサーバーのインフラ、そして新しいアプリケーションの開発がどんどん進行した。もちろん、 技術的にはいくつかの要素が前提となっているようだが、 むしろ、肌で感じられるほどの新しさを Web 2.0 という言葉で象徴したにすぎない。

重要なのは、Web2.0 という表現で新世代に入ったときに、 何が本当に変化するのかをきちんと把握することだ。

■企業システムから見た Web2.0

ここでは企業システムの例で Web2.0 のイメージを説明しよう。

今、Web の世界では、クライアントサイドは、すべてブラウザベースで操作される。 それを実現するために、 従来の基幹システムとは異なる技術が革新を遂げた。 新しい Web サービスの提供企業は、 その技術革新を後押しし、開発者や、 IT 企業の興味もすべてがそこにシフトしている。 その結果、ものすごい進化が起きる。

わかりやすい例を挙げると、 企業のシステムは、従来のサーバーとクライアント、 専用線による社内システムから、 インターネットを介したブラウザベースで、 社内、社外を問わず、アプリが動くシステムになるだろう。

そのようなアプリを維持・拡張していくためには、 従来の COBOL に象徴される言語から、 Java そして、PHP などのスクリプト言語による、 柔軟かつ迅速な開発手法に変化せざるを得ない。

COBOL ユーザーの象徴的存在だった日本の銀行システムでさえ、 スクリプト言語による開発部分の割合が急速に増えている。

今まで、企業ではホームページは作るけれども、 それは業務アプリとは別個のものだった。 ところが、 企業の業務用システム、基幹システムのクライアントが全部、 ブラウザベース、Web ベースになったらどうなるだろうか。

先も述べたとおり、従来の企業システムは専用線の世界で、 企業ユーザーは基幹システムを使用する際、 社内の端末から操作していた。 このインフラは20年間いや30年間ずっと変わらなかった。

インターネットブラウザ(Web)の登場で、 社内システムが大幅に変化する可能性が出てきた。 いや可能性の話ではなく、実際にそうなりつつあるのだが、 それこそがまさに、企業システムとして見た Web 2.0 の形なのだ。

企業のシステム担当者から見れば、それは Web2.0 どころの変革ではない。 Web 3.0 と一気にジャンプしてしまうほどの大きい変化だ。 今までの常識はすべて覆されてしまうだろう。 Microsoft があわてたのも当然だ。 Bill Gates は昨年10月に「Internet Software Services」と題したメモを、 幹部社員と直属の部下、上級エンジニアメールで送信している。

企業システムがすべてブラウザベースになると、 インターネット環境があればどこからでもアクセスできるようになる。 社内にいない営業マンが外からでもアクセスできる。 非常に便利だ。

端末側も非常に軽くなってくる。 インターネットにアクセスできてブラウザさえ動くのであれば、 携帯電話でもよくなる。 こういったインフラは今後どんどん発展していく可能性がある。

問題になるのはやはりセキュリティだが、 逆にセキュリティさえ確保できれば、あとはばら色だ、とも言える。

現在でも企業システムはファイアウォールに守られているが、 インターネットを介しての外への開放が実際にはかなり進んでいる。 業務システムだけがあまり開放されていなかったが、 これが開放できるようになれば、 一気に社内インフラが変わってしまうだろう。

たとえば新しいビルに移転する場合、 従来であれば LAN を企業システム用に敷設しなければならなかったが、 今後は単にインターネットに接続できるインフラを作ればよくなるのだ。

また、 端末側、あるいはクライアント側のデバイスや機材はなんでもいい。 ブラウザという共通項さえあれば、 ハードウェアに依存しないですむのだ。

サーバーさえ堅牢であればいい。 管理もしやすい。 ポイントツーポイントのセキュリティは非常に重要だが、 サーバー側は相手のブラウザを管理するだけでよく、 ハードウェアの管理にかかる負荷は激減する。

一方、 資産管理やセキュリティの問題で、 社内に持ち込む機器の規制対象は、 携帯電話以外にも広がる可能性があるが、 それに対しては工夫が必要だ。

現在のハードウェアは携帯電話や PC などに限定されているが、 これからはもっと複雑になる。 なぜなら、 どの機器にコンピュータが入っているのかわからない時代になるからだ。 そうなったときにどうやって規制するか、 どうやってそういうインフラを作っていくか、 というのは、セキュリティを含めて非常に重要な問題になる。

■Web2.0 以降の世界での Linux

Linux はこれまで Windows に対抗するものとして掲げられることが多かったが、 今後はそういう衝突の仕方はしないだろう。 端末側が CPU に依存しない、OS に依存しない状況になったとき、 クライアント側を Linux デスクトップする、 という話はたいして意味を持たなくなるからだ。

たとえば、 Red Hat では最近デスクトップ Linux とは言わなくなった。 「stateless Linux」というものを、 去年の暮れあたりから開発しているが、 これはクライアント/サーバーの、 クライアントをどうしようか、という話だ。 おそらくシンクライアント的なものを意識した形になるのではないか。

stateless Linux のようなものが今後主流になり、 サーバー機能としての Linux はこれからも飛躍的発展するだろうが、 クライアント OS としての Linux はあまり意味がなくなってくる。 携帯電話とか PC などのスタンドアローン機器の OS が、 Linux である必然性は薄れてくるだろう。

だからといって Linux がクライアント OS としては廃れるということではない。 選択肢のひとつとしては相変わらず有望だ。

携帯電話の OS は TRON などの独自 RTOS などからスタートして、 最近は Linux にまでおよび、 さらに新しい OS 環境の話も出てきている。

携帯電話のようなレベルの機器になると、 OS は何でもいいのだが、 本当になんでもいいという意味ではなくて、 ちゃんとしたものであればなんでもいい、という意味に変わってきている。

Linux はオープンソースだから絶対いいというようにはならない。 むしろ一番ふさわしい機能を持ったものが OS になっていく。 この認識は最近非常に強くなってきた、 先進的な考え方だ。

クライアント PC の OS が Windows か Linux しかない、 というのは古い考え方であって、 これからはブラウザの機能を最大限に生かすような OS の開発が、 望まれるようになるだろう。

どういうことかというと、 従来型のファイルシステム志向の OS ではなくて、 GUI 志向の環境を実現するための OS あるいはソフトウェアがベースになる。

また、 セキュリティとそのインフラ、 グラフィックス、ネットワーク、 こういったものを最大限に生かす機能が重要となる。 それは OS であるかもしれないし、そうでないかもしれない。

一方のサーバー側に要求される機能の優先順位も変わってくるだろう。

いままでは、Unix と Linux の比較、 あるいは Windows と Linux の比較という点で決まることが多かった。 あるいは、 1CPU のインテルサーバーから、大規模なデータセンターまで、 単純にインフラを小規模から大規模に構成するにはどうしたらいいか、 ということを考えることが普通だった。

ところが、ライブドアショックに対応するために東証のシステムで要求された機能は、 普段は大したトランザクションではないが、 突発的に大量の処理が要求された場合のシステムとはどういうものなのか、 ということだ。

従来型の単純にハードウェアの物理的規模だけでは、 東証のようなシステムは構築できないことを証明する結果となった。 大規模なサーバーは、今後、一言でいうと、仮想システムとなっていなければならない。

つまり、物理的なシステム構成によらない、アプリのサービス提供が重要なのだ。 ユーザーからは、 サービスがどのような技術を駆使されて提供されているのかは、まったく見えない。

最近、オープンソースの世界でも仮想化技術の話題がホットである。 それを物理的に支える技術として、 グリッド、クラスタ、ブレードサーバーなどに注目が集まっている。 これらの技術の組み合わせにより、効率良く、動的で柔軟、 かつ多様なアプリを処理できるサーバーを実現できるのだ。

来年の今頃はクライアントにしても、サーバーにしても、 だいぶそういう形が出てくるのではないか。

記事提供:OSDL(Open Source Development Labs)米国日本
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