2013年12月に登場した「楽天でんわ」は、スマートフォンの通話料金を10円/30秒(税別)と、通常の半額に引き下げられることで話題になっている。ただ割安な通話サービスというくくりではすでに VoIP アプリケーションも台頭している。それらと比べた違いやメリットは何か、運営会社のフュージョン・コミュニケーションズに直接尋ねた。

■3種のサービスが競い合う通話市場

編集部:最近、割安に音声通話ができるサービスが活況を呈しています。今、この分野が盛り上がっている理由はなぜだとお考えですか。

メリットは「通話料」だけにあらず -- 楽天でんわの真価とは
フュージョン・コミュニケーションズ事業推進部の倉澤赳徳氏

フュージョン:背景として、スマートフォンでは携帯電話会社の通話料が割高になっているということがあります。昨今普及が目覚ましい LTE 対応のスマートフォンは、3G 時代のような無料通話時間のないプランが中心で、最初から通話単価が20円/30秒といった高額な設定がなされています。

スマートフォンの料金体系は複雑で、これまでは基本料やパケット定額通信料、端末の割賦代金を含め「全体でいくら」という金額は認識していても、個別に通話料がいくらかかっているかは把握していない人が多かったはずです。しかし最近は前述の理由で、複雑な料金体系ながらも通話料を意識する人が増え始めたことで、割安に通話できるサービスの需要が高まったのでしょう。

編集部:ただ、スマートフォンで割安に通話できるサービスはたくさんあって、それぞれのメリットの差がつかみづらいと思うのですが、楽天でんわと他との違いを詳しく教えていただけませんか。

フュージョン:確かに色々なサービスが出てきていて、ユーザーにはどれが自分に合っているのか判断しにくくなっていると思います。我々はこうしたサービスを3種類に分けて考えています。(1)携帯電話会社の通話料割引オプション、(2)インターネット回線を使って発信する IP 電話アプリ、(3)楽天でんわのような携帯電話キャリア以外の電話回線を使ったサービスです。

楽天でんわのサービス詳細はこちらから ■年間1万2,000円の節約も

編集部:最初に挙げられた携帯電話会社の通話料割引オプションですが、ソフトバンクモバイルの「W ホワイト」や KDDI(au)の「通話ワイド24」のような割引オプションをつけると、通常の半額、10秒/30円で利用できますね。これらはとっつきやすいというか、携帯電話ショップに行くとよく契約を勧められます。

フュージョン:はい。楽天でんわで通話料が半額になるという話をすると、ユーザーから「すでに W ホワイトに入っているから半額になっている」といったご指摘をいただくことがあります。しかし、こうした割引オプションは月額約1,000円(税別934円)ほどの基本料がかかります。一方で楽天でんわは基本料がかかりませんから、年間で1万2,000円(税別1万1,208円)程度の節約になると考えています。

また割引オプションに積極的に加入したというより、携帯電話ショップでキャッシュバックの条件として加入し、基本料を支払っているという人も多くいらっしゃいますので、この機会に通話明細を確認していただきたいですね。

■ビジネスユーザーの3つのニーズ「通話品質」「番号表示」「支払い方法」を満たす

編集部: 2番目のインターネット回線を使って発信する IP 電話アプリというのは、最近サービスを発表した「LINE 電話」などですね。こちらは楽天でんわより安い料金設定になっていますが。

フュージョン:確かに料金だけで言えば、楽天でんわより安いサービスはあります。しかし、インターネット回線を使った IP 電話と楽天でんわのような電話回線を使ったサービスには明確な違いがあるので、使い分けていただけるものと考えています。

編集部:料金面以外のメリットがあるということでしょうか。

フュージョン:楽天でんわのような電話回線を使ったサービスには、IP 電話アプリにはない3つのメリットがあります。1つ目は通話品質です。楽天でんわは、従来の携帯電話と同じ回線交換式のサービスで、音声データをインターネット回線で通信する IP 電話よりも通話品質の安定性に優れています。これについては一度テスト通話をすればはっきり分かっていただけると思います。

2つ目は番号通知。一部の IP 電話では、NTT ドコモ 宛に番号が表示されないようです。シェアでいうとドコモは4割くらいですから、携帯電話にかける際、表示される確率は6割になりますね。これに対して楽天でんわは携帯電話、固定電話のすべてに自分の番号を100%通知できます。

3つ目は支払い方法です。従量課金のサービスは、楽天でんわのような後払い式の方が便利に使えます。前払い式ですと、残高がなくなると電話の最中に切れてしまいますので、常にその点を気に留めている必要があります。

いずれも、特にビジネスで頻繁に電話をかける人にとって重要な点だと考えています。

ビジネスニーズへの対応には特に強い自負を示す倉澤氏
ビジネスニーズへの対応には特に強い自負を示す倉澤氏

楽天でんわのサービス詳細はこちらから ■「楽天」ブランドであることの使いやすさ -- 最短1分で登録、ポイント還元も

編集部:現状、楽天でんわのユーザーはやはりビジネス利用が中心ですか。

フュージョン:サービス開始当初は、基本料がかかる050番号の IP 電話アプリからの乗り換えなどビジネスユースが多かったのですが、現在ではそれに加えてパーソナルユースも増えてきています。

編集部:「楽天」ブランドで運営していることで、幅広いユーザーに広まっている面があるのでしょうね。先日、楽天でんわに登録してみたのですが、楽天の ID を持っていると手続きが非常に簡単でした。楽天の ID に登録した氏名や支払い情報をそのまま利用できる。楽天でんわ Web サイトには最短1分で登録できるとありましたが、本当でした。これも一般のユーザーには大きいかと思いますが。

楽天でんわの Web サイト、楽天 ID があれば実際に1分程度で登録できる
楽天でんわの Web サイト、楽天 ID があれば実際に1分程度で登録できる

フュージョン:こうしたサービスは最初にいろいろと登録するのが面倒ということがありますから、我々としてはそこをできるだけ簡単にしたかった。クレジットカードの番号を登録するのも手間がかかりますから、そのストレスも軽減したいと考えていました。

編集部:開通も早いですね。

フュージョン: 「登録したら次の日まで待ってください」というサービスはいまどきありえないと思いますので、即日開通できるようにということを、開発のかなり初期段階から注力していました。

編集部:それから、楽天でんわを使うと通話料100円につき1ポイントの「楽天スーパーポイント」が付き、「楽天市場」で使えるのも便利ですね。

フュージョン: 楽天スーパーポイントは、楽天市場だけでなく旅行や DVD のレンタルなどで幅広く、ほぼ現金と同じように使えるということを目指していますので、そういった感覚で利用していただければと思います。

■新規だけでなく、“使い続ける”ユーザーにも喜ばれるキャンペーンを

編集部:ここのところ、新規ユーザー獲得のためのキャンペーンも実施されていますね。

フュージョン: キャンペーンは1か月に1度ぐらいのペースで実施しています。3月13日からも新たなものを始めますが、新規ユーザーだけでなく、この3か月間のあいだに楽天でんわを始められた既存のユーザーに感謝する気持ちで企画しています。3月23日の通話料を終日無料にするという内容です。

携帯電話関係のビジネスはどうしても新規のユーザー偏重になりがちですが、我々としては使い続けてくださるユーザーにもメリットが出るようにしたいと考えています。

楽天でんわのサービス詳細はこちらから ■アプリは細かくアップデート、ユーザーのつぶやきを毎日チェックし反映

アプリはユーザーの指摘を取り込んで小刻みに修正する方針
アプリはユーザーの指摘を取り込んで小刻みに修正する方針

編集部:楽天でんわのアプリについてはどうでしょう。アップデートの予定などをお聞かせ願えますか。

フュージョン: 細かいアップデートはけっこう行っています。例えば iPhone 版のアプリで、アドレス帳と Facebook のアカウントから連絡先を取り込んだ際に同じ名前が重複して表示される点を修正するとか。当面はユーザーから使いづらいと指摘のある部分をどんどん直していく方針です。

編集部:どんどんユーザーの声を吸い上げていく、と。

フュージョン: 基本はユーザーファースト、というと安っぽく聞こえるかもしれませんが、ユーザーからの声を重視しています。プロジェクトにかかわっているほぼ全員が、Twitter などのソーシャルメディアで楽天でんわについて書かれた内容を毎日チェックしていますし、弊社の社長も随時見ています。問い合わせフォームから送られるご意見以外にも、声は確実に届いているとお考えください。

■楽天でんわ -- 低コスト・高品質への自負と、普及への自信

フュージョンの楽天でんわプロジェクト担当者からは、キャリアの割引オプションに対してはコスト面で、VoIP アプリに対しては品質面で勝るという強い自負を感じた。

また「楽天」ブランドで展開することで、割安通話サービスになじみのないユーザーの敷居を下げ、普及させることにも自信を示していた。

これに加え、国際電話の開始や、アプリの小刻みなアップデートなどで、ユーザーの不満や要望にすばやく対応し、サービスとしての「隙」をなくしていこうとする姿勢は心強い。

同社の指摘する通り、通話料はスマートフォン利用の隠れたコストだ。3G から LTE に切り替えて、毎月の負担額を少しでも節約したいと考えている人にとって、楽天でんわは有力な選択肢になるだろう。

楽天でんわのサービス詳細はこちらから