今年もまた憂鬱な時期がやって来た、確定申告である。昨年一年間の会計をこまめにするべきなのだが、忙しさにかまけて、正しくは面倒な作業を後ろ倒しにして、この時期を迎えるのが恒例となってしまった。

「こんなことをするためにフリーランスになった訳じゃない!」と毎年愚痴りながら、領収書などの書類を掻き分け、仕訳や記帳を行い、必要書類を完成させる。税務署に提出するころには精根尽きた状態だ。仕事柄、IT 関係には詳しいはずが確定申告はもっぱら手作業、そろそろシステム化を検討する必要がありそうだ。

●無料でクラウド型会計ソフト『マネーフォワード 確定申告』に新規登録

確定申告のシステムをインターネットで探していると、今年の1月27日に正式版のリリースを開始した『マネーフォワード 確定申告』という会計サービスが目に留まった。

個人(フリーランス)の場合、初期費用およびランニングコスト(基本機能)、申告書類の作成までもが無料とある。しかもクラウド型のシステムはブラウザ経由で使用できるため、利用環境を選ばない。Mac 使いの私にはピッタリのシステムだ。さっそく新規登録して、今回の確定申告に使えるか試すことにする。

ログイン後に現れたトップ画面には、上部にメニューが並び、左に口座情報、中央にキャッシュフローや収益・費用がグラフ付きで表示された。一つの画面に各種情報がシンプルに配置され、会計状況をひとめで把握できそうだ。

新規登録直後のトップ画面
新規登録直後のトップ画面

●使い方ガイドで、申告に必要な機能と操作を理解

まずは使い方ガイドを使い、機能と操作の理解を深めたい。ガイドには、初期設定、データ移行、データの出力、ユーザーの招待・管理と大きく分け4種類の使い方が説明されている。初期設定以外は、他社会計ソフトとのデータ交換など今の段階では見なくてもいいだろう。そこで今回は、初期設定の中から「金融機関の登録」「取引情報の入力」「請求書の作成」を使ってみることにした。

【金融機関の登録】

銀行名の一覧からメインバンクを選択し、オンラインバンキング用のログイン情報を入力すると銀行からのデータ取得が開始され、口座残高や取引明細が画面に表示された。「こんな簡単に口座情報を連携できて大丈夫?」と思ったが、気になるセキュリティは「金融機関のシステム構築・運用に長年携わってきたプロがシステムを構築し、多重なセキュリティ管理を行う」とのことで一安心。

取り込まれた取引明細は「連携口座の入出金」として表示され、明細ごとに勘定科目を選択し登録するだけで仕訳が完了した。携帯やプロバイダ料金の勘定科目が通信費として表示されることに感心したが、仕訳登録した項目は自動仕訳ルールとして学習することに驚いた。

連携口座の入出金
連携口座の入出金

銀行以外にも、クレジットカードや電子マネーからのデータ取得ができるため、カード払いの経費や電子マネー決済の交通費も仕訳登録できる。つまり、データ化された取引を登録してしまえば、システムが自動的に仕訳してくれる。これは凄い!今までの手作業は何だったのか…すでに本サービスの導入に心が傾いている。

【取引情報の入力】

とは言え、現金による書籍購入などデータ化されない取引もある。その場合には「取引入力」機能を使い、収入または支出を選び、金額を入力、日付を選び登録するだけで仕訳が完了する。また、借方/貸方を意識して入力する場合には詳細入力画面も用意されており、自分に合った入力が可能となっている。一般的な会計ソフトは、多くの仕訳をこのように入力するのだろう。やはり簡単なデータ連携は重要だ。

取引入力(簡単入力画面)
取引入力(簡単入力画面)

【請求書の作成】

次回の請求書にも再利用できる取引先情報を登録し、品目、単価、数量などを入力するだけで PDF 形式の請求書が完成した。これなら今まで Microsoft Word で作成していた作業も本システムに集約できる。さらに請求書の作成に連動して、売上高が売掛金として自動仕訳される点も魅力的。しかも説明には「入金予定時期を過ぎても入金がない取引などを通知します」とある、至れり尽くせりじゃないか。

請求書の作成
請求書の作成

●仕訳内容から各種レポート、申告書類を自動作成

以上が使い方ガイドの初期設定で、今回の確定申告に関連する機能である。トップ画面を見ると、口座情報として銀行や電子マネーなどの残高や明細が表示され、仕訳内容がキャッシュフローや収益・費用の数値とグラフに反映されている。画面の指示に従い操作するだけで、各種データを集約して解りやすい形に加工してくれるのはありがたい。また、未仕訳のデータなどを知らせるアラートは、次に取るべき行動を自然にナビゲートしてくれる。

イメージ操作中のトップ画面
イメージ操作中のトップ画面

レポートメニューではキャッシュフロー内訳、収益・費用の内訳など、さらに詳細なデータがグラフを用いて報告される。これなら確定申告以外にも、事業の会計状況をリアルタイムにチェックできる分析ツールとして重宝しそうだ。

仕訳はまだまだ残されているが、申告書類がどうなっているのか気になってきた。試しに決算書メニューから、申告に必要な「確定申告書 B」と「所得税青色申告決算書」のPDF ファイルをそれぞれ開いてみた。すると、税務署から送られてくる見慣れた書類に金額が記入されているではないか!毎年あれほど苦労して書いていた数値が、いとも簡単に出てくるとは…仕訳が完了した時点で、申告書類は完成しているということか。これなら計算や転記の手間やミスも解消してしまう。

●領収書・レシート読込アプリ『マネーフォワード forBIZ』

私にはもうひとつ気になる機能がある。『マネーフォワード forBIZ』という iOS 向けスマートフォンアプリだ。あいにく私のスマホは Android なので試せないが、アプリの説明には「領収書・レシートの写真を撮るだけで、データ化とアップロードが自動」とある。領収書の金額を電卓に打ち込む作業も、本システムでのデータ入力作業からも解放してくれるのだ。領収書を受け取ったその場でデータ連携という使い方もできる。今後 Android 向けの提供も予定されており、待ち遠しい機能である。

『マネーフォワード forBIZ』の iPhone スクリーンショット
『マネーフォワード forBIZ』の iPhone スクリーンショット

●まとめ

今回、基本機能の一部を試すことでわかった『マネーフォワード 確定申告』の特徴は以下の5点。

・個人(フリーランス)の場合、初期費用および基本機能が無料
・クラウド型システムで、利用環境を選ばない
・金融機関のデータ連携により、仕訳登録した項目は自動仕訳
・仕訳内容から各種レポート、申告書類を自動作成
・領収書・レシート読込アプリでデータ連携

経理・会計の知識がなくても、画面の指示に従うことで自動仕訳ルールと仕訳データを構築できる。使い続けるほど学習し、「確定申告と会計分析における利用者負担を軽減する会計サービス」として、引き続き仕訳を行い、今回の申告に備えたい。

執筆:林 裕幸