Finance

ファイナンス

協調のゲーム

岡崎良介
2004年12月14日 / 00:00
 
個人投資家の動きが冴えない。去年が余りにも調子が良すぎたからその反動だ、と言えばそれまでだが、新興市場を中心に冴えない話しか聞こえてこない。一時は151連勝し、中には初値から7倍にもなった株も生まれた IPO マーケットも今年は尻すぼみである。特に年末の向けての節税対策からか、個人の換金売りとおぼしき売却が、流動性のない中、市場のセンチメントを悪化させている。

元々、新興市場における流動性の問題は不可避なテーマであった。景気のいいときは参加者が増え続けることで、克服してきたが、市場に永遠はない。どこかで壁にぶつかり折り返さなければならないのは全ての相場の必然であり、そこで人々はルールの変更を余儀なくされる。お互いに傷つけあい、それが致命傷に至る前に、やり方を変えるのは自然界の本能である。

これまでの個人投資家のマーケットは、いわゆる非協調型のゲームであった。お互いを騙し合い、他人を踏み台にして買い上がり、売り逃げる。インターネットの掲示板などをフル活用して参加者の期待を煽り、自分だけが良い思いをしようとしていた良からぬ輩がいたとも聞く。それでも何かしら儲かっていれば人はついて行く。善悪ではなく損得が人間を動かす原動力である以上、仕組みとして存在し続けるのが現実である。

ところがその力も壁にぶち当たり、大多数の人間が儲からなくなってしまった。参加者が減り、流動性の限界が最大の問題となってしまった。これでは存亡の危機である。やり方を変え、お互いが共存していけるような暗黙のルール、あるいは一匹狼ではなく集団としての戦い、それもしっかりとした合意に基づくチームの誕生が自然の流れである。

組織としての海賊集団が株式会社誕生の原点であった、という逸話からしても、現代日本の個人投資家たちの次なる変貌は、集団化であろう。個人が協調のゲームに参加し、チームとなりグループ化し、それがファンドの形態となっていく。極めて自然発生的に。

これまでの日本のアセットマネジメントビジネスは、大手の証券会社、銀行、生損保、事業会社などの手厚い庇護の下、言わばトップダウンのアプローチで最初から、資本ありき、資産ありきの形で進められてきた。それが飽和状態となり、陳腐化し、不採算化し、崩壊の危機に達したところで現れたのが新しい個人投資家達である。

彼らが協調し合い、集団化し、これまでとは違う、自然発生的なボトムアップアプローチの形でアセットマネジメントビジネスに進出していく時、この産業が変わる。すでに巷では、投資組合、独立系投資顧問、請負型のファンドマネジャーなどが続々と誕生している。業界の白地図が塗り替えられつつあるのだ。本年、2004年は広義のアセットマネジメントの、再スタートの年であったといつの日か振り返られることであろう。

協調のゲームへと時代は変わって行く。
(記事執筆:岡崎良介)

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