Finance

ファイナンス

コロンブスの卵

桜井信一郎
2004年1月8日 / 00:00
 
現在、 機関投資家などの資産運用の根本にある運用理論について、 大きな議論が持ち上がっています。 詳細を説明するとなると小難しくなるので筆者なりに乱暴にお話しますと、 これまでは 「卵は一つの籠に入れるな、また籠への分け方には最適な計算方法がある」 というものでした。 同時に「いつ卵を買うかというタイミングに関しての判断は無意味(不可能)」 とし て無視されてきました。

この理論に対して世界的に著名な研究者が異論を唱え、 「いやいや、大事なのはいつ買うかだよ!」と言い始めたのです。 当たり前といえば当たり前なことですが、 高度な数式とにらめっこしてこれまでの理論を勉強してきた者にとっては、 かなり耳障りなフレーズです。 ある日突然、「君が勉強してきたことは全部うそだ」 と言われるようなものなのですから。

機関投資家の担当者が実際にこれまでの理論に沿って運用を行ってきたことは明らかですが、 この理論の整合性を個々の運用担当者が心底から信じていたとは、 私には思われません。 運用現場やクライアントとのやり取りの場、 あるいは出世絡みにまつわるあるべき「ムード」みたいなものがまず大前提にあって、誰もが「王様は裸だ!」と言えなかったように個人的には感じます。 また、こうした構図は一般社会にはよくあることで、 童話の題材になっています。

ところで、 現在は「いつ買うかの判断は無意味」という理論がベースとなって、 莫大な資産運用が行われています。 しかし、この「いつ買うか、いつ売るかが重要だ」という新理論が大きく普及すると、世界の年金資金など莫大な資金の移動が開始する可能性があります。 多くはヘッジファンドへ、 さらには新たな受け皿となる資産運用会社や資産証券などに流れていくことになるでしょうし、 現在でもこうした動きは少しずつではありますが確実に進展しています。

昨今の株式市場の売買高の多さの背景の一つとして、 ネットトレーダーの増加が上げられていますが、 同時にヘッジファンドへ流れる資金が大きくなっていることもあります。 一旦「裸の王様」の考え方が広がれば後は横にならえのムードが広がり、 膨大な資金がどっと新理論への運用方法に流れていくことになるでしょう。 これがすぐには起きないにしても、 少しずつ進展して、 最終的には加速度曲線的に広がることを想定しておく必要があるように思います。

したがって、 短期売買資金が増加して、 今後は「バブル後の売買代金の最高値を更新」というのは、 天井のニュアンスを持たない可能性を考えておく必要があるように思います。 同時に「コロンブスの卵」として一瞬にして既存の枠を外されてしまいそうな社会構図は結構巷に溢れていて、 特にこの情報化社会ではそのサイクルも早いという認識を頭において、 常に好奇の目で物事をまっすぐ見つめる「子供の視点」が、 当たり前ではありますが、とても重要だと再認識されるのではないでしょうか。

(記事執筆:桜井信一郎)

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