Finance

ファイナンス

出端くじき

桜井信一郎
2003年10月27日 / 00:00
 
10月21日に始まる株式市場の急落の間際、 株式市場全体は非常に良好なムードに包まれていました。 まさに「天井知らず」を皆が意識して新高値を買いに出た瞬間に急落が始まりました。急落直前には、 筆者が株に詳しいと知る古い友人から多くの連絡があり様々な質問を受けました。 「株を買いたいけど何がいい?」……こういう状況は明らかに過熱のシグナルです。

市場が過熱の頂点にあるときには、 ハエが止まっても市場は崩れるものですが、 今回はまさにこの部分を攻められた格好の例といえるでしょう。 論理の世界だけでは相場は張れません。 バランスが崩れる繊細なシグナルは「何かのささやき」といった、 感受性がものをいう世界です。 市場が過熱ぎみで論理を通り越しているわけですから、 この世界で論理をもって戦うことは見当違いなのかもしれません。

ところで、剣道や空手、柔道など、 一瞬で勝敗が決まる武道をやられている方にはお分かりかと思いますが、 相手が入り込んできた瞬間を「隙」と捉えて、 技を繰り出すスタイルがあります。 相手は「おりゃ」と気合だけで入ってくるわけですから、 そこには一瞬の隙が生まれます。 市場には必ず、 常にいろんなレベルに仕掛ける投資家(仕手)がいる、 と考えていいかと思います。 今回の急落の発端は、 この「出端(でばな)くじき」のスタイルが見事にはまったスタイルだったと想像されます。

出端をくじくために急所をつくと最大の効果が上がり、 全体が崩れていくものです。 今回の市場ではやはり、 日経平均先物と同時にマーケットの先導役であったソフトバンクを同時に叩いたことで、効果が最大限となったと推測されます。 ソフトバンクもやはり、 トライアングルを上方に抜けたその瞬間を売りに出る、 非常に玄人っぽいやり口で急落がスタートしています。 一旦自ら上方ブレイクさせてから、 「うん、重いぞ」とニュアンスを感じてドテン売りに入るパターンもあるでしょう。 いわゆる「ダマシ」の起きる典型的な背景です。

急速に攻め込まれ、 日経平均は4月28日からスタートする上昇トレンドラインをブレイクして、 今週を終了しています。 過熱感のあった市場ですが、 今週の下落で幾分落ち着いてきた感じがあります。 しかし、赤くなった鉄が急速に冷えることはありません。 冷えたように見えても実はまだ熱いものです。

果たして23日のトレンドラインブレイクの「出端くじき」が起きて、 「鉄はまだ熱い!」となって市場が上昇に向かうかに、 筆者の個人的な興味は集中しますが、 総括いたしますと、 出端がくじかれることへの感覚と背景へのちょっとした知識があるかないかだけで、 トレンドラインの見方に大きな変化と広がりが生まれてきて、 単なるチャートがストーリーを持って語りかけて来るように思われます。

(記事執筆:桜井信一郎)

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