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ハートビート:1日遅れてヤフー決算に反応

鈴木一之
2002年10月15日 / 00:00
 
 

【救世主・ヤフー】

先週は、まず10日(木)に日経平均がザラ場中に8100円台まで下落した。同じ年に日本人がノーベル賞を2人も同時に受賞するという、歴史に残る偉業を成し遂げた週は、残念なことに日本と世界経済の変調に世間の耳目が吸い寄せられてしまった。そして株価が8100円台まで下落したことによって、日本のあらゆる生命保険会社から株式の含み益が消失した地点から、株価は自立的な反発に向かい始めた。

続く11日(金)はNY市場の急反発に支えられて、久しぶりに全面高に近い展開に変わった。あいかわらずボラティリティの高い株式市場である。株価反発のきっかけを作ったのは米国ヤフーの決算発表である。前日の引け後に発表されたヤフー7-9月期の決算は、1株当たり利益が市場予想の平均値より1セント高い5セントになり、昨年の−4セントからは大幅な増益になった。それ以上に注目されるのは売上の水準であり、前年同期比+49.8%もの増収となる2億4880万ドルになった。これは過去のヤフーのピークである2億3000万ドル(2000年1-3月期)を上回っており、しかも2001年10-12月から4四半期連続して前の四半期の売上高を上回っている。

2002年通期の見通しでも、ヤフーの売上高はアナリスト予想の9億2630万ドルを上回る9億3000万ドル−9億5500万ドルに達しており、さらに2003年は10億7500万−11億7500万ドル(アナリスト予想、10億2100万ドル)になった。ネットバブルの象徴的な存在であるヤフーが、売上高のピークを更新してさらに将来にわたってもその拡大が続くというニュースによって、これから始まる米国企業の決算発表に対して急速に明るい期待を抱かせることとなった。

【好材料を無視し続けてきたハイテク株】

このニュースは、日本には10日の朝にはすでに伝わっており、それにもかかわらず10日は日本の株式市場には主だった反応が見られなかった。ソフトバンクはザラ場中に1000円の大台を割り込み、ハイテク株は下落を続け、日経平均はハイテク株の下落によって8100円台まで突っ込んだ。そして、その後冷静になって周りを見回す投資家が増えたようで、それが10日の後場から大引けにかけての急速な戻りにつながった模様である。

冷静に振り返ってみると、米国の主要ハイテク企業の中には、決算見通しに関してかなり明るい話題が増えている。先週流れたニュースでは、インテルのクレイグ・バレット会長のコメントがある。10月6日(日)にスペイン・セビリアで行われた世界最大のハイテク企業の経営者会議「ETRE2002」の基調講演で、バレット会長は、設備投資に関して徹底した強気の見通しを語った。「IT不況は続いているが、顧客の新技術、新製品へのニーズは強い。インテルはそれに対して50億ドル(6000億円)の設備投資を続けていく」というきわめて強気のコメントである。

同じく先々週は、デルコンピュータが決算発表を一足先に行っており、そこでデルコンピュータは8-10月期の売上高見通しを前年同期比+22%の91億ドルに達することと明らかにした。これまでの予想は+19%の89億ドルだった。ヤフーと同じく四半期の売上高としては過去最高を更新しており、しかもヤフーと同様に4四半期連続して前の四半期を上回ることになる。マイケル・デル会長は、10月2日にテキサスのオースティンで開かれたアナリストミーティングの席上で、これからも高成長を維持する戦略を強調した。パソコンやサーバーの市場低迷を逆手にとって、シェア拡大を目指す姿勢を明確にしている。

【今週から7-9月期の決算発表】

今週からいよいよ米国の主要ハイテク企業の決算発表が始まる。主なところでは、まず15日(火)のインテル、モトローラを皮切りに、
16日(水)IBM、AMD、
17日(木)マイクロソフト、EMC、ノーテルネットワークス、サンマイクロシステムズ、
18日(金)エリクソン、が予定されている。

来週には、
21日(月)テキサス・インストゥルメンツ、
22日(火)STマイクロシステムズ、台湾セミコンダクター、KLAテンコール、
23日(水)AOLタイムワーナー、ルーセントテクノロジーズ
24日(木)ベリサイン、JDSユニフェーズ、フレクトロニクス、アマゾン・ドットコム
と続く。

決算発表をきっかけに、すんなりと米国の株式市場が底入れに転じるとは言い切れない。しかしそこでは将来見通しに関するトレンドの形成、とりわけハイテク企業の業績の底入れ時期を探ることができるはずである。最悪期の到来がどこで訪れるか、が見通せるようになるだけで、株式市場に流れるセンチメントはずいぶんと変わってくるはずである。今週はいよいよ大きなヤマ場を迎えることになりそうだ。


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鈴木一之
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