iPhoneやMacはウイルスから安全―そう思っていた時期が我々にもありました
サイバー犯罪者はApple製品にも関心(画像出典:シマンテック)

iPhoneやMacといったApple(アップル)製品はウイルスに対して安全というのが、かつての認識だった。しかし最近は多くの人がもっと用心深くなっている。人気の高まる製品にはいつもサイバー犯罪者の食指が動くからだ。

セキュリティ企業のシマンテックとDr.Webが、相次いで日本向けにレポートを発表した。お題はiPhoneやMacをめぐる脅威についてだ。

シマンテックによると、過去2年間にアップル製品を狙ったマルウエア(悪意あるソフトウエア)の種類や感染は増加傾向。iPhoneなどを狙うマルウエアの発見数も2014年には3種類だったが2015年には7種類に増えた。

iPhoneなどを狙うマルウエアの発見数推移(画像出典:シマンテック)
iPhoneなどを狙うマルウエアの発見数推移(画像出典:シマンテック)

多くは利便性のために持ち主が手を加えた端末、いわゆる脱獄(ジェイルブレイク)端末を標的としている。これまでシマンテックが確認した13種類のうち9種類は、脱獄端末を狙っていた。逆に言うと4種類は脱獄していない端末も対象にしていた。

まだAndroidスマートフォンに比べれば微々たるものだが、じわじわ増えている点は頭に留めておきたい。

一方、Macを狙ったマルウエアはもうちょっと派手な動きをしている。2012年の増加率は29%、2013年は44%、2014年は15%という推移だ。実際に感染の被害に遭ったMacも増えており、1年間で急激に伸びている。2015年は9月までの累計だけで2014年通年の7倍。この増加分のうち相当数は「グレーウエア」、迷惑広告を表示するアプリなどだ。

Macのマルウエア感染数の推移、最近は活発(画像出典:シマンテック)
Macのマルウエア感染数の推移、最近は活発(画像出典:シマンテック)

Dr.Webも、Macを標的とする新たなマルウエアを頻繁に検出していると訴えている。大半は迷惑な広告を表示したり、さまざまなアプリやユーティリティを密かにMacに入れたりすることが目的だという。

例として挙げているのは「Adware.Mac.Tuguu.1」だ。これは役立たずのアプリや悪意あるアプリをMacに入れ、それによってアプリの開発者から報酬を得ようとする。その過程で、外部のサーバーと通信するのはあまり愉快ではない。

Adware.Mac.Tuguu.1
Adware.Mac.Tuguu.1

外部サーバーと通信するのは愉快ではない
外部サーバーと通信するのは愉快ではない

まだまだWindows PCで猛威を振るう「ランサムウエア」などに比べればかわいらしい悪事に思えるが、しかしアップル製品の人気が高まり続ける限り、サイバー犯罪者の関心もまた増していくだろう。