ここ数年間で Google は、様々な検索連動型広告向けサービスを提供しており、アップデートを重ねている。その中でも EC サイト運営の担当者ならぜひ知っておきたい商品リスト広告(Product Listing Ads:PLA)というメニューがある。

商品リスト広告は、PC で Google 検索を使用した際に、検索結果画面の上部や右上サイド部に画像付きで Google ショッピングの検索結果として表示される。例えば、「パンプス 通販」と検索した際の検索結果画面が下記だ。

EC サイト運営で使える「商品リスト広告(Product Listing Ads:PLA)」を活用しよう〜商品リスト広告の特徴と運用ポイント〜
※右上サイド部表示の場合、赤く色付けしてある箇所が商品リスト広告の配信面
(2015年3月9日時点)

このような検索結果画面は、ここ数年日本でも大手 EC サイトなどで頻繁に見られるようになってきたが、海外と比較すると、実施している EC サイトは依然少ない印象だ。

本コラムでは、これから商品リスト広告を始める方に商品リスト広告の特徴を紹介するとともに、すでに運用されている方向けに商品リスト広告の運用ポイントについて解説したい。

商品リスト広告とは、商品の画像・タイトル・価格・ショップ名・会社名など、様々な商品情報を含む広告のことである。Google Merchant Center(マーチャントセンター)にデータフィードと呼ばれる商品情報と在庫データをアップロードすることで、Google AdWords と連携した広告配信が可能になる。

※なお、本コラムでは、商品リスト広告を開始するにあたっての手続きに関しては詳述しないが、あらかじめ Google AdWords アカウントと Google Merchant Center のアカウント開設が必要であり、その2つのアカウントをリンクさせる。商品情報は Merchant Center アカウントで、広告やキャンペーンは AdWords アカウントで管理することになる。

※参考:商品リスト広告による商品のプロモーション(Google AdWords ヘルプ

アメリカの EC マーケットでは、検索連動型広告のテキスト広告よりも商品リスト広告に予算を投下するケースも見られるほど、その高い成果にも注目が集まっている広告だ。一方日本では実施している EC サイトこそ増えてきたものの、最適な運用が為されていると見受けられるケースはまだ多くはない。

商品リスト広告を活用した場合、更なる広告効果の最大化が期待できるが、それは商品リスト広告の、1. 検索クエリの高い網羅性、2. 高 CTR(Click Through Rate:クリック率)かつ低 CPC(Cost Per Click:クリック単価)で広くリーチ可能、3. 配信枠拡大が可能、という、主に3つの特徴が寄与している。

■商品リスト広告の特徴

1.検索キーワード(クエリ)の高い網羅性

Google Merchant Center にアップロードされている「商品情報×在庫データ×ユーザーの検索キーワード」、これらの関連性が高いと判断された場合に商品リスト広告が表示されるため、データフィードの全ての商品に対して広告出稿が可能になる。

商品リスト広告では、データフィードの内容から自動的に、ユーザーが検索したキーワードと関連性の高い商品キーワードが選択され、該当の商品が表示される。そのため、テキスト広告で出稿しきれていない商品キーワードに対しても、商品リスト広告であれば広告配信を補える。

2.検索連動型広告のテキスト広告よりも高 CTR、且つ低 CPC で広くリーチが可能

検索結果から、欲しい商品の画像・価格・販売サイトが全て一目で分かるので、価格テキスト広告と比較すると CTR が高い傾向があり、ユーザーの比較検討と購買意欲に大きな影響を与えている。実際、ある EC サイトの実績データでは、テキスト広告の CTR と比較すると、商品リスト広告の方が約3倍も CTR が高く、CPC も約2分の1以下で出稿できたケースがある。商品数が多ければ多いほど、広くリーチが可能になるため、高 CTR・低 CPC の商品リスト広告はテキスト広告よりも効率よくクリックを確保できる。

3.配信枠の拡大

テキスト広告では競合 EC サイトが多く、配信枠を確保できない場合や、そもそも1ページ目の入札単価が高いというケースがある。そんな場合に商品リスト広告を活用すると、低 CPC で配信枠を確保することが可能となる。また、テキスト広告と商品リスト広告の両方に出稿すれば、配信枠を増やすこともできる。

ここまで、商品リスト広告の主な特徴を3点挙げたが、運用を実施する際には留意しておきたい点がある。それは、データフィードの作成と更新頻度に関する点だ。

商品リスト広告は、商品の画像・タイトル・価格・ショップ名・会社名など、様々な商品情報を含むデータフィードの作成が必要で、データフィードの初期作成と更新作業の工数がかかってしまう。社内にリソースがある場合は対応できるだろうが、もしリソースがない場合はリソースの確保、もしくは社外への外注などの対応が必要になる。

また、Google ではポリシーが細かく定められており、AdWords 広告の通常のポリシーのほかに、Google ショッピングポリシーも遵守する必要がある。Google ショッピングポリシーは、属性の使用方法と商品データの更新頻度について規定しており、特にデータフィードの商品情報は常に正確を期す必要があるため、注意したい。もしデータフィードとリンク先コンテンツの商品価格が異なる場合は、商品リスト広告が不承認となり配信されなくなってしまう。価格の正確性の他にも、リンク先コンテンツへの画像登録、在庫状況の正確性、リンク先に設定している URL のデッドリンクチェックなど、いくつもの項目にわたってポリシーが定められている。新規入荷した商品情報の追加対応、取り扱いのなくなった商品のデータフィードからの削除対応など、常に更新作業が必要になる。

データフィードの初期作成と更新頻度に関して、事前に運用体制を整えることが重要なポイントとなってくるので覚えておきたい。

※参考:Google ショッピング ポリシー(Google Merchant Center ヘルプ

■商品リスト広告の運用のポイント

次に、すでに商品リスト広告を実施している担当者の方に参考にして欲しい運用のポイントを4つ挙げ、それぞれ詳しく説明したい。商品リスト広告導入を検討中の方が読んでも分かるように解説するので、これから始める方もぜひ参考にしていただきたい。

1.入札調整

商品リスト広告を運用する際に、入札調整ができるカラム(項目)は6つあり、Google の商品分類に基づいて広告グループや商品グループを切り分けて、それぞれに入札の強弱をつけることができる。

入札調整ができるカラム
・Google 商品カテゴリ [ google_product_category ]
・商品 ID [ id ]
・商品タイプ [ product_type ]
・状態 [ condition ]
・ブランド[ brand ]
・カスタムラベル [ custom_label1〜4 ]

例えば、売上の高い Google 商品カテゴリや商品 ID をそれぞれ単体で切り出して入札強化するなど、細かく運用することで、費用対効果(ROAS)の改善が見込める。また、「商品カテゴリ×ブランド×商品 ID」などのように複数のカラムの掛け合わせで入札することも可能だ。テキスト広告配信の入札調整と同様に、商品単位の細かい入札調整が可能なので、全商品 ID に対してそれぞれ入札単価を設定することもできる。入札の粒度については、これもテキスト広告同様、広告運用の分析結果から検討すべきだ。

入札調整設定の一例(細かい切り出しが可能)
※入札調整設定の一例(細かい切り出しが可能)

2.除外キーワード

商品リスト広告も、テキスト広告と同様にキャンペーン単位・広告グループ単位で除外キーワードの設定ができる。除外キーワードを設定する際には、管理画面の詳細設定タブから検索語句レポートを抽出し、分析する。

例えば、価格帯ごとの広告グループを作成しており、1万円以上の広告グループでは「パンプス 通販」というキーワードで CV(Conversion:コンバージョン)が獲得でき、1万円以下の広告グループでは「パンプス 通販」というキーワードで CPA(Cost Per Acquisition:顧客獲得単価)が高くなってしまっている(広告成果が悪い)とする。そのような場合には、広告グループ単位で除外キーワードを設定すると、コストが最適化できる。流入が多いのにコンバージョンに結びついていない場合は、グループごとに除外キーワードを設定することでその分のコストカットができるので、ROAS 改善に繋がるのだ。テキスト広告と考え方は同じで、日々の細かい除外キーワード設定が広告運用改善に繋がる。

3.ポテンシャルキーワードの発掘と分析

前述の通り、商品リスト広告では、データフィードの内容から自動的に、出稿した商品キーワードとユーザーが検索したキーワードの関連性の高い商品が表示される。出稿後に、実際はどういったキーワードで配信されているか検索キーワードの確認ができるため、今まで注目していなかった新たな CV キーワードを見つけることができ、新しいユーザーのニーズを知ることができる。実際の配信キーワードリストは、担当者が最適化しなくてもデータとして蓄積されているので、この機能はぜひ活用したい。そこから、どの商品の検索数が多いのか分析するヒントにもなる。

検索結果に同一商品の価格情報と画像が表示されるため、ユーザーはまず価格情報を比較する傾向がある。そこで、一定の IMP (Impression:広告の掲載回数)シェアがあり、なおかつ検索キーワードの CTR が高い場合は、競合 EC サイトよりも商品の価格優位性が高いと判断することができる。現在どの商品が競合 EC サイトと比較して価格優位性が高いのかを把握することで、今後の販売戦略へ活かせるのだ。それが、商品リスト広告運用の際の、大きな活用ポイントの1つである。

さらに常に IMP 数の多い検索キーワードは、定期的にテレビなど他のメディアでプロモーションされている可能性も考えられ、認知度が高いと判断できる。例えば、円盤型掃除ロボットの具体的商品名などである。そのような商品は価格競争が激しい傾向があり、商品及びキーワードの分析が必要だ。価格競争が激しいにも関わらず自社 EC サイトでの CVR(Conversion Rate:コンバージョン率)が低い場合は、セール価格の表記にするなど、EC サイトの運営のみならず、事業の販売方針を練る際に活用できるだろう。

4.データフィードの改修

<項目1. 入札調整>でも述べた商品リスト広告内のデータフィードの更新作業のほかに、データフィードの改修も必要だ。入札調整でも解説したカラムだけでなく、他のカラムも自由に変更が可能なのだ。

例えば、「タイトル[title]」というカラムがある。ユーザーの検索キーワードと商品リスト広告のタイトル[title]がマッチしていると IMP 数が増加するため、ひらがな・カタカナ・英語の表記をタイトルに入れておく。商品リスト広告は、入札価格を引き上げれば必ず上位掲載できるというものではなく、「ユーザーの検索キーワード×データフィード×リンク先コンテンツの関連性」が大きく影響している。少し手間はかかるが、<項目3. ポテンシャルキーワードの発掘と分析>で述べたように、ユーザーの検索キーワードを確認し、自社の EC サイト内を最適化することも IMP シェアを向上させるための重要なポイントである。

以上、商品リスト広告の特徴と運用する際のポイントを述べてきたが、このサービスが2012年に日本に上陸してから早数年、EC サイトを運営する担当者には、避けては通れない重要なサービスとなってきている。あらゆる EC サイトが商品リスト広告の推進を試みているが、最適な運用を実施できていると見受けられるケースは未だ多くはない。細かい入札調整や除外キーワード設定などをおこなうことで、広告効果の最大化が期待できるサービスなので、ぜひ最適な運用を目指してもらいたい。また、EC サイトによっては、商品ごとにテキスト広告と商品リスト広告の成果の傾向が異なるので、2つのサービスと上手く使い分けると、より効率的な検索連動型広告の運用ができるだろう。

まだ商品リスト広告を実施していない EC サイトの運用担当者は、広告成果の向上を目指す手段の1つとして、ぜひ実施をお勧めしたい。

執筆:株式会社アイレップ  エージェンシートレーディングデスク本部 伊藤公美子
記事提供:アイレップ