検索連動型広告は、ユーザーの検索行動(=ユーザーのニーズが顕在化する瞬間)に応じた広告掲載を行うため、費用対効果の高い広告手法のひとつであり、常時入札競争が実施されている。多くの広告主が、日々その広告枠を争っているわけだが、その激化する入札競争の中で、広告主は限られた予算の中で、成果を最大化する方法を考えないといけない。

ディスプレイ広告では、費用対効果の高いターゲティング手法として、リターゲティングやオーディエンスターゲティング(ユーザーのデモグラフィック情報や Web 閲覧履歴をベースにしたターゲティング手法)が一般的になった。オーディエンスデータが膨大な量となっている昨今、広告配信のターゲティング精度を高める重要性は増し、ターゲティング手法も日々進化している。特に、複数の Web サイトの行動履歴を横断的に収集したオーディエンスデータを活用したターゲティング手法は、より最適なユーザーにリーチできるので、広告効果の改善が期待される。

最近では、ディスプレイ広告に留まらず、検索連動型広告においてもオーディエンスデータが活用されるケースが増えている。このコラムでは Google のプロダクト使用ケースを中心に、オーディエンスデータ活用の一例を紹介したい。

ヤフーや Google をはじめとするプラットフォームでは、オーディエンスデータを活用することで、「いつ、どこで、どんな人」が検索しているか、といった情報を、検索連動型広告の運用に取り込むことができる。その情報を使い、より細かな粒度でユーザーニーズに対応し、効果的な広告運用をおこなっていくことが主流になりつつある。

例えば、あなたが求人サイトを運営していて、会員登録獲得のため、検索連動型広告の出稿を行っている場合、次のようなセグメントでの運用が有効になるだろう。

(1)検索×エリア

求職者のニーズはエリア情報に紐づくことが多い。各配信エリアに応じて広告文を出し分けることで、よりユーザーのニーズと親和性の高い広告訴求が可能になる。例えば、東京都で「求人情報」と検索しているユーザーであれば、「東京の求人情報なら○○○○○」とエリア名を広告文のタイトルに設定する。

このように、検索クエリからでは判別できないユーザーの検索ニーズを捉えた訴求をすることで、ユーザーと広告のマッチングにおける精度を高め、クリック率の向上が見込まれるだろう。

(2)検索×リターゲティング

Google の検索広告向けリマーケティングリスト(RLSA)では、リターゲティングの技術を検索に応用することができる。すでに自社サイトに訪問しているが、会員登録に至らなかった見込み顧客を、ディスプレイ広告で囲い込むだけでなく、検索連動型広告でもセグメント化することで、より大きな効果が見込まれる。

まず、訪問済みの見込み顧客に対しては、そのユーザーが「なぜ離脱したか」の仮説を立て、再度広告アプローチを図る際のオファーを変え、再訪を促すことで、ユーザーのフェーズに応じたコミュニケーション設計が可能だ。

例えば、「自分の条件に合った求人がなかった」ことが初訪問ユーザーの離脱理由になっていると仮定する。その仮説が正しければ、再アプローチ時に新着求人情報の更新性を訴求すれば、再訪を促す有効な手段となるだろう。また、そのユーザーのフェーズに応じて入札単価の強弱が付けられるため、獲得見込みの高いユーザーに対してはより高い入札単価を設定し、更に多くの流入数を取りにいくことで、成果を最大化することができるだろう。

(3)検索×デモグラフィック情報

Google の Demographics for Search Ads(β版。DFSA:AdWords のエンハンスト機能)を活用することで、案件の応募状況や求めている人材に応じて、特定の性別・年代に対して広告を出し分け、入札単価の強弱を調整することができる。アパレル業界の求人で20代女性が不足している場合、20代女性をターゲットに、広告文で「20代女性急募!」といったような訴求を用いる。それにより、その広告を“自分ゴト化”させることができるだろう。

さらに、20代女性に対してのみ高い入札単価を設定することで、費用対効果を無視しても他社より上位に掲載し、20代女性を囲い込むという戦略を取ることもできる。

以上、Google の検索連動型広告×オーディエンスデータ活用プロダクトを中心に紹介してきたが、ヤフーに関しても随時機能がアップデートされているので、現在実施できない施策も、今後実現可能になっていくと予測される。

このように、より高度な検索連動型広告の運用をおこなう場合、ユーザーに付随する情報をもとに、いかに効果的にリーチできるセグメントを仮説立てるかが重要である。様々な角度から広告主のビジネスに応じたセグメントを探し、検索クエリからだけでは読み取れないようなニーズに合わせた広告運用を実施することで、ユーザーと広告主のマッチング精度を高めることができる。最適なユーザーに最適な広告が配信されることで、ユーザーの検索体験は更に豊かなものになり、広告主のビジネス拡大にも繋がっていくだろう。

執筆:株式会社アイレップ 第2コミュニケーション本部 吉村圭司
記事提供:アイレップ