● 外部リンクとコンテンツ、どっちが重要?

手段を選ばずに外部から多くのリンクを獲得したり、中身が空っぽで薄っぺらな情報ばかりを集めた Web サイトよりも、ユーザーに有益で、役立つ情報を提供している Web サイトを検索上位に表示できるような、そんな検索技術を開発しよう --- これが直近3年間に Google が実現したいと願う、自然検索結果画面のあり方に対する考え方の1つである。

いわゆる「ペンギン」「パンダ」といった動物の名前がつけられた一連の検索アルゴリズムの更新が、それの取り組みを表す一例であるが、ともかく、こうした流れの中で SEO 業界では「リンクからコンテンツへ」といった流行が加速し、SEO 担当者もコンテンツマーケティングに関心を持つようになった。

ところで「リンクからコンテンツへ」と聞くと、あぁ、もうリンクは不要なんだ、これから SEO で大事なのはコンテンツなんだと捉えてしまいがちであるが、それは間違いである。正確には「リンクも重要だし、それを得るために『も』コンテンツは重要である」と理解すべきことである。

なぜか。第1に、インターネット検索技術において Web ページの重要性や信頼性を推し量る"ものさし"(手がかり、シグナル)として、リンクの分析は依然として重要だからである。その肝心のコンテンツの品質を判定するためにも、結局はリンクという"ものさし"なしには不可能である。また Web ページやコンテンツの関連性や信頼性、重要性、権威性など、インターネット全体あるいは検索クエリに依存する数々の評価を行う上で PageRank に代表されるリンク分析アルゴリズムは、必要なのである。

どちらかというと、Google はその「ものさし」をより効果的に活用するようになった、同時にそのデータをより効果的に活用する道を今も模索し続けている、という方が適切だろう。ちなみにライバルの Bing もリンク分析は使っている。世界での例外は、一部の検索クエリの検索順位決定時にリンクを使わなくなった、ロシアの Yandex(ヤンデックス)程度だ。

第2の理由は、そのリンクとコンテンツとの関係性だ。今日の Google 自然検索結果において、安定して検索上位に表示されるようにするためには、「ある領域や分野においてよく名前が知られており、ユーザーからも支持されるような Web サイトを構築する」すなわち、インターネットでのサイトの信頼や評判を構築するオンライン・レピュテーション(Online Reputation)という視点で取り組みをすることが望ましいのだが、これを実現するために現場担当者が行わなければならないことは、つまるところ「自然リンクを獲得する」、自然と周りのユーザーや Web マスターがリンクを張りたくなるような、そんな Web サイト作りを心掛けよということである。

では、自然リンクはどう集めればよいのか。「周りの人が、皆さんの Web サイトにリンクを張る時はどんな時か?」を考えると、それは、そこにリンクを張りたくなるような、価値があるコンテンツが存在する時である。ユーザーに有益なコンテンツを継続的に提供し、それに対する反響※の結果としてリンクが張られるのが今日の Web である。

まとめると、SEO の業務にも関わる Web 担当者は、コンテンツマーケティング(あるいは Web サイト内のコンテンツを充実させるための取り組みと読み換えても良い)に取り組む目的として、(1)Google からの要求水準を満たすサイト品質を担保するためのコンテンツ、(2)外部からの自然リンクを得るためのコンテンツ、という少なくとも2つ※の側面があることを頭に入れておかなければならない。

※ 実際には他にもあるが、本稿では触れない。

●外部リンク施策の評価は、どの指標を見るべきか?

前置きが長くなってしまったが、ここからが本題だ。

ここまで触れた通り、外部リンクそのものは今日も重要であり、インハウス SEO 担当者(専任)や SEO 業務も関与する Web 担当者は、今日においても自社の Web サイトに向かって張られているリンクにも目を配らなければならない。さて、その外部リンク施策を評価するにあたり、常に意識しなければならないこと、リンク分析において大切な判断基準とは何だろうか。

例えば、さすがに2014年現在において Google ツールバー PageRank で自分のサイトの値の大小によって評価している人は皆無だろう。では被リンクの総本数を見ていれば良いのか? アンカーテキストに意図したキーワードが含まれている割合を見ればいいのか? IP アドレスの分散割合を見ればいいのか? あるいは競合と比較してドメイン単位の被リンクユニーク数が多ければ、”良い”外部リンク施策が行われていると判断して良いのか?

いずれも答えはノーだ。一昔前であれば、そうした指標を見ていても良かったのだが、今日(2014年10月)はすでに時代が違う。時代が変わっているのに、旧態依然としたものの見方、心構えで、リンク分析やその評価をしてしまっては、適切な次のアクションを決定することができないだろう。また、サードパーティのリンク分析ツールを使うと、膨大で多種多様な指標が簡単に得られてしまうが故に、些細な情報ばかりに囚われてしまい、全体を見失うというという落とし穴に嵌りやすい。全体的に外部リンク対策が上手く進んでいることを押さえておくためには、どういう視点を大事にしておけばよいだろうか。

本項では2つのポイントだけ挙げておこう。

●心構え(1)そのリンクは、関連性があるか否か

1つ目は単純で、「その外部からのリンクは、関連性が高いか否か」だ。ここでいう関連性とは、コンテンツの内容の関連性という意味合いと、閲覧者(ユーザー)にとっての関連性という2軸がある。

アンカーテキストが何だろうと、ドメインオーソリティがいくつであろうと、ユーザーにとって関連性のあるリンクは良いリンクであるし、関係がないリンクは良くないリンクというシンプルな話だ。前者が継続的に増えているような Web サイトであれば、将来的に検索順位が上昇・維持できる可能性が高いし、後者ばかりが続くようであればその逆となる。

科学の発達とともに気象予報の精度も高まってきたとはいえ、未だに明日の天気を100%的中させることができないのと同様、SEO もどれだけ現況を分析しても将来の検索順位が何番目になるかを予測することはできない。しかし SEO は「良い施策・良い資産の継続的な積み重ね」で成立する施策であり、少なくとも私たち人間の目から見て関連性があるリンクが着々と積み重なっているのであれば、将来的にそれがネガティブに左右することは、まずないと考えてよいだろう(稀に例外が発生することはあるが)。

この「関連性を基準に見る」視点が常に大事になるのは、定量的な情報に惑わされないためだ。例えばオーソリティ(権威性)という概念に囚われがちな人は、リンク元ドメインの重要度や人気度に目を奪われがちだ。

しかし、小規模であっても閲覧者視点の関連性が高いリンクは(そこのアンカーテキストが何だろうと関係ない)、そのリンク経由で新たな来訪者も呼び込むし、関連性が高い故にそれが Twitter や Facebook などで紹介されて、また新たな来訪者を呼び込むといったことも起きうる。関連性の有無を第1に考えることは、重要なポイントである。

●心構え(2)そのリンクは、レピュテーション(評判)確立に寄与するか

2つ目は、オンラインにおけるあなたの Web サイトのプレゼンスやレピュテーション(評判)構築に寄与できるリンク元であるかどうかである。過去の連載でオンラインの評判構築について言及した通り、要は「リンクを増やす」という意識自体が実は時代遅れであり、オンラインにおけるあなたの Web サイトへの支持や評判を確立させるための取り組み、その意識の延長としての自然リンク構築施策が存在する、と捉えるほうが適切だ。

リンク元のページが、あなたの Web サイトの評判構築に寄与するか否かという判断は、例えばニュースメディアで注目の製品として皆さんの会社が取り上げられてリンクが張られたり、カスタマーサポートが素晴らしかったと言及しているブログからリンクが張られたのであれば、それは評判確立に貢献しているだろう。専門家や著名なコメンテーターから記事中でリンクつきで言及されるのもまた、評判に影響するだろう。こうしたリンクもまた、サードパーティのリンク分析ツールから得られる指標ではわからないけれども、とても重要なリンクと言える。

●どの指標をどう解釈すべきかという意識を持つ

SEO は本質的な考え方こそ10年前と何ら変わりがないものの、細部の、現場で実行している施策レベルでいれば、確かに数多くの変化がある。そうした過去のものとなった情報がインターネット上では簡単に見つかるが故に、特に新人の SEO 担当者ほど「この指標・項目・施策は重要なの?もう効果がないの?」といった優先順位や重要度の判断をつけられないという課題を抱えているように思われる。

とりわけ外部リンク周りの業務は、データは数多く取得できるものの、自社の外部リンク施策が良好なのか否か、問題は何なのかといった俯瞰的な見方をするためには、どこを見ていればいいのかよくわからないという人もきっと多いだろう。ここまで述べてきた通り、数多くの指標はあれど重要なことは「そのリンクはユーザーにとって有益か否か」「そのリンクはWebサイトの評判・プレゼンス向上に貢献しそうか否か」という点であり、その条件を満たしているリンクが増えているのであれば、良い状態にあると考えて良いし、その上で細部のデータを分析して、更なる自然リンク増加施策のためのアクションを考えていけばよいのである。

執筆:株式会社アイレップ 取締役 / SEM総合研究所所長 渡辺隆広
記事提供:アイレップ