Google の検索アルゴリズム更新「ペンギンアップデート 3.0」の傾向と対策について述べたい。

基本的に、くだらない、しょうもない、古典的な検索エンジンスパム手法がターゲットになっているので、大抵の企業担当者は気にする必要はないだろう。ただし、キーワード詰め込みや、あらゆる場所に同じキーワードを枕詞のように最初に用いるといった、一昔前の SEO を実践していると、「ペンギンアップデート 3.0」に捕まるので注意が必要だ。

検索順位が落ちた Web サイトはどんな手法を使っていた?〜「ペンギンアップデート 3.0」傾向と対策〜
「ペンギンアップデート 3.0」傾向と対策

■「ペンギンアップデート 3.0」の傾向と対策:ターゲットは「くだらない古典的なスパム手法」

Google 検索アルゴリズムの更新(ペンギンアップデート 3.0)について、ざっくりとした傾向が判明してきたので、概要を簡単にお伝えする。

前回の「ペンギンアップデート 2.0」(2013年)と同様に、古典的な Web スパム手法を用いた Web サイトの検索順位が大幅に下落(マイナス10以上)していることを確認したが、今回の「ペンギンアップデート 3.0」はそのスパムテクニックの検出アルゴリズムが洗練され、精度が向上したような印象だ。

■キーワード詰め込みスパム

特定の検索キーワードでの順位を改善するために、同じキーワードを、助詞や掛け合わせキーワードを交えつつ繰り返している Web サイトの順位が落ちている。また、alt 画像やメニューリンクなど、くどいけれどもキーワードを埋め込めそうな個所に、ひたすら対策キーワードを埋め込んでいる Web サイトの順位下落も、傾向として顕著だ。

例えば「●●●[キーワード]の、▲▲▲[キーワード]のことなら■■■[キーワード]」といった具合に、地域を表す言葉や形容詞や名詞を交えながら、狙いのキーワードを何度も使っている Web サイトや、これに加えて画像の alt にひたすら「●●●[キーワード]の〜」を枕詞のように使っている Web サイトが該当する。

あるいは、特定ジャンルの SEO で見られる対策、例えば Web ページの最上部に薄いグレーの1行テキストを入れて、そこにキーワードを何度も埋め込んでいる Web サイトは、大抵、Web サイト内の他のページにもキーワードを繰り返し用いていることもあるのだろうが、結果的に検索順位が大きく低下している傾向が観察された。

■勘違いの共起語意識した SEO

特定のキーワードを繰り返し用いるという手法そのものが既に時代遅れなので、今すぐ中止することを勧める。また最近は、共起語風にキーワードをちりばめて最新 SEO 取り組んでます的な Web サイトを見かけるものの、結局は、本質を理解していないが故に、フレーズ単位で見るとキーワードを繰り返してしまっていて、キーワード詰め込みスパムの進化発展版に過ぎないケースも散見される。

ついでなので、SEO でよくある勘違いの概念の1つ「共起語」についても言及しておこう。共起語という概念自体は知っていておいてほしいものの、それ自体は実はライティングの現場でそれほど意味を有さないことにも留意したい(ちなみに私は実務においては極めてどうでもいい話だと考えている)。

まず第1に、共起語を起点としたライティング発想の弊害として、どうしても「キーワードを入れる作業」になってしまう点が挙げられる。特に SEO 的発想で取り組んでしまう人ほど、そうなってしまいがちだ。本当はオーディエンスのほうを向いて逆の手順を取る、すなわち、オーディエンスに対してどんなコンテンツを読んでほしいのか、まずそのトピック(テーマ)を定めて、その上で必要不可欠なキーワード候補を選んでいくといった手順が大切である。言葉からトピックを決めるのではなく、誰に何をどのように伝えるのか、伝えたいトピックを決めて言葉を選ぶ方が自然だ。

第2に、一緒に用いるべき言葉のセットは、あなたがどこまで話題を広げたいのかによって決定される。たとえば専門性(内容の深さ)を追求するのか、それとも包括性(幅広くトピックをカバーする)のどちらが要求されているのかも加味して、用いるべき言葉は決定される。エボラ出血熱をトピックにした記事を書くにあたり、読み手が中学生なのか、それとも医療関係者なのか、あるいは政策決定に関与する政府関係者なのかによって、用いる言葉は変わるだろう。そういうことだ。共起語に縛られて、触れるべき話題がズレてしまうのは本末転倒だ。

……このようにユーザー視点、トピックベースで考えていくと、必然的にその作業過程に共起語的要素が(SEO 文脈ではない形で)含まれることになるため、実は当たり前の概念であり、取り立てて注目すべき要素でもないことがわかってくる。ちなみに共起語の概念が SEO で注目されたのは2001年まで遡る。それほど古い話である。

話が大きく脱線してしまったので、本題である「ペンギンアップデート 3.0 の傾向と対策」に話を戻そう。

■少数のドメインから同一のアンカーテキストを含んだリンクを集めている

同一のアンカーテキストで数多くのリンクを集めている、リンク元ページ数やユニークドメイン数の割合に対してアンカーテキストが極端に偏っているような Web サイトの検索順位が落ちている傾向がある。これまた古典的なスパム手法だ。例えばリンク元のユニークドメイン数は3つなのに、アンカーテキスト▲▲▲を含んだリンクが8,000本あるようなケース、かつ他のリンクは極めて少数になっているようなパターンだ。

また、例えばキーワード▲▲▲で検索順位を上げたい時に、リンク元ページを X、リンク先ページを Y、順位を上げたいページを Z 、とした場合リンクの流れが X → Y → Z、つまり直接ターゲットのページにリンクを張るのではなく、他のページを迂回しているようなケースでも、順位が落ちている Web サイトを確認している。

ちなみに Yahoo !検索が独自の検索技術 YST を利用していたころによく用いられた手法が、この方法だ。このような方法は「ペンギンアップデート 2.0」以前でも検出されていたのか、それとも「ペンギンアップデート 3.0」で上手く発見できるようになったのかは不明だ(少なくとも私は過去のペンギンでこうした傾向は見つけられなかった)。

アンカーテキストは分散すべし、という話は遥か昔から出ている話であり、今更こうしたテクニックを用いて SEO をおこなっている(そういう SEO 会社に発注していた)ことが問題であり、自覚があるのであれば、今すぐリンクを削除する、リンクを無効にする(link disavow)手続きをするなどの対応をおこなうことを勧める。

今日の外部リンク対策は、リンク対策ではなくオンラインの評判構築(Reputation Building)ととらえるべきであり、この視点に基づいた具体的な施策において、特定のキーワードを意図的にアンカーテキストに入れるという作業は、基本的に不要だ。アンカーテキストをコントロールしなければならないというのであれば(その程度によるが)、それ自体は少しリスクがあるかもしれない、ということを認識したほうがよいだろう。

特に、「リンクを購入して特定のアンカーテキストが入っていなければ、順位が絶対に上がらないと考えている業界」においては、アンカーテキストの制御は細心の注意を払ってほしい。コントロールするつもりがない、自然の成り行きに任せるくらいの感覚で推進したほうが結果的に良かったりする。

■リンク集もどきのページ(Web サイト内検索結果など)

ひたすらリンクが並んでいるだけのページ、例えば何かの検索結果画面的なもので、タイトル・説明文・URL が並んでいるだけのページからのリンクは、「ペンギンアップデート 2.0」の時点である程度は無効になっているが、今回はその対象範囲が拡大した、つまり従来はギリギリまたは一応のユニークなコンテンツ性が認められるために排除されなかったに違いないリンク集的なページも、「ペンギンアップデート 3.0」で無効になったような傾向がみられる。ただし分析サンプル自体が特定の業界(人材系)に偏っており、e コマースで同様の事例は確認できなかった点も付記しておく。

本件については、おそらく Web サイト運営者は故意にそうしたページからのリンクを狙ったのではなく、どちからというと事故あるいは知らないうちにそういうページからリンクが張られてしまった感が強いので、これは素直に対象 Web サイトにお願いして、すでに古くなったページを削除してもらう、あるいはリンクを無効 (link disavow) にする手続きをするとよいだろう。

■オールドドメインが過去に稼いだリンク(※ サンプル少数)

過去に誰かが利用していたドメイン、いわゆるオールドドメイン(中古ドメイン)を用いて激戦キーワードで順位を挙げていた Web サイトが、大きく(マイナス100以上)順位を落としている。調査した限り、現所有者になってから新たに獲得したであろうリンクがほとんど発見できなかったため、おそらく過去の所有者が獲得していたリンクで上がっていた可能性が高いのだが、それらがまとめて無効になった模様だ。ただ同種のサンプルが見つけられなかったので、おまけ的な情報としてお伝えする。私自身はオールドドメイン周りはあまり調査しないことにしているので、これ以上の分析はおこなわない。

■有料リンクと、コンテンツが薄っぺらなページからのリンク

金銭を支払って設置されたであろう広告的なリンク、有料リンクが無効になっていることは、ペンギンに限った話ではないので、特に深くは言及しないが、それに加えて、いくつかの業界サンプルを見ると「有料リンクを設置してあるページにあった自然(的)なリンク」の評価が変わった?のではないかと思われる。

調査サンプル(5,000 Web サイト)を見る限り、中身が薄っぺらなページ、ただし本当は内容的に役に立たないわけではなくて、テキストなどの情報量が極めて少ない、あるいは多数の Web ページ上に同一の情報が存在する、固有性の低い情報を掲載したページからのリンクの評価が変わっているように見受けられる。カテゴリによっては「有料リンク枠が設けられているページから受けた自然リンク」を集めていた Web サイトの順位が落ちていたりするので、有料リンクと誤爆されたか、あるいはページの内容に問題があると判断されたのか、いずれかの理由が関係していると考えられる。

■有料リンクっぽくない有料リンク

有料リンクを販売する側の理屈でいえば、1つの枠により多くのクライアントへのリンクを入れたほうが、有料リンク1枠あたりの売上を増やすことができる。しかし、1枠内に無関係な発リンクを増やせば増やすほど、Google に見つかる可能性が高い。したがって、1枠あたりにいくつのクライアントを、どのような組み合わせで枠内に入れるかというのは大切な要素であるが、今回はこの検出精度が向上しているようだ。有料リンクの無効化自体はペンギンに限った話ではないが、ペンギンがアップデートされるたびに有料リンク依存の Web サイトの順位変動も確認しているので、ペンギン自身も有料リンクを排除する仕組みを持っているのだろう。

■「ペンギンアップデート 3.0」自分の SEO 知識の確認を

外国語 Web サイトの掲示板に突然日本語キーワードリンクの塊を書き込んでリンクを張っていたので Google からペナルティ受けたようなケースも含めて、「ペンギンアップデート 3.0」がターゲットとしている手法の大半は、実にくだらない、古典的な検索エンジンスパムテクニックである。従って、散々言われている「有料リンクに注意ね」「キーワードを何度も繰り返さないで」といった基本的なことを守っていれば大丈夫なはずである。

ただし、今回、少なくない数のサンプルで発見できたことは、おそらく当の Web 担当者(あるいは SEO をわかっていると勘違いした Web 制作会社の人)が実践したであろう、キーワードの詰め込みだ。例えば alt や リンクメニュー、テキストの書き始め部分に対策キーワードから書き始めましょう的なものは、確かに SEO関係の情報を扱っている古い Web サイトであれば書いてあることもある。きっとそうした間違った、古い知識に基づいて SEO をマスターしたつもりで実践したのであろうと推察される Web サイトが今回のペンギンアップデート3.0の被害を受けているように見える。一昔前に SEO 勉強したからわかっているつもりで最近の事情を知らない Web 担当者は、今一度知識の整理をしてみるとよいだろう。

執筆:株式会社アイレップ 取締役 / SEM総合研究所所長 渡辺隆広
記事提供:アイレップ