誰でもオリジナルの T シャツを作成、購入できるユニクロのアプリケーション「UTme!」は公開早々に人気を集めたが、その利用規約には批判も出ている。作成したデザインについて著作権をすべて同社に無償譲渡せよ、という条項に反発を覚える人が少なくない。

ユニクロの T シャツアプリに落とし穴?--ユーザーに著作権すべての無償譲渡を要求
UTme!は魅力あるアプリだが利用規約に批判も

UTme! はスマートフォンやタブレット、PC から利用でき、Tシャツに絵筆で直接絵を描くような操作感で、自分だけのデザインを作成できる。ロゴや写真も組み込めるし、スプラッシュ、グリッチ、モザイクといった効果を簡単につけられる。できあがったデザインは専用サイトや Twitter、Facebook で公開できるほか、実際に注文して1着1,990円で購入することも可能。ユニクロというブランドの親しみやすさもあいまって、注目を浴びた。

ところで、こうしたアプリにまっさきに心を引かれるのはどのようなユーザーだろうか。恐らく、イラストレーターやデザイナー、漫画家などのクリエイターだろう。しかし彼等は著作権に対して特に敏感でもある。

UTme! の利用規約は、こうしたクリエイター達を不安にさせる内容だった。「第9条」にある権利帰属の項を見てみよう。

「ユーザーは、投稿データについて、その著作物に関する全ての権利(著作権法第27条及び第28条に定める権利を含みます)を、投稿その他送信時に、当社に対し、無償で譲渡します」
「ユーザーは、当社及び当社から権利を承継しまたは許諾された者に対して著作者人格権を行使しないことに同意するものとします」
「ユーザーは、当社が実施する各種キャンペーン等に投稿データが使用されることに同意するものとします」

といった文言が並んでいる。ユニクロとしては UTme! でユーザーが作成したデザインをキャンペーンなどに使う構想があり、法的トラブルを避けるためにこうした条項を定めたのかもしれない。しかし著作権をすべて無償譲渡せよといった内容は、当然ながらソーシャルメディア上で強い懸念を呼び起こした。

インターネット上において著作権は常にセンシティブな話題だ。2008年、当時国内最大手の SNS として隆盛していた mixi が利用規約で同社に対し「著作者人格権を行使しないこと」などを盛り込んだ際も、激しい抗議が持ち上がり、結局文言の修正に追い込まれた。今後、ユニクロが同様の対応をとるのか、とるとすればどのくらい素早く行うのかが注目される。