飲食店などの口コミサイトとして世界最大級の規模を持つ「Yelp」が先日、日本版を開始したが、同社のこの国に対するイメージは何か誤解があるようだ。Yelp の公式ブログは日本の紹介にあたり、和食や伝統芸能ではなく、最近の面白おかしな店舗や文化ばかり取り上げている。あるいは、むしろ「今の日本」を正しく理解しているのだろうか。

巨大口コミサイト「Yelp」は日本を誤解…いや正しく理解している?
Yelp 日本版

Yelp は、カフェからガソリンスタンドまで、各都市のさまざまな店舗や施設について口コミを投稿、閲覧でき、いわば「ぐるなび」「食べログ」に「Yahoo! ロコ」や「Google+ ローカル」を足したようなサービスだ。米国では強い支持があるが、今後どの程度、日本の風土に合わせてローカライズ(局地化)できるかが国内普及のカギと目されている。

その Yelp の日本文化に対する理解は面白い。 日本版 の開始を告げる公式ブログの記事は以下のように書いている。

「日本人は息抜きの仕方もきちんと心得ているんだよ! カラオケボックスで大騒ぎしたり、 コスプレレストランで食事を楽しんだり、森林浴をしてリラックスしたり、 バルタン星人と酔っぱらったり、皆が大好きなスポーツ、野球を見たりして過ごすのも大好き。それから、動物愛好家が多いこの国には、子供の数よりペットの数の方が多い。ペットがいない人もご心配なく。いつでもキャットカフェで疲れた心を癒してもらってね!」

確かに「コスプレ系飲食店」と呼ばれる業態の店舗は、従来のようなメイド喫茶に限らず増えているし、「怪獣酒場」は最近注目を集めているし、「猫カフェ」もあちこちで見かけるようになった。

しかし一方、和食だとか着物姿のもてやしだとかにはまったく触れていない。 Yelp の日本版はまず東京と大阪という変化の激しい大都市でサービスを始めたため、伝統より新しい文化に注目するのも不自然ではないが、それでもサブカルチャーへの関心の強さに驚かされる。

ちょうど、Twitter 発の人気「翻訳」小説「ニンジャスレイヤー」を読んでいるときと同じような気分だ。海外から見たおかしな日本という態で、その実うまくこの国の世相をとらえている。

今後、Yelp は日本でどのようにサービスを展開していくのだろうか。単にぐるなびや食べログへの対抗馬というとらえ方ではなく、注目していきたい。