米国 Microsoft は2月4日、新 CEO に Satya Nadella (サトヤ・ナデラ)氏を指名したと発表した。同氏は Microsoft のクラウド戦略を支えてきた人物だ。

新 CEO である Satya Nadella 氏が、Microsoft 復活に向けて実施すべき9つの課題
Microsoft 新 CEO に指名された Satya Nadella (サトヤ・ナデラ)氏

この変化に伴い、前 CEO である Steve Ballmer 氏は Microsoft の C スイートレベルから外れることになる(取締役会には残る)。Microsoft はまた、Bill Gates 氏が会長職を退き、テクノロジーアドバイザーとして Nadella 氏をサポートしていくことも発表した。

今後は Nadella 氏が Gates 氏や Ballmer 氏に代わり、Microsoft の顔となる。だがこの選択は驚くべきものではない。Microsoft はクラウドに未来があると考えており、企業顧客に対してより優れたクラウドサービスを提供する必要性を強く感じていた。Nadella 氏は、この役割に最適の人物だったのだ。

だが、クラウド部門で成功するには、Nadella 氏は競合相手の多いクラウド市場で Microsoft を差別化する最良の道を見つけなければならない。それだけではない。Nadella 氏は、クラウドだけを見ていればよいわけではないのだ。IT 業界は速いペースで変化を続けており、残念ながら現在の潮流は Microsoft にとって悪い方向へと向かいつつある。Nadella 氏は、この新しい潮流にも対応していかなければならない。

ここでは、Nadella 氏が Microsoft のビジネスと文化を変化させるために取り組むべき課題を、年内にリリースがうわさされる Windows 9 にちなみ、9つあげよう。

1. Bill Gates 氏の影響力を押さえこむ

Nadella 氏は Bill Gates 氏に取締役会に残り、重要な役割を果たすよう依頼した。だがこれは Microsoft にとって懸念材料の1つだ。

Gates 氏が成功を収めた人物であるのは間違いないが、同氏はソフトウェアに依存する旧来の Microsoft を代表する人物でもある。Steve Jobs 氏が CEO を務める Apple が初代 iPhone を発表した2007年1月、Gates 氏が会長を務める Microsoft はあの Windows Vista を全世界に向けて発売したのだ。

1. Bill Gates 氏の影響力を押さえこむ

Microsoft の新体制では、その Gates 氏がテクノロジーアドバイザーとして Nadella 氏を支えるという。Nadella 氏が Gates 氏による影響力を制御できなければ、Microsoft によって良くない結果を招くことになるかもしれない。

2. Windows 8 がうまくいっていると装うのを止める

Windows 8 は世界市場で1桁台のシェアしか獲得できていない。PC ベンダーの中には Windows 7 へのダウングレードサービスを顧客に提供していたところもあったし、Microsoft 自身も Windows 8 で廃止された機能を、Windows 8.1 で一部復活させるなどしている。

2. Windows 8 がうまくいっていると装うのを止める

Nadella 氏は Windows 8 が理想的なプラットフォームだと装うのを止め、正しい方向へと舵を切るべきだ。

3. ハードウェア中心の企業に生まれかわる

Nadella 氏は、Microsoft をよりハードウェア中心の企業に生まれかわらせるべきだ。従業員にあてたメッセージの中で Nadella 氏は、ハードウェアは現在の IT 業界で重要性を高めており、Microsoft は高い価値を持つソフトウェアを搭載した信頼できるデバイスを提供できる企業だと信じていると述べた。

3. ハードウェア中心の企業に生まれ変わる

この見解は正しい。Nadella 氏は CEO 在任期間中、ハードウェアを最重要視すべきだ。Microsoft がよりハードウェアに注力すれば、同社はより良い企業に生まれ変わることができる。

4. Xbox One の問題を解決する


Xbox One は、様々な面で「やり過ぎ」ている。Microsoft は Xbox One に、同社がやりたいことをすべて詰め込んでしまった。例えば Microsoft は顧客に対し Xbox Live に毎日チェックインするよう求めたが、これは利用者からの反感を買った。Microsoft はいくつかの問題には対応したが、まだ多くが放置されている。

4. Xbox One の問題を解決する

Nadella 氏は Xbox チームに対し、Xbox One の問題を解決するよう求めなければならない。また Microsoft の保有する莫大な資金を使ってより多くのソフトウェア開発者を雇い、Xbox One でしか体験できない高品質なコンテンツを用意するべきだ。これができなければ、Xbox One は PlayStation との戦いで苦戦を強いられるだろう。

5. クラウドにより多くのリソースを割くべきだ

Nadella 氏が CEO に指名されたのは、同氏が Microsoft のクラウド戦略を支えてきた人物だからだ。だが Nadella 氏によるクラウドへの取り組みは、まだ道半ばだ。

5. クラウドにより多くのリソースを割くべきだ

Nadella 氏は彼のチームとともに、Office 365 をより良いものにしていく必要がある。OneDrive の機能を向上させる必要がある。そして、Microsoft をクラウドにフォーカスした企業へとトランスフォームさせる必要があるのだ。企業顧客にアピールするには、高品質のクラウドソリューションが必須だ。Nadella 氏は喜んでこの仕事に取り組むだろう。

6. Nokia 買収を見直す

今期中にも完了すると見られている Microsoft による Nokia の携帯事業買収に関して、Nadella 氏ができることは現時点ではほとんどない。だが Nadella 氏は、Nokia のモバイルデバイス部門全体を取込むことが本当に正しい選択なのか、考え直すべきだ。

6. Nokia 買収を見直す

Nokia はスマートフォン市場に、最高の Windows Phone を提供するかもしれない。だが Nokia を買収することは、Microsoft 自体をよくすることなのだろうか? Nadella 氏は Nokia 内部を深く調査し、うまく機能する部分を Microsoft に取込み、そうでない部分には鉈を振るうべきだ。

7. 検索エンジン市場から撤退する

このアイディアには異論のある人も多いと思う。だが、Microsoft は Bing 検索エンジンによる Google との戦いからは撤退するべきだ。

7. 検索エンジン市場から撤退する

Microsoft が近いうちに Bing を諦める可能性は低いだろう。だが Nadella 氏は Microsoft の未来に、検索エンジンビジネスが必要なのか、もう一度問い直すべきだ。

Nadella 氏が従業員に向けて送信した E メールには次のようにある。

「我々の未来にあるチャンスを掴むには、モバイルやクラウド第一の世界で Microsoft がこれまでやってきたことを見直し、新しいことをする必要がある」

Bing が投資を続ける価値のあるプラットフォームなのか、問い直してみるのはよい考えだ。

8. Windows 9 をなるべく早く発表する

最近のうわさによれば、Microsoft には Windows 9 を今後数か月以内に発表する計画があるようだ。Windows 9 には、Windows 8 に対する多くの機能向上がなされているという。Nadella 氏にとって Windows 9 をいつ発表するかは、最初の重要な決断となるだろう。

8. Windows 9 をなるべく早く発表する

発表は、すぐにでも実施した方が良い。Windows 8 の勢いは弱まっており、消費者は他の OS に目を向け始めている。Nadella 氏は、Microsoft による次の OS で顧客をわくわくさせなければならない。同時に、Windows の開発サイクルを加速させる必要もあるだろう。Nadella 氏による Windows 9 の公表が早ければ早いほど、Microsoft にとってプラスになる。

9. Microsoft が生まれ変わったことを証明する

Nadella 氏が CEO に指名された1時間後、Microsoft の株価は6%上昇しただけだった。このことは、株主は Nadella 氏が Microsoft に新しいものをもたらしてくれるかどうか、確信が持てないでいることを示している。

9. Microsoft が生まれ変わったことを証明する

Nadella 氏は株主に対し、彼が Microsoft を良い方向に導けることを証明する必要がある。これができなければ、株主は失望し、離れていくだろう。

Don Reisinger
Don Reisinger は、フリーのコラムニスト。Ziff-Davis の Gearlog.com でのデビュー以降、Computerworld、InformationWeek などに数多くのコラムを寄稿してきた。現在は eWeek の他、CNET、LA Times でコラムを執筆している。