世界では何億人ものユーザーが、無料で提供される Mozilla の技術の恩恵に与っている。だが、Mozilla 製品が無料だからといって、Mozilla が収益をあげていないわけではない。

Mozilla、2012年の決算を報告 ― 売上高は前年比90%増の3億1,100万ドルに
米国 Mozilla Foundation は11月21日、2012年の決算報告を公開。売上高が3億1,100万ドルに達したことを報告した。

この数字は、Mozilla のスタート時とは大違いだ。

1998年、Netscape は Mozilla オープンソースプロジェクトをスタートさせた。2003年、AOL による Netscape の買収に伴い、Mozilla は AOL から資金提供を受け、独立した団体としてスピンアウト。その2年後の2005年、Mozilla は5,290万ドルの売上を報告した。

Mozilla の2005年時点の収益源は、実は2012年とあまり変わってはいない。Google だ。Web の世界はこの7年間で大きく変化したし、Mozilla の売上高も大きく伸びたが、その収益源は変わっていないのだ。

Mozilla は Google との間で検索に関する契約をしており、これは2005年以降、何度か更新を繰り返している。契約の詳細は明らかになっていないが、Firefox Web ブラウザのホーム画面に Google 検索がデフォルトで表示されるのは、この契約によるものだろうとされている。利用者が Firefox Web ブラウザで Google 検索を実施する度に、Google からはロイヤリティが Mozilla に支払われることになっていると推測される。

Firefox Web ブラウザのホーム画面 デフォルトでは Google 検索が表示される
Firefox Web ブラウザのホーム画面
デフォルトで Google 検索が表示される

2005年以降、Firefox の利用者は年々増加を続けており、それに伴ってロイヤリティの額も年々増加を続けている。Mozilla の決算報告書には次のようにある。

「Mozilla は複数の検索エンジンや情報プロバイダと提携し、ロイヤリティ収入を受け取っている。これらの提携先からの収入は、検索エンジン企業や情報プロバイダを利用するエンドユーザーのアクティビティで決定される」

2012年の Mozilla のロイヤリティ収入は、3億500万ドル。2011年の1億6,200万ドルからは大きな伸びを示した。3億500万ドルのうちの3億ドルが Google との契約によるものだ。

Google は Mozilla の唯一の収入源ではない。Mozilla は、個人および企業から寄付を受け取っている。その金額は2011年の44万8,000ドルから大きく伸び、2012年には85万5,000ドルに達している。

収入が伸びた一方、経費も増加した。経費の多くはソフトウェア開発にあてられており、2012年の開発費は2011年の1億300万ドルから44%伸びて1億4,900万ドルに増加した。ロイヤリティ収入は前年比で88%増加していることを考えれば、Mozilla にはソフトウェア開発費をさらに増加させる余地があることになる。

とはいうものの、Mozilla の収益が Google 1社に依存していることが懸念材料であるのは間違いない。Google がこの契約を破棄したとき、Mozilla はどこから収入を得ればよいのだろうか?

決算報告書を見ると、Mozilla は2012年末の時点で、様々な分野に1億2,100万ドル投資していることがわかる。もちろん、投資事業からの収益は保証されたものではないが、これが Mozilla の方向性の1つを示していることも確かだ。

将来の収益の柱となりうるもう1つの事業は、モバイル OS「Firefox OS」だ。現時点では、Firefox OS はまったく利益をあげていない。だが、私は Firefox OS は Android や iOS の代替 OS になり、新興市場におけるダークホースになりうると考えている。

Mozilla は大きな売上をあげてはいるが、同団体が営利目的の企業でないことは忘れてはならないだろう。Mozilla の目的は、利益をあげることではなく、Web をオープンなものにすることだ。Mozilla は、開発にも運営にも十分な資金を保有している。Mozilla が、これまでもそうだったように、これからもその使命に忠実であり、その潤沢な資金を、Web をより良い場所にするために使って欲しいと望む。

Sean Michael Kerner
Sean Michael Kerner は、eWeek および InternetNews.com の主任編集者。