広告配信にあたり、自社サイトを訪れているユーザーがどんな人たちで、かつ Web サイト内でどういった行動をしているのかを捉えることができれば、自ずと対策内容が見えてくるであろう。

この“見える化”を助けるのが Web 解析ツールである。

Web 解析ツールを使って、単純に、どの流入経路からどのページへの流入増減があり、獲得に影響したのかという状態を把握しているだけでは、宝の持ち腐れである。状態を把握してから問題を解決する仕掛け作りができてこそ、Web 解析データの真骨頂を発揮する部分と言えるだろう。

本編では、Web 解析データからどのような要素を読み取り、ユーザー獲得を最適化していくかについて、紹介していきたい。

■サイト訪問ユーザー情報を活用する

サイト訪問におけるユーザーデータは Web マーケティングでは大きな資産である。その資産を有効活用しない手はない。Web 解析データでは、サイト訪問ユーザーがどんな検索ワードで流入してきているか、ユーザー行動(流入元や滞在時間/訪問頻度/PV 数/訪問ページ深度/購入履歴などのサイト内行動)がどのような状況なのか、といった情報が取得できる。

これらのデータをクロスして見た時、来訪を促す集客の仕掛け作りで、より価値の高い情報が浮き彫りになるだろう。例えば「A という検索ワードで月間何人流入してきている」「月間のこのページの PV 数」という“点”の情報から、「Aという検索ワードで流入してきたユーザーが特定のページへ遷移すると購入に至るケースが高い」といったユーザー傾向を、“線”の情報としてデータから把握できるようになるわけだ。

※Google アナリティクスや Yahoo! アクセス解析等では、年齢や性別といったデモグラフィック情報が取得でき、ツールによっては興味関心といったインタレスト情報やネットリテラシーといった独自のユーザー傾向を捉える切り口も出てきている。

■Web 解析データを広告の施策展開へ活かす

Web 解析データを広告の施策展開に活かすためには、いかにユーザーを理解し、それに合わせたユーザーコミュニケーションというアクションがとれるかが重要なカギとなる。ユーザーは何かしらのモチベーションをもって Web サイトを訪問している(もしくは Web サイト訪問しない選択をしている or Web サイトに行きつけずに訪問するチャンスを失っている)。よって、その情報を詳細に捉えた上で施策を考える必要があるのだ。

仮に訪問してきたユーザーが獲得に至らなかったケースがあったとしても原因をしっかりと明確にできていれば、施策によっては再アプローチもできるし、次回のユーザー接触時の獲得期待を上げることも可能となる。

--------------------------------------------------------------------------------
以下、ユーザーデータを元に状態把握から課題抽出、解決方法策定までを行う流れについての一例
--------------------------------------------------------------------------------

<状態把握>
直近、ユーザーが比較系のキーワード検索から自社サイトを訪問して2つの商品を見比べているが、購入に至っていないケースが多い。

<課題抽出>
商品スペック/価格比較コンテンツをもっているにも関わらず、そちらへ誘導できておらず、2商品の詳細ページを行き来させる不便さを感じさせている。ユーザーは購入に向けて比較検討フェーズに入っており、他社で購入してしまう可能性も高く、急を要する。

<課題解決方法策定>
リターゲティング広告配信を活用し、商品比較が簡単に行えるページでユーザーリーチすることで最適なコミュニケーションを図る。長期の比較検討が必要な商材ではないため、該当ユーザー群に対して短期で広告リーチを強く取りモチベーションが高いうちに獲得をする広告配信チューニングを行う。こうした現状保有データを読み解き、問題に対しての仮説を含めた改善を試みることが重要である。

■顧客生涯価値(LTV※)視点でコミュニケーション設計を行う

ユーザー傾向に合わせ課題解決をセットで行うことを前述としてきたが、さらに捉えておきたい要素として、新規顧客獲得を目的としたアプローチなのか、既存顧客へのアプローチなのかという区分である。これは単純にユーザー属性の一つと片付けることのできない重要な情報であると考えている。なぜなら、ユーザー傾向値も変わってくるであろうし、獲得へ向けての施策計画も変える必要があるからだ。

新規顧客を捕まえるためには、商品メリットを理解してもらうための施策設計が必要である。リターゲティングで過去購入履歴のないユーザーをセグメントし新規顧客を断定、フリークエンシーや配信期間コントロールを行いつつコミュニケーションを変えていく等、ユーザーモチベーションを開花させる設計の必要がある。

既存顧客へのアプローチはリピート回転数を上げるための施策設計が必要になる。既存顧客へのアプローチはリピートタイミングを見計らうことや、過去購入商品と別の商品をレコメンドするようなアプローチも必要になってくる。ロイヤリティーを失った既存顧客(例えば、最終購入から相当期間 Web サイト訪問履歴/購入履歴がない顧客)をいかにまた呼び覚ますかも別のコミュニケーションアプローチをする必要がある。

現状の既存顧客の LTV を理解したうえで、目標の LTV 構造へシフトさせるための施策展開と結果の可視化をすることで、新規顧客獲得の KPI も精緻化することができるであろう。新規顧客/既存顧客という分岐を前提にそれぞれのユーザー群がどのようなサイト訪問の仕方をして、訪問後の行動はどうだったのか傾向値をつかみ、それぞれのアプローチの仕方を変えることで成果期待が高まっていくと考えられる。

※LTV…1人の顧客が取引期間を通じて企業にもたらす利益(価値)のこと。顧客重視のマーケティングにシフトしてゆく中で注目されてきた概念の一つ。顧客価値=利益×取引期間(ライフタイム)×割引率(現在価値係数)で算出される。

■まとめ

以上、Web 解析ツールを使ってユーザー属性傾向をつかんだ上で広告配信やサイト流入の施策を考えることの重要性を述べてきたが、「状態把握⇒課題抽出⇒課題解決のための“ユーザーリーチ方法”と“コミュニケーションプラン策定”の実施」という一連の流れをセットで行うことが、ユーザーの獲得を最適化していくにあたり大切なのである。

ある同じ属性をもったユーザー群が起こすアクションとパフォマンスを把握し、それごとに適した対策を探ることだ。当然、課題に対して対策が一定レベルの推測を交えたものになるため、思い通りに行かないことも往々にして起こるが、失敗した施策データですら有効活用できる資産とし、リプランニング出来るかもカギとなる。

リターゲティング広告という配信施策があることで、ユーザー傾向をつかんだ後にそのセグメントごとに配信シナリオ施策をあてることができるため、状態把握から施策展開とそのパフォーマンスのウォッチという PDCA を回すことが可能になる。まずは、獲得に対してどういったユーザーのどの行動パターンは成功し、どの行動パターンは失敗するケースが多いのかをしっかり把握することから始めよう。

執筆:株式会社アイレップ 第2コミュニケーション本部 チームマネージャー 豊島寛人
記事提供:アイレップ