スマートフォンの人口普及率は2012年末時点で約40%に達し、2016年末には70%を超える予測で日に日に増加している(*1)。この普及率に伴い、各企業においてスマートフォン集客の重要性が高まりつつある。本コラムでは、スマートフォン集客の中でもさらに重要な位置づけである「検索連動型広告の運用」という視点にフォーカスし、PC との特性の違いについて言及しながら、最低限押さえておいていただきたい運用ポイントについて紹介していく。

スマートフォンの検索連動型広告の運用にあたり、必ず押さえておきたいポイントは大きく、広告の露出順位のコントロール、時間帯・曜日別入札の検討、広告文の訴求策定の3つが挙げられる。

1. 広告の露出順位のコントロール

スマートフォンでは、PC と比較してディスプレイ表示面が小さく上部掲載できる広告が限られているため、下記のように露出順位が変化することで成果に大きな変動が生じる。

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上部枠(プレミアム枠)に掲載

↓CTR に差異(大)

下部枠に掲載

↓IMP に差異(大)

2ページ目以降に掲載※
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※Google アドワーズ広告や Yahoo!リスティング広告 スポンサードサーチでは、掲載順位や広告ランクによるインプレッション損失率が管理画面およびレポートで確認が可能だ(Google ではキーワード、Yahoo! では広告 Grp 単位)。成果が良い、または良いと想定されるキーワードに対しては、随時状況を確認することをお勧めする。

1キーワード単位の成果に応じた個別最適化では、キーワードの持つ成果獲得ポテンシャルを大きく抑制し、スマートフォン全体として大きな機会損失につながるリスクが発生する。入札単価を元単価の1〜2割引き下げただけであっても、クリック数・成果獲得数が半分になるということも、状況によって起こりえるのだ。

また、1キーワード単位で獲得効率の目標値を基準とした定量的な入札調整を図るだけでは、スマートフォン全体としてポテンシャルを最大に引き出すような効果は得られない。全体戦略として、掲載順位が3位〜4位以下のキーワード(上位表示の枠外となるキーワード)は PC と比較して獲得効率の許容範囲を高めに設定し、獲得優先で調整するなどの対応が必要だ。すなわち、定量的な許容レンジの引き上げ、または、スマートフォン内で獲得優先キーワードと効率優先キーワードとの合算で全体的に獲得効率を目標内に収めるといった“戦略の策定”が必要となる。

2.時間帯・曜日別入札の検討

PC と違い、持ち運びが前提となるスマートフォン端末では、当然ながら利用場面が大きく異なるため、時間帯・曜日別の成果変動にその特性が色濃く反映される。昼間に検索数が多い PC と比較して、スマートフォンでは昼休みを除き、検索数が少ない。会社の業務終了と併せて検索数が増加していく。要は、「自由時間、隙間時間」での利用となるケースが多いためである。

この違いをしっかり認識できていないと、1日を通した配信量の見通しと、獲得効率の異なる時間帯・曜日別に合わせた戦略的な入札ができない。自社アカウントの時間帯×曜日別の実績を確認し、成果変化の要因に仮説を持ち、入札に反映することを検討すべきである(現在 Google や Yahoo! は 7月に実施されたプラットフォーム移管に伴い、スマートフォン個別で時間帯別、曜日別に入札調整を自動で実施することができなくなったが、ユーザー行動に差異が生じる以上、将来的には実装される可能性もあると予測できる)。

3.広告文の訴求策定

PC との差異という点では、施策として最も難しいポイントとなる。スマートフォンならではのエッジとなる訴求は、普及当初のビジネスマン層や若年層といったデモグラフィックで PC と差がついていた点も、昨今では高年齢層にも普及が進んでおり、もはやエッジとなりづらくなっているのが現状だ(*2)。

一時期流行した「スマホ対応サイト」のような、スマートフォン対応をしている旨の訴求も、各サイトのスマートフォン化が浸透してきた今では効果が鈍い。もし現在もスマートフォン対応訴求を実施している場合は、他メリット等の訴求に置き換えた広告と改めて AB テストを実施すべきだろう。スマートフォンの訴求フックのポイント例としては、やはり PC との“ユーザーシチュエーション”の違いとなる。

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・合間時間、暇時間で検索しているユーザーをターゲット
→時間がない、急いでいる、暇がない
→決済の簡易訴求
→即日配送訴求
・店頭で価格相場を知りたいユーザーをターゲット
→在庫連動に紐づいた価格訴求
→ネット購入のメリット訴求        など
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スマートフォン広告文だからこその、「これ」といった定型の王道訴求は存在しない。運用担当者は自社・クライアントのスマートフォンユーザーの口コミデータ等を共有してもらい、タッグを組んで勝ち訴求について議論していく必要があるだろう。

以上、現時点でスマートフォン運用において重要となるポイントを紹介させていただいたが、今後、市場が急速に成長する中でデバイス・ディスプレイ広告を横断した最適化が進み、運用はさらに高度化・複雑化していくであろう。今はスマートフォン運用における基礎環境の構築に努め、変化に取り残されないためにも、しっかり下準備しておく必要がある。

*1 出典元:?シード・プランニング「世界のスマートフォン普及予測」2012/7/26
*2 出典元:japan.internet.com「スマートフォンが高年齢層にも普及、Android 6割対 iOS 4割」2013/4/5

執筆:株式会社アイレップ第1コミュニケーション本部 上田大助

記事提供:アイレップ