ターゲティングの方法も従来の「枠への配信」から「人への配信」へとシフトしつつある中、今回はこの「人への配信」に関わる分野で今後の潮流となるであろう、オーディエンスデータマネジメント(ADM)と呼ばれる領域について説明していきたい。

●オーディエンスデータマネジメントでクリック率(CTR)、コンバージョン率(CVR)アップ

デジタルマーケティングにおける“オーディエンスデータマネジメント”とは、ユーザーのインターネット上での行動や情報を統合して分析、分類することである。現在は、ユーザーの行動データ、例えば Web サイトに来訪してから何日後か、Web サイトのどのページまで閲覧したか、といった情報を基に行う配信方法だったり、あらかじめ媒体側が提示した、性別やユーザーの興味などのターゲティング手法から選定する配信方法が主である。

オーディエンスデータマネジメントでは、デモグラフィック情報やジオグラフィック情報、時間、頻度などのセグメント軸を必要に応じて加えることで、ユーザーの購買行動プロセスにおける多様な心理段階に合わせた配信手法にしたり、広告の訴求を変更したり、できるのである。

このオーディエンスデータマネジメントが重要なのは、冒頭で挙げた「人への配信」において、ターゲティングの精度を向上させることができるからである。誰もが広告配信に際しては効果と効率をいかに向上させるかということを考えているが、この効果と効率を高めるためには適切な人、すなわちユーザーの分類が必要なのは言うまでもない。

●考え方はリアルの世界と同様

最適化の考えはデジタルという領域に踏み込んだときもリアル店舗と変わらない。本来デジタルはアプローチする手段であって、目的ではない。一番大事なのは“顧客”であり、いかに多くの顧客をコンバージョン数(CVs)に繋げられるかどうか、ではないだろうか。

例えば、レストランの来店客にもし子供がいた場合、喜びそうな玩具や子供用の椅子を差し出したり、女性同士であれば女性向きのコースメニューを勧めるなど、顧客に応じた対応をするだろう。席を立ってキョロキョロと何かを探している様子の顧客には、化粧室の場所を案内するかもしれない。

良いセールス・接客とは、その人の特徴や動きに合わせて様々にアプローチを変えることができることではないか。それと同様に良い広告というのは、ユーザー側から見たときに、ユーザーが「自分のために出ている」と思える広告といえるはずだ。

幸いなことに、デジタルの世界でのユーザーは、Web サイトの来訪頻度、来訪時間、会員・非会員、購入金額など、リアル店舗ではなかなか把握しきれない情報まで引き連れて Web 上を回遊している。それらの多岐に渡る情報から最適なセグメントを探し、最適なコンテンツを配信することが可能になってきているのだ。

執筆:株式会社アイレップ 第3コミュニケーション本部 瀧澤龍次郎
記事提供:アイレップ