日本マイクロソフトは7月2日、代表執行役社長の樋口泰行氏による、新年度の2014年度(FY14)の経営方針を説明する記者会見を開催した。

樋口氏によると、同社の法人向けビジネスは大変堅調に推移しており、特に新政権発足後、好調だという。FY12、FY13 と2年連続で2桁成長を達成しているそうだ。

■「真に日本で信頼される企業」を目指して

樋口氏がマイクロソフトの代表執行役社長に就任したのは2008年4月1日で、その後約5年が経過した。

樋口氏は、社長就任直後、2008年7月1日に開催された FY09 新年度経営方針説明の会見で、社員向け行動規範として、「組織連携とコラボレーションマインド」「戦略実行インパクトの最大化」「執念とパッションをベースにしたハートフルなオペレーション」などを掲げた。

また、「マイクロソフトの目指すべき企業像」として、「顧客に顔の見える企業」「パートナーとの密な協業」「ビジネス/コンシューマ両市場で革新的」「企業市民としての貢献」などの項目を掲げた。

今回、樋口氏は、この5年間を振り返り、「FY09 から FY11 までは土台作りの時期だった。企業の組織や文化を変革するには、経験上2年から3年かかる。これを先にやらないと企業は変革できない」と語った。

FY09 では事業間連携を強化すべく、組織の壁を破壊し、組織改革を断行、新組織を創造した。FY10 では、社員の基本動作を徹底、組織改革を定着させ、全社一丸となった事業経営を目指した。そして、FY11 には、中長期視点での日本市場に対する戦略と取り組みを明らかにした。

これらを土台に、FY12 と FY13 で、「真に日本で信頼される企業」を目指し、「デバイス」「クラウド」「ソリューション」の企業戦略を展開した。また、FY12 期中の2011年2月1日には、東京都内にある新宿、初台、代田橋、赤坂、霞が関の5拠点のオフィスを統合して品川に移転、社名も「日本マイクロソフト」に変更した。物理的にも心理的にも、社員を一か所に集めることは、重要だろう。

マイクロソフトは FY14 で「デバイス&サービスカンパニー」に転換―主軸は Surface と Azure
樋口泰行氏

■デバイス&サービスカンパニーへの変革

新たに始まった FY14 では、日本マイクロソフトは米国本社の戦略に沿い、「社運をかけて」デバイス&サービスカンパニーへの変革を進めるという。

従来の、ソフトウェアのライセンス販売事業形態から、モバイルデバイスに注力し、ソフトウェアをクラウド経由のサービスとして販売する、思い切った決断である。

Steve Ballmer 氏も、「われわれはこの分野では必ずしもリードしているわけではないので、挑戦者として取り組んでいく」と、社内で宣言したという。Balmer 氏はまた同時に、社内のチームワークも強調しているそうだ。デバイスとクラウドサービスをシームレスに連携するには、組織横断的にチームワークを発揮できる社内体制が必須だ。

ところで、Microsoft の「デバイス」と言えば「Surface」である。2012年6月18日に発表した自社開発のタブレット、Surface の売れ行きは同社の予想を下回り、あまり好調とは言えなかった。

だが、Strategy Analytics によると、2013年第1四半期のタブレット端末は売上が劇的に上昇、Windows と Android ベースのタブレットが市場シェアを伸ばしているという。

「人々は、そんなにいろいろのことがタブレットでできるわけではないのに気付き始めた。タブレットの PC の利便性を兼ねた Surface の人気が急速に上がり始めているのは、その証拠だ」

日本マイクロソフトでは、3月15日から Surface RT の販売を開始している。Surface RT の OS は Windows RT で、「Office 2013 RT」を標準搭載し、キーボード付きカバーもあるタブレットだ。Windows RT は Windows 8 の ARM 版。

また、6月7日からは、Windows 8 Pro を搭載した Surface Pro の販売も開始した。Windows 8 アプリ以外に従来のデスクトップアプリケーションも使用できる。日本市場向けモデルは「Office Home and Business 2013」も標準搭載している。

デバイスビジネスを強化する
デバイスビジネスを強化する

同社は、これらタブレットを好調な法人向け市場でも展開しようとしている。米国 Microsoft は7月1日、Surface の法人向け市場への展開を発表したが、樋口氏も、7月8月9月中に法人向けタブレットの販売を開始することを示唆した。すでに100件ほどの案件があるという。

同社の法人向けクラウドサービスの中核は Azure と Office 365 だ。

Office 365 のユーザー企業の9割が、PC 250台以下の中堅中小で、そのうちの85%が、Exchange や SharePoint を使ったことがない企業だという。日本マイクロソフトは、Office 365 でまったく新しい顧客を取り込んだ、と樋口氏は語った。

日本マイクロソフトでは、クラウドサービスの品質を維持するため、米国本社に駐在員を1名派遣し、また、「クラウド事業推進室」を新設した。まずは5名からの組織で始め、組織横断的に動ける仕組みを作り、組織間連携とチームワークでクラウド事業を推進する体制を目指す。