近年、日本企業において、英語公用語化や外国人採用活発化など、海外へのビジネス展開が身近なものになってきているが、リスティング広告においても同様に、日本のみで広告出稿を考えていた広告主が海外への出稿も始めており、数年前と比較するとその注目度は非常に高まっている。

しかし、日本で広告出稿をしているからといって、日本で行っているのと同じように考えていると、思わぬ落とし穴が待っている。商習慣の違いはもちろん考慮するとして、それ以外にも、日本だけで行う時とは異なるポイントがいくつか存在するのだ。

そこで本コラムでは、スムーズに海外で広告出稿を進めるためにはどうしたらよいか、ちょっとしたことではあるが、知っておいたほうがいいポイントについて、アカウント開設の段階に絞り、広告主からの問い合わせの多い Google アドワーズ広告、Yahoo! リスティング広告、百度リスティング広告の3媒体にそれぞれ分けて、アジア圏を中心に以下に纏めてみた。

■媒体選定〜アカウント開設まで

まず、ターゲットとするユーザーへアプローチするにはどの国へ、どの媒体で出稿するのが効果的か、見定める必要がある。日本であれば Yahoo! プロモーション広告 スポンサードサーチや、Google アドワーズ広告から始めることが多いと思うが、他国ではどうだろうか。

判断材料として良く使われるのが、各国の検索エンジンシェアだ。

例えば、   
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【中国】
百度    Google    搜狗 
78%    15%    3%
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【韓国】
NAVER    Daum    Google
77%    14%    5%
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【香港】
Google    Bing    百度
57%    19%    5%   
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※出典元:中国:CNNIC 2012 韓国:intermet trend2012  香港:Hitwise2012 

このように、対象国によって比率が全く異なるのが分かる。シェアが低い媒体は、思ったような成果が出なかったり、検証が難しくなり、データの有用性が低くなることも考えられるので、中国なら百度、韓国なら NAVER、香港ならGoogle …など、それぞれの国の状況をしっかりと確認し、各国主要媒体から始めてみることを勧める。

1)Google アドワーズ広告の場合

1言語ごとにアカウント作成を推奨する。
例)香港 英語配信
香港 繁体字配信

同じアカウント内でキャンペーンごとに言語を分けて出稿することも無論可能だが、となると、アカウント全体の成果=言語ごとの成果にならず、レポートをその都度分ける必要があり、運用コントロールがしにくくなる。できれば、国ごと・言語ごとにアカウントは分けておきたい。

Google は日本配信と同様に、国別にシステムが分かれていたり、インターフェイスが違うということはないので、アカウント開設し、配信設定をそれぞれの国・言語にすれば OK である(インターフェイスは日本語がある)。

2)Yahoo! リスティング広告[Yahoo! 台湾(Yahoo! Digital Marketing Limited)、Yahoo! 香港(Yahoo! Hong Kong Limited)]の場合

日本はヤフー株式会社が運営しているが、台湾、香港では Yahoo! のリスティングは米国Yahoo!(Yahoo! Inc.)が運営している。管理画面のインターフェイスは Panama※ の管理画面で日本のものとは異なる。

管理画面は中国語(繁体字)と英語の2つの表記が可能である(日本語はない)。また、請求については、米国時間で計算されるので、注意が必要だ。各国の祝日によって、アカウント開設に時間がかかる場合がある。

※Panama…Yahoo! JAPAN が過去に採用していた広告プラットフォーム

3)百度リスティング広告の場合

百度は、中国で圧倒的シェアを持つ検索エンジンサービスである。他の国と同様、中国の祝日(春節、国慶節)によって、アカウント開設が通常より日数がかかる場合があるため、注意が必要だ。管理画面は中国語(簡体字)のみである。

中国に現地法人があり、自社で運用する場合は、中国の百度で直接アカウントを作成することもできるが、リスティング広告を熟知した中国人のスタッフが必要となるだろう。

以上、基本的なことではあるが、海外で広告出稿をするにあたり、アカウント開設の段階においても国ごとに特徴が異なるため、考慮すべきポイントがあることをしっかり理解していただきたい。また、スムーズに広告掲載を始めるためにも、時間には十分に余裕を持って進めることをお勧めする。

執筆:株式会社アイレップ第3コミュニケーション本部 堀 紗織
記事提供:アイレップ