オープンソースの OpenStack は、クラウドコンピューティングにおける大きな勢力となった。OpenStack は現在では Dell、HP、IBM、Cisco、AT&T といった IT 業界の最大手企業によってサポートされている。

4月4日、OpenStack の7つ目のメジャーリリース「Grizzly」が登場した。

OpenStack クラウドプラットフォームに、最新バージョン「Grizzly」が登場
OpenStack Foundation の Jonathan Bryce 氏は InternetNews.com に対し、Grizzly 開発上のテーマは、安定性とスケーラビリティだったと述べた。

「OpenStack は、多くの IT 企業のイノベーションの中心であり続けている」

Grizzly では、マルチハイパーバイザーサポートを実現している。Xen および KVM 仮想化ハイパバイザーが OpenStack Nova コンピュートプロジェクトの中心にあることは変わらないが、Grizzly では Microsoft の Hyper-V と VMware ESX もサポートされている。

Microsoft Hyper-V は、以前は OpenStack でサポートされていたが、2012年2月に一度サポートは中止されている。Bryce 氏によれば、Microsoft のチームは現在は OpenStack での Hyper-V のサポートに非常に活発に参加してくれていると述べた。Microsoft は OpenStack Foundation のメンバー企業になっているわけではない。だが、財団のメンバー企業かどうかは開発支援の条件ではないと、Bryce 氏は述べている。

スケーラビリティ

Grizzly リリースには、クラウドのスケーラビリティを向上させる新しい機能が追加されている。

そのような機能の1つとしては、Nova コンピュートプロジェクトに追加された「Cells」があげられる。これは、複数の Nova モジュールを単一の Nova API で管理できるものだ。Bryce 氏は次のように説明した。

「『Cells』は、OpenStack でのスケーリングを拡張する。Cells は、複数の OpenStack デプロイ上にアグリゲーションレイヤを作成し、API エンドポイントに送信する」

「Quantum」ネットワークモジュールには、「サービスとしての負荷分散(Load Balancing as a Service:LBaaS」機能も追加された。LBaaS 機能は、クラウド上でのアプリケーションのスケーリングにフォーカスしている。

Bryce 氏は、Grizzly リリースの LBaaS は6か月後にリリースされる次期バージョンの OpenStafck ではさらに拡張される予定だと述べた。

ストレージ

OpenStack Grizzly でデビューしたストレージ機能としては、「Swift」ストレージプロジェクトに追加された「起源間資源共有(Cross-Origin Resource Sharing:CORS)」がある。

「『CORS』 は、Web アプリケーションがオブジェクトストレージを利用している場合に、大きなメリットを提供できる。これまでの Web アプリケーションでは、すべてのコネクションは Web サーバーを経由しなければならなかった。その後 Web サーバーがオブジェクトストレージに問い合わせをし、レスポンスをクライアントに戻していた」

CORS は、はるかに効率的だ。CORS では、Web サーバーは処理を別システムに渡すことができる。

「CORS モデルでは、Web ブラウザはバックエンドシステムに直接接続して、直接レスポンスを得ることができるようになる。これによって、より高いパフォーマンスを得ることができ、不必要な中間処理を排除できる」

Dashboard

OpenStack は、Horizon Dashboard プロジェクトも向上させた。これは、2012年4月の OpenStack Essex で初めて統合された機能だ。

Grizzly で搭載された Horizon Dashboard は、Folsom に搭載されたものと機能面では変化はないという。だが、その使い勝手が向上されている。

「Grizzly の Dashboard では、UI が改善されている。ネットワーク管理ワークフローにおけるユーザー体験も向上した」

相互運用

OpenStack の人気が高まりデプロイ数が増加するとともに、相互運用性への要求も高まっている。

OpenStack 開発コミュニティは、積極的にクラウドの相互運用性についてテストをしているが、これはまだ未完成だという。

「OpenStack に関わった人は誰もが、その潜在的な可能性を最大限に引き出すには、OpenStack によるクラウド間の相互運用方法を確立することが重要であることに同意してくれる。その方法については現在詰めている最中ではあるが、我々の目指している方向性は間違っていない」

Sean Michael Kerner
Sean Michael Kerner は、InternetNews.com の主任編集者。