東日本大震災の発生から2年。「いま、私たちが被災地のためにできることとは何か」--このテーマは、多くの人の心の中にある思いである一方で、その明確な答えを見出すことができない難しいテーマでもある。ボランティア、募金、観光、商品購入……支援の形も様々だが、何が被災地の今にとって最も良い手段なのかは、誰にもわからないのかもしれない。

「いま被災地に必要なのは、どんなにささやかなことでも、被災地とのつながりを持ち、被災地のことを思い続けることだと、私たちは考えている」そう語るのは、ソフトバンクグループ通信3社(ソフトバンクモバイル、ソフトバンクBB、ソフトバンクテレコム) 総務本部 CSR 企画部 部長の池田 昌人氏。

池田氏は、ソフトバンクモバイル、ソフトバンクBB が提供するオプションサービス「チャリティホワイト」を企画し、またソフトバンクの代表取締役社長 孫 正義氏の寄付金を元に設立された公益財団法人東日本大震災復興支援財団の事務局長として、被災地の支援を続けている。池田氏が「チャリティホワイト」を通じて実現を目指す、“これからの被災地支援の在り方”を伺った。
 
ソフトバンクグループ通信3社 総務本部 CSR 企画部 部長の池田 昌人氏
ソフトバンクグループ通信3社 総務本部 CSR 企画部 部長の池田 昌人氏

■毎月の携帯電話料金に10円をプラスする継続的な支援

ソフトバンクモバイルとソフトバンクBB では、毎月の利用金額に10円(ソフトバンクモバイルあるいはソフトバンクBB からも10円を拠出)をプラスして、東日本大震災復興支援のための寄付ができる契約者向けオプションサービス「チャリティホワイト」を2011年8月から展開しており、2013年2月8日時点で申込件数は100万件を突破。既に7,628万3,098円を中央共同募金会およびあしなが育英会に寄付している。
 
「チャリティホワイト」活動報告特設サイト
「チャリティホワイト」活動報告特設サイト

集まった寄付金は、主に被災地の子どもの支援に役立てられているという。被災地で子どもの支援のために活動しているボランティア団体や NPO 法人などの支援に役立てる“間接支援”の仕組みである点が特徴で、被災地で実際に行われている支援活動から生まれる具体的なニーズに対してより的確なサポートを継続的に行っていくのが狙いだ。

2013年3月7日には、「被災地に継続的な支援をしたい」というユーザーの声に応える形で、「申込日に関係なく2014年3月31日まで」としていた寄付期間を「申込日から2年間」に仕様変更することを発表。申込み日から2年の時点で自動的に解約となるが、期間中の中途解約、期間満了時の再加入は契約者の自由としている。

池田氏は、これまでの「チャリティホワイト」の動向について、「1年半で100万もの支援の輪が広がったことは率直に嬉しい」と語る。「チャリティホワイト」は、開始当初から「広告費を投じる予算があれば、被災地のために活用すべきだ」との考えから一切の広告費を使わず、契約者への認知施策は、主に新規加入の際の店頭での説明や SMS、毎月の請求確定の通知など。告知は限定的だったが、口コミなどによって認知は拡大し、「毎月10円」という手軽さと併せて100万以上の加入件数を集める原動力となったのだという。

■「チャリティホワイト」は、被災地へのメッセージ

しかし一方で、ソフトバンクモバイルの回線契約者数が3,000万件を超える状況の中、「チャリティホワイト」の加入件数がその10分の1にも満たないという現状に残念な思いもあるのだそうだ。池田氏は今後の被災地への継続的な支援のために、「チャリティホワイト」の認知度を上げていくことに課題意識を持っているという。

「より多くの方にこのような支援の枠組みがあることを知ってもらうことが課題だ。被災地の方々は、震災や被災地のことを忘れられることに恐れや寂しさを感じている。被災地の方々のためにも、きちんとサービスの存在を伝える活動をしていくべきなのではないか」(池田氏)

池田氏によると、いま被災地にある問題は義援金や経済的支援で解決できるような単純なものではなく、この2年で複雑化したと感じているという。だからこそ、池田氏は、現在の「チャリティホワイト」が持つ意義は、寄付金という経済的なものだけではなく、それ以上に大きなものがあると考えている。困難に直面している被災地の方々に対して「チャリティホワイト」を通じて「被災地を忘れない」という思いを届けることが重要だと考えているのだ。

「『チャリティホワイト』の意義は、寄付金の大きさだけではない。“あなたたちを見続けている”というメッセージが被災地に届くことが、大きな意味を持つと考えている」と池田氏は語る。100万件もの加入者が「チャリティホワイト」を通じて被災地を想い、被災地と繋がり続けるという無形の価値が、被災地にとって大きな力になるのではと考えているのだ。

■大事なのは、続けること。細くても、被災地への思いを燃やしてほしい。

池田氏は、支援先の選定や具体的な支援内容の策定を被災地の変化に合わせて柔軟に行いながら、この「チャリティホワイト」の枠組みを今後も継続していきたいと語る。「チャリティホワイト」が「大事なのは続けること」というスローガンを掲げているように、「何をもって復興とすべきか」というゴールが見えない状況での被災地への支援は一時的なものではなく、継続的なものであることが重要だと考えているのだ。

「支援のために一瞬だけ大きく燃え上がってすぐに燃え尽きてしまうくらいなら、細くてもいいからずっと被災地への気持ちを燃やしてほしい。片意地を張って支援活動をすることは、必ずしも必要ではない。『チャリティホワイト』だけでなく、東北の特産品を買ったり、東北産の食材を食べたり、無理のない支援を通じて被災地への意識を長く持ち続けて欲しい」(池田氏)

多くの人は、日ごろの生活において四六時中被災地に思いを寄せ、被災地の支援に関わっていくことは困難だ。しかし、日常生活の中での様々なきっかけや、「チャリティホワイト」のような継続的な支援に参加することによって、被災地とのつながりを持ち続けることが、私たちがこれからできる支援の在り方のひとつだと、池田氏は考えている。

「『チャリティホワイト』は、被災地と加入者とをつなぐ象徴として、これからも“被災地を忘れない”という多くの人の想いを被災地の方々に伝える存在でありたい。そして、加入者から集まった寄付金を活用しながら、被災地で活動する団体と連携を進め、被災地にある様々な課題に立ち向かいたい」(池田氏)