そもそも広告とは何なのであろうか。「企業がユーザーに認知をしてもらいたい事を Web サイトを通じて伝える」、この表現は稚拙かもしれないが「広告とは」という問いに対してのシンプルな回答になるのではないだろうか。この考えに基づけば、広告は「企業とユーザーの対話」であると捉えることができる。

デジタルマーケティングにおける「シナリオ設計」と「運用」の重要性
図1)企業とユーザーの対話

つまり、「いつ」・「誰に」・「どこで」・「何を」・「どのように」伝えるかを設計することが重要な視点となるであろう。もちろん、これらは大上段となるビジネスターゲットの選定とブランドイメージの戦略がキーとなってくるものになり、非常に大きな話になってくる。本稿では、その大上段ではなく、広告運用の各論ベースでの考え方の紹介をしたい。

■シナリオ設計 

現在、各企業が取り組みを強化しているリターゲティング広告で活用できる例として考えてみたい。

例えばマタニティ系商材を取り扱っている通販事業会社のアプローチを想定してみよう。ターゲットユーザーはもちろん、妊婦さんが中心となる。この条件が与えられたときに、広告でのどういったアプローチを考えるだろうか。「妊婦さんは胎児を気遣うから…」、この視点ももちろん重要である。この視点から出てくるのは、「ユーザーに対して安心感を持ってもらえるような訴求を」といった考え方になるであろう。では、こう考えてみてはどうだろう。「初めて Web サイトに訪れてくれる時、ユーザーはどういう状況なのだろう?」
   
仮説:妊娠が発覚した直後で色々と調べて辿りついた。この仮説に基づけば、妊娠3か月前後のユーザーが多いと想定できる。さらに「妊娠〜出産」という流れを考えていけば、出産までの期間でユーザーにどのような変化が起こるかを想定することができる。これらを考えていけば、初回の訪問時から出産後まで、それぞれの期間においてユーザーに対してどういった商材を提示してあげたらいいか見通しを立てることができる。 

図2)妊娠時期と必要商材の関係例
図2)妊娠時期と必要商材の関係例

■運用 

運用型広告において「入札」は非常に重要な要素である。ではその入札では何を考えていけばいいのだろうか。

・入札で目指す目標(ご予算・成果)  
・何を成果として評価するか
・成果評価の期間/単位  
・各指標(Rank・CPC・CVR など)

入札によって目指すゴールのために、どのレベルでデータを分解し、どのような変動をさせればそこに至るのか考慮されていることが重要である。

上記の中でも今回は成果評価の期間について深堀してみたい。期間の切り方だけでも、前日・前週・前月・前四半期・前年など様々な切り口を持つことができる。もちろんその都度の目標に対してその期間を選定していくことが重要な視点である。では、例えば「前週実績に基づいて毎週入札をしている」際に問題として挙げられる下記のケースはどう考えていけばよいだろうか。

図3)毎週の成果推移グラフ例
図3)毎週の成果推移グラフ例

この問題は、単週毎の成果に基づいた調整となるため、過去の背景を考慮できていないことが要因である。では、過去の背景を捉えるにあたってどちらが解として適切であろうか。

1.直近4週間の成果合算に基づく調整にする
2.直近4週間の成果推移に基づく調整にする

おそらく「2」とお答えいただく方が多いだろう。その方が良いと考えられる理由は下表を見てもらうとわかりやすい。

表1)毎週の成果推移例
表1)毎週の成果推移例

週毎に成果が変動しており、A・B・C・D は直近週では全て「×」となるが、その前の推移は全く異なっている。

A:成果が安定していない
B:安定したが直近週のみ「×」であり、一時的なものかが疑わしい
C:ずっと「×」
D:安定していないように見えるが3週目はいい状態になっている

つまり、これまでどういう経緯で直近成果が「×」になっているかを考慮したうえで、入札の調整をしていかなければ、成果を安定させることは難しいということである。各論として、「シナリオ設計」「運用(入札)」について述べてきたが、大上段の戦略に対して、どういった戦術をとっていくかが決まり、それに対しての施策を考えていくという流れができていることが大切である。今回の各論に関しても、このような視点を持っていることが重要であるという紹介であり、全体の戦略の中でこれらをどう結び付けるかについて考えることが、今後のデジタルマーケティングにおいて重要なポイントと考察する。

執筆:株式会社アイレップ  第1コミュニケーション本部  松尾 謙吾
記事提供:アイレップ