宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2012年11月に国際宇宙ステーション(ISS)第32次/第33次長期滞在クルーとしての任務を終え、地球に帰還した星出彰彦宇宙飛行士の長期滞在ミッション報告会を2月21日、東京都内で開催した。

ISS 長期滞在ミッション報告会で登壇した星出彰彦宇宙飛行士
ISS 長期滞在ミッション報告会で登壇した星出彰彦宇宙飛行士

星出氏は、2012年7月から2012年11月までの約4か月間 ISS に滞在。その中で、各国の宇宙実験棟の中でも最大規模となる日本の実験棟「きぼう」での実験や、日本から打ち上げられた宇宙ステーション補給機「こうのとり3号機」(HTV3)による物資補給ミッション、小さな衛星を「きぼう」から宇宙に向けて放出する小型衛星放出技術実証ミッション、3回にわたる宇宙船外での活動など、様々な任務に携わった。

同報告会で星出氏は、ISS に行く前の訓練や宇宙でのミッションや日常生活の様子を、写真や映像を交えながら説明。ISS に滞在する様々な国のクルーだけでなく、アメリカ、ロシア、日本をはじめ様々な国の地上スタッフが、国や空間を超えたチームワークで星出氏をサポートしたことを挙げ、「多くの仲間に支えられ、充実した4か月間だった」と語った。

船外活動の様子も動画の中で紹介された
船外活動の様子も動画の中で紹介された

また、星出氏と JAXA 有人宇宙環境利用ミッション本部長・理事の長谷川義幸氏ら、ISS でのミッションに携わった関係者によるトークショーでは、ISS で行われた様々なミッションの詳しい仕組みや苦労話を紹介。「こうのとり3号機」の話題では、ISS 滞在中に星出氏らが行った、ロボットアームを操作しながらの「こうのとり3号機」の捕捉や ISS へのドッキングの状況を、模型を使い説明した。

ISS 付近に「こうのとり3号機」が到着し、 ロボットアームでつかまえる時の様子を説明する星出氏(右)と長谷川氏(左)
ISS 付近に「こうのとり3号機」が到着し、
ロボットアームでつかまえる時の様子を説明する星出氏(右)と長谷川氏(左)

実際のところ星出氏らクルーは、およそ秒速8キロという高速で宇宙空間をランデブーする ISS と「こうのとり3号機」に生じる様々なケースをシミュレーションし、「もしも捕まえられなかったら」という最悪の事態も想定してあらゆる訓練してきたが、今回は幸いにも大きなトラブルは起きずスムーズに捕捉できたそうだ。

ISS 滞在中に生じた大きなトラブルは、船外活動中に ISS の修理に使用するボルトが穴に入らないというトラブルと、「きぼう」で行うメダカの飼育実験に使用する水槽に大きな気泡ができてしまうというトラブルだったという。トラブル発生を受けて、地上にいるアメリカ航空宇宙局(NASA)や JAXA の技術スタッフは、機材が限られた宇宙空間で可能な対応方法を考案し、星出氏がそれを宇宙空間で実践して対処したのだそうだ。

そのほか同報告会では、ISS での様々なエピソードや、宇宙開発における日本の技術や研究開発の貢献などについて語られ、会場に集まった約700人の観覧者は熱心に耳を傾けている様子だった。

最後に星出氏は、自身の今後の希望について「もちろん、もう一度宇宙に行きたい」としながらも、「現在は限られた人しか宇宙に行けないが、将来は誰もが宇宙に行けるよう、これからの宇宙開発に貢献したい。多くの人が宇宙に行くことでより可能性が広がり、新しい文化が生まれるだろう」と語った。
 
星出氏は苦労話なども冗談を交えながら話し、会場の笑いを誘った
星出氏は苦労話なども冗談を交えながら話し、会場の笑いを誘った