セールスフォース・ドットコムは12月6日、同社が主催するクラウドコンピューティング・イベント「Cloudforce JAPAN 2012」を東京ビッグサイトで開催した。

同イベントでは、「イノベーションとグローバルリーダー 〜これからの成長に向けて〜」と題した特別セッションが設けられ、進行役として米国セールスフォース・ドットコム CEO マーク・ベニオフ氏、ゲストとしてトヨタ自動車取締役社長 豊田章男氏と前米国務長官 コリン・パウエル氏が登壇。次世代のリーダーに必要なことは何かといったテーマを中心に意見を交わした。

リーダーに必要なのは決断し責任を取ること―トヨタ豊田社長が Cloudforce JAPAN 2012 で語る
「イノベーションとグローバルリーダー 〜これからの成長に向けて〜」
左からマーク・ベニオフ氏、豊田章男氏、コリン・パウエル氏

■重要なのは“決断すること”と“責任を取ること”

ベニオフ氏は豊田氏に「次世代のリーダーに求めることは何か」と質問。豊田氏はまず、リーダーは“決断すること”が重要であり、その重要性を認識する必要があると強調した。豊田氏は自らが決断する際には、直感的に3秒程度で行うことが多いという。だがその決断は、さまざまな方面に与える影響も把握した上でなされなければならない。次世代のリーダーに対しては、決断力とその影響を考慮できる判断力、さらにはその責任を取る能力を教育する必要があると述べた。

“責任を取ること”については、2010年の同社製自動車における品質問題で米国公聴会に出席した経験を振り返り、「(その時)自分は会社を守るために最後まで残って戦う“しんがり”役だという気持ちでいた。もし“トヨタの社長”ではなくなっても会社が残ればいい。矢面に立ち責任を取ることで会社の役に立つことを光栄に思った」と語った。こうした経験は、豊田氏自身のリーダーシップを成長させるきっかけとなり、昨年の震災時の対応で発揮されたという。被災地で働くトヨタ従業員に対して「本社報告のための会議はいらない。現場で即断・即決・即実行していい。ただし、彼らが良かれと思っても結果が伴わない時には自分が責任を取る」と伝えた。

■テクノロジーの発展とリーダーシップ

豊田氏は、リーダーのほかに組織内の人材育成の重要性も訴えた。パウエル氏が、「現在のテクノロジーによって兵士や兵器などの位置を容易に把握できるようになったが、本部の上層部が現地にいる部下などにどのように信任や権限を与えるかが課題だ」と述べたことに対し、「どう判断をしてどう行動をするべきか」という価値観の共有を常日頃行うべきとし、テクノロジーの発展でさまざまなツールを使用し情報共有が容易になっても「何を一番大事にするか」が違ってれば上手くいかないとの考えを述べた。

お互いの意見を交わす豊田氏(左)とパウエル氏(右)
お互いの意見を交わす豊田氏(左)とパウエル氏(右)

さらに、今後日本において新しい経営者が業界におけるリーダーなるにはどのようなしくみが必要かということについても意見が交わされた。豊田氏は、サポートするしくみが大切だと指摘。「米国などではアイディアに対して金銭的に支援をしたり、実績がない場合に信用をバックアップしたりするしくみがある」とし、日本でも必要だとの考えを示した。さらに、失敗しても再度やり直せるしくみも非常に重要とした。ベニオフ氏も豊田氏の意見に同調。パウエル氏は「人間は必ず失敗する。だが失敗は次の新しい機会につながる。大事なのは失敗から教訓を得てどう改善すれば良いかを積み重ねていくことだ」と加えた。

そのほか同セッションでは、テクノロジーの発展とともに変化するリーダーシップの取り方や、テクノロジーが自動車産業にどのような変革をもたらすかなどの話題もあがった。豊田氏は、テクノロジーの発展により SNS が世界中で普及する中、リーダーとして1日24時間の内どれだけ他者に貢献できるかを考えた場合、情報がいかにタイムリーに入ってくるかが重要とした。豊田氏自身は、現在世界中の従業員と繋がるシステムを活用して、一人一人の目線に立つ機会を得ているという。また次世代のクルマについては、例えば走行中のクルマ同士が会話をしたり、クルマから充電が必要なことを教えたりするなど、ユーザーがさまざまな情報を得られ、ワクワクするものにしたいとアイディアを語った。

会場は満席の状態で、来場者はみな熱心に2人のゲストの話に聞き入っていた。セッションは盛大な拍手のなか閉幕した。