プリペイド式の SIM カードの本人確認は日本では2005年に法が施行され、通信事業者は契約締結時や譲渡時に必ず本人の名義を確認することになっています。中国でも現在は窓口で身分証を出すか、外国人の場合にはパスポートの提出が義務付けられています。今回のコラムでは中国のプリペイド式 SIM カードの本人確認について触れることにします。

匿名のプリペイド式 SIM カードを中国で発見、その裏事情

まず、中国での SIM カードの一般的な契約方法は、通信事業者の店舗窓口か、携帯電話を販売している店舗での購入です。プリペイド(前払い)とポストペイド(後払い)がありますが、旅行者の場合には現地口座がありませんので一般的にはプリペイドを買うことになります。また通信事業者の直営店舗以外に、市中にある携帯電話ショップや代理店の窓口で買うこともできますが、正規の登録手続きを行っている直営店舗のようなところばかりではなく、他人名義のカードの横流しを行っている店舗も存在します。2G の SIM カードは主要空港の自動販売機で旅行者向けに今でも販売されており、事実上一部の匿名性が残されています。ところが、実際には都市部にある携帯電話ショップが多く並ぶような場所に行くと、本人確認を行わない 3G の SIM カードが一部で売られています。

中国では2010年9月に SIM カードの購入時の本人確認が義務付けられるようになりました(日本と同様「実名制」という表現です)。実は、中国での 3G の開始時期(2009年)とこの本人確認の手続きの開始の1年の空白の時間が、3G の SIM カードの「匿名市場」を作る要因になっています。取材の過程でいくつかの方法があることが分かっていますが、一つは、この時期に発行された SIM カードをチャージ(中国語で「充値」)しながら維持していた番号を売っている場合。番号を大量に保持している業者は中国のいたるところにあり、このような業者は番号が失効しないよう、有効期限が近づくごとにチャージして番号を維持しています。チャージには身分証は不要であるためです。またもう一つは、携帯電話事業者によっては、有効期限が2年間というカードもありましたので、2010年9月当時に駆け込みで入手した業者が持っていたものも市場に出回っていました。

なお、こうした SIM カードを実際に通信事業者の直営店舗に外国人が持っていくと身分証明書の提示を要求されることがあるほか、業者から買った時点ではチャージの残高が残っていたものの、その後の僅かな期間で失効してしまうということもあります。もし市中でこうした SIM カードを見つけた場合でも自己責任での取り扱いであるということに留意してください。

執筆:株式会社クララオンライン 家本賢太郎
記事提供:株式会社クララオンライン