11月8日に開催される第18回全国代表大会(中国では「十八大」と言います)に向けて北京の街の中も変化をし始めています。この原稿を書いている段階では党大会まで残り2週間をきっていますが、徐々に街の中には北京市や周辺の省ではない自動車のナンバーの車が増え始めている感覚を持っています。あくまで推測ですが、党大会で新たに任命される地方の代表の関係者が徐々に北京に集まり始めているのでしょう。

さて、日本の一部メディアの記事では党大会に向けて「封網」と呼ばれるインターネット規制の強化があるとの報道があります。封網の期間は確かにインターネット上の通信内容に関する規制が厳しくなると言われていますが、やや封網に対する誤解があるようで、狭義の封網はインターネットに関する検閲強化というより、むしろ通信全般の工事などに関わりがあります。日本の報道ではインターネット上の検閲が厳しくなることだけが取り上げられていますが、ここでは封網の存在自体について整理することにします。

まず、一般的に中国で封網と呼ばれる期間は一年間で平均的に5回から6回ほどあります。今年の具体的な日程を本稿で書くことは控えますが、共産党の会議や人民代表大会の時期だけでなく、長期休暇のタイミングにも重なります。この期間の長さはまちまちで、10日前後の封網もあれば、3週間程度続くこともあります。今回の十八大の場合、封網がこの日までであろうということは既に伝わり始めており、全体で2週間近い期間が対象とされています。

次に、その封網とは、インターネット上の通信内容の検閲強化というより、むしろ新たな通信回線の敷設を行ったり、接続のための工事を行ったりするような物理作業にまで影響するという点が重要です。この封網の期間中は基本的に中国国内の主要な都市では新たな通信回線の開設などの重要な工事ができなくなるため、ISP やデータセンタ事業者同士での回線接続作業などが全てストップします。またマンホールを開けて作業することが必要な新規回線の敷設も止まります。

背景には、例えば党大会などの重要な会議期間中、回線工事を行ったことで万が一事故があるとその影響が大きいため、これを避けようとしていると考えられます。ただし、これは中国だけの珍しい事象かといえばそうではなく、実際には日本でも総選挙などの際にこれと同様の対応があります。総選挙の公示期間中やサミットなど重要な国際会議が開かれている間は NTT の局舎などでの工事が止まり納期が通常より長引くのです。

もちろん、こうした期間に中国の当局にとって望ましくない情報が微博やブログなどで広まることに対してはより神経質です。そのため、普段は検索ができるキーワードが検索できなくなったり、見られるニュースサイトが見られなくなるといった影響が出ることは過去にもありますし、今後も想定されます。前者は主に検索エンジンやポータルサイト、微博のサービスを提供する各事業者が、後者は通信事業者が当局からの指示に基づいて実施していると推測されています。ただ、これは一般的な中国当局のインターネットに対する対応に過ぎず、封網と呼ばれるものとは別に捉えるべきです。

執筆:株式会社クララオンライン 家本賢太郎
記事提供:株式会社クララオンライン