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運動会向けデジカメ撮影術 -- スポーツフォトグラファー 水谷たかひとさんに聞く

japan.internet.com 編集部
2012年9月27日 / 11:00
 
もうすぐ、10月になると学校では運動会シーズンが本格化する。一年に一度の息子・娘の晴れ舞台なのだから、ここは写真をキレイに収めたい!というのが親心。なかなか上手に写真が撮れずに悩んでいる人も多いのではないだろうか。

そこで、スポーツ写真のプロフェッショナルであるスポーツフォトグラファーの水谷たかひとさんに、初心者でも簡単にできる"運動会の撮影テクニック"についてお話をお伺いした。なお、ひとことで「カメラ」といってもスマートフォンのカメラから本格的な一眼レフカメラまで様々な種類があるが、今回は最近急速に普及が進んでいるデジタル一眼カメラを例にお話を伺った。

水谷たかひとさんは、東京総合写真専門学校を卒業後に渡仏。オリンピックやモータースポーツ、ウインタースポーツなどを撮り続け、現在は日本国内に拠点を置き国内で開催される様々なスポーツイベントを撮影している。サンディスクのプロ写真家チーム「サンディスク・エクストリームチーム」の一員で、キヤノンの写真教室「EOS 学園」で講師も務める。

● まず、撮影前に用意するものは?


まず最初に、撮影前に準備するべきものについて伺った。デジタル一眼カメラは"レンズ交換式カメラ"とも言われ、レンズを取り替えることで様々な写真が楽しめるのが醍醐味だが、運動会の撮影などで必要なレンズは、「望遠レンズ」だという。

「運動会の会場では、撮影をする親はほとんどその場を動けない。その場合は、レンズをズームして自分の子どもを追いかけなければいけないため、遠くのものを大きく撮影できる望遠レンズが最適です。最近では"ダブルズームキット""ダブルレンズキット"という名前でカメラ本体と望遠レンズがセットになっている場合が多いので、それを選べば良いでしょう」(水谷さん)。レンズの焦点距離は、200mm から 300mm をカバーしているものが適しているという。

ちなみに、最近のカメラは高画素・高画質化が進み、初心者向けのカメラでもプロ顔負けの本格的な写真が撮れるのが魅力。そのため、カメラボディとセットになっている、いわゆる"キットレンズ"でも十分キレイな写真が撮れるのだという。また、最近では、レンズに手ブレを抑えてくれる「手ブレ補正機能」が付いているのがほとんどだが、この設定を「ON」にすることも忘れてはならない。

● なぜ、良いメモリーカードを選ばなければならないの?

引き続き、撮影前に用意するものとして水谷さんが「カメラや、レンズとともに大切なもの」と挙げたのが、メモリーカードだ。「いいカメラを使っても、いいレンズを使っても、メモリーカードで台無しになることもある」と水谷さんは強調する。

もちろん、最近ではデジタルカメラの高画質化や高速連写性能の進化により、高速・大容量のカードが不可欠になってきたことは言うまでもない。しかし、メモリーカードをこだわって選ぶことに対する水谷さんの考える理由は、他にあるようだ。

写真撮影にとってのメモリーカードの重要性を語る水谷たかひとさん
写真撮影にとってのメモリーカードの重要性を語る水谷たかひとさん

「私は、メモリーカードは"信頼性"が全てだと思っています。つまり、"絶対に壊れない"ということです。スポーツの撮影では、撮りたい場面は一瞬。やり直しは絶対にできない。そこで、もしメモリーカードが壊れて撮影した写真を記録できなければ、全ての努力が水の泡になってしまいます。1回の撮影で数千回というシャッターにも耐えてくれて、厳しい暑さや寒さなど過酷な環境にも強いカードでなければ、プロは仕事に使えないと思っています。」

スポーツの撮影現場では、撮影中に万が一カードの入れ替えをしなければならないと、プロの写真家として絶対に写真に収めなければならない一瞬のシーンを逃すことになる。メモリーカードの信頼性は仕事の成否を大きく左右する問題なのだ。また、水谷さんはこう続ける。

「プロだからこのような厳しい要求を持っていますが、運動会の撮影でも同じことが言えるのではないでしょうか。運動会では、写真に収めたい子どもの姿は"やり直しが絶対にできない"ものです。今ここでしか残せない一瞬を、メモリーカードのせいで台無しにはしたくないはず。安価なカードと信頼性があり性能が高いカードの価格差は、数千円程度です。そのお金をケチって悲しい思いはして欲しくないですね。我が子の大切な姿を収めるために、それを記録するメモリーカードをしっかり選ばない理由はないはずです。」ちなみに、水谷さんは「エクストリームチーム」に参画する前からサンディスクの製品を使い続けているというが、今まで様々な現場での撮影中に壊れたことは一度もないのだそうだ。

● 撮影に持っていくと便利なものは?カメラの扱い方の注意は?

次に、小道具と運動会の会場でのカメラの扱い方について伺った。水谷さんによると、最も重要なのは砂ホコリに対する注意だという。「デジタルカメラは高度な電子機器の塊。ホコリや水に弱いため、レンズの脱着やメモリーカードの出し入れは最小限にするべきでしょう」(水谷さん)。

また、レンズやボディについたホコリを吹き飛ばす「ブロアー」や、レンズ表面の汚れを拭き取る「クリーニングクロス」などを持っていると安心だ。ちなみに、レンズに装着してホコリや油汚れからレンズを守る「レンズフィルター」については、カメラ愛好家の間では賛否が分かれるところだが、水谷さんは「例えばレンズ面を守る保護フィルターなど、写真の画質に影響のないものを使用しています。」とのこと。ホコリがレンズ表面に付着したままだとキズの原因にもなるので、会場でもホコリ対策は万全にしたいところだ。

● 運動会をキレイに撮る、撮影テクニック4ヶ条!

準備に関して色々とお話を伺ったところで、今度は"実践編"を聞いていこう。水谷さんのお話を元に、「デジタル一眼カメラで運動会の徒競走を撮影する」というシーンで、撮影に望むにあたって注意しておきたいポイントを4つにまとめてみた。

(1)カメラのセッティングは"スポーツモード"!

まずは、カメラの撮影モードのセッティングだ。フルオートで撮影したい人は、カメラの「スポーツモード」に合わせるのが良い。動く被写体に対して最適なセッティングを自動で行ってくれるので、とても便利だという。

マニュアル撮影をする人は、「シャッター速度優先モード」にセットした上で、シャッター速度を1/1000秒〜1/2500秒に設定する。被写体ブレを抑えて子どもの表情をハッキリ撮るためには、限りなく速いシャッター速度で切るのが理想だ。オートフォーカスの設定は、被写体を追尾してくれる「コンティニュアスAF」(キヤノンでは「AIサーボ」)に合せ、シャッターのドライブモードは最も高速連写ができるモードに設定。ISO 感度は3,200を上限に「ISOオート」にしておけば問題ないという。

(2)カメラの構え方に気をつけろ!

次に、「いざ撮影!」という際に気をつけたいカメラの構え方について。写真の教科書などでは"肩幅に足を広げる""脇を締める"といったことが書いてあって、実践している人も多いと思うが、水谷さんはカメラの"持ち方"に工夫を凝らしている。

一般的に、カメラは右手でボディのグリップを持ち、左手はレンズの鏡銅を下から支えるように持つ。しかし、水谷さんは「レンズの先端に手を添えて、レンズ全体を支えてあげると良い」と語る。右の脇はしっかりと締め、左脇には力をあまり入れずにレンズの先端に手を添えてあげることで、カメラ全体が安定してブレが止まるのだ。

一般的なカメラの持ち方。レンズの鏡銅を下から支えるように持つ。
一般的なカメラの持ち方。レンズの鏡銅を下から支えるように持つ。

水谷さんのカメラの持ち方。レンズに指が触れない先端ギリギリを持つ。
水谷さんのカメラの持ち方。レンズに指が触れない先端ギリギリを持つ。

ファインダーにしっかり顔をつけて、左肘、右手、ファインダーの3点でカメラを支える
ファインダーにしっかり顔をつけて、左肘、右手、ファインダーの3点でカメラを支える

余計な力を加えないというポイントは、シャッターを切るときも同じだ。手ブレの原因のひとつは、シャッターボタンを押すときに力が入りすぎて身体や腕に余計なブレが生まれてしまうことで、あくまで自然にシャッターボタンを押して、そして連写モードに任せてシャッターを切り続けると良いという。

(3)「コンティニュアスAF」の動きを理解しろ!

次に、シャッターを実際に切る際に理解しておきたい「コンティニュアスAF」についてだ。「コンティニュアスAF」は、カメラのオートフォーカスが被写体を捉えてピントを合わせると、その被写体の動きに合わせてピントを合わせ続けてくれるというもので、走る子どもを撮るためには必要不可欠な機能だ。しかし、水谷さんによると、多くの人がその働きを理解していないという。

水谷さんによると、「コンティニュアスAF」で撮影する場合には、ピントが合ってからすぐにシャッターを切ると失敗することが多いという。「コンティニュアスAF で撮影する場合、ピントが合うとカメラは被写体の動きを予測しようと計算をはじめます。そのため、シャッターを切りたいポイントの少し前でピントを合わせて、計算する時間をカメラに与えてワンテンポ待ってからシャッターを切ると、コンティニュアスAF の特性を活かした連続写真が撮れるのです」(水谷さん)。つまり、シャッターを切りたいポイントをある程度決めた上で、その前から被写体にピントを合わせ続け、少し前からシャッターを切って連写をすることで、ベストショットに巡り会える確率が上がるのだ。
 
運動会でリレーの連続写真(撮影:水谷たかひとさん)
運動会でリレーの連続写真(撮影:水谷たかひとさん)

運動会のリレー競技で水谷さんが撮影した作例をみせていただいた。「走行ラインのイン側を、抜かれたくない為に反則だとわかりつつも走ってしまった子供。それを連続で撮影することができたため、この一瞬の面白さを強調できた。メモリーカードの容量を大きくして、ガンガン連続で撮影してもらいたいです」(水谷さん)。

ちなみに、コンティニュアスAFで撮影する場合にはズームが動いたり、ピントの位置が被写体から外れてしまうと、ピンボケした写真になってしまうことがあるため、一度決めた構図やズームの位置は動かさず、ピントは子どもの身体の中心に合わせ続けておくことが重要なのだそうだ。

(4)本番の前に練習をしよう!

と、このような少し難しい話を本番でいきなり実践するのは非常に難しい。そこで水谷さんがオススメするのが、事前の練習だ。「デジタル一眼カメラは、フィルムのカメラと違っていくら撮影しても失敗写真はあとで消去すればいい。公園で子どもが走り回っている姿などを沢山撮影してみて、様々なセッティングを試してみたり、失敗写真・成功写真の原因を把握してみると、撮影のコツがつかめるでしょう」(水谷さん)。

また、運動会の本番でも、我が子の出番を待つあいだに他のお友達を撮影して"練習"することもオススメだという。「いい写真が撮れればお友達に分けてあげることもできるので、コミュニケーションのきっかけにもなるでしょう。ただ、沢山写真を撮るといざ我が子の出番でメモリーカードが一杯になってしまうこともあるので、カードは大容量のものを用意することが大切です」(水谷さん)。

以上、4つのポイントを紹介したが、どれも初心者が実践できるものばかりだ。大切なのは、まず"練習"。準備から実践までのアドバイスを参考に、週末はぜひカメラを片手に子どもと公園や運動場に遊びに行ってみてはいかがだろうか。

● 我が子の一瞬を切り取った一枚は、"宝物"になる

最後に、水谷さんに運動会を楽しみにしているパパ・ママに向けて、"スポーツ写真"の魅力を交えてメッセージを頂いた。

「スポーツ写真の魅力は、競技者の一瞬の表情を切り取ること。これはプロスポーツでも、子どもの運動会でも同じだと思います。必死にスポーツに打ち込んでいるとき、ゴールを目指して走っている瞬間は本当に表情豊かで、その一瞬を切り取ることで我が子の今まで見たことのないような一面を発見できるはずです。その時にしか見られない一瞬を写真に収めて、何ものにも換えられない宝物にしてほしいですね」(水谷さん)。
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