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ビジネス2012年8月10日 10:00

重要性が高まる 企業の“ソフトウェア・ライセンス管理”、その実態と課題とは

この記事のURLhttp://japan.internet.com/busnews/20120810/2.html
著者:japan.internet.com 編集部
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多くの社員や事業所を抱え、場合によっては数千台、数万台という単位でコンピューターを動かしている企業にとって、そのコンピューターの中で動かすソフトウェアのライセンス管理というのは、コンプライアンス遵守の観点から見ても重要な課題だ。

一般的に、企業にとって多くの社員が使用するコンピューターがどのような状態に置かれ、どのような使われ方をしているのかを把握することは非常に難しく、社内規定や社内ネットワークを通じたリモートアクセスによる監視でも、社員が陥りがちなソフトウェアのライセンス違反を見抜くことは難しい。

だが、過去には大規模なライセンス違反が発覚したことにより刑事事件やソフトウェア会社との訴訟に発展したケースもあり、企業にとってライセンス管理が十分に行えないということは、社会的信頼の低下や、訴訟による損害賠償など多くのリスクを背負うことになる。

企業のパソコンを一元的に管理できる資産管理ソフトウェア「DotCOE」を開発・販売している横河レンタ・リースの中井氏によると、最近企業のライセンス違反が原因による訴訟は増加傾向にあり、企業の資産管理にとってソフトウェア・ライセンスの管理が大きな課題になっているという。「ソフトウェアメーカーは企業が使用するライセンスの管理に厳しくなっている。ライセンスの不正利用が発覚した場合には、企業が社会的信用を失うだけでなく、最大で数億円という判例があるように、多額の賠償金など経済的な損失も大きい」と中井氏は語る。

企業のソフトウェア・ライセンス問題について語る中井氏
企業のソフトウェア・ライセンス問題について語る中井氏

中井氏は、最近の企業のライセンス管理の実態について、次のように分析している。「ライセンス管理が甘くなる一番の要因は、ソフトウェアのインストール用メディア(DVD)とそれを利用可能とするのに必要なライセンス・キーが一般社員(エンドユーザー)の手の届くところにある点。そして、一般社員が利用するパソコンの権限管理が甘く、いわゆる“管理者権限”で社員が自由にソフトウェアを導入できる点だ」。つまり、社員が自分の判断で自由にメディアを取扱い、パソコンにソフトウェアを導入できる点が、ソフトの違法コピーや不正利用を許してしまっているのだ。

ただ、企業はライセンス管理の徹底に消極的であるというわけではない。その背景には、企業のシステム担当者が感じているライセンス管理の難しさがある。この点について中井氏は、「企業のシステム担当者には、ソフトの不正利用を抑止しきれないことに対する歯がゆさがあるはずだ。ソフトメーカーが監査に入って初めて不正利用が発覚するケースも少なくない。しかし、システム管理者のリソース不足や、大量のパソコンを厳格に管理することに物理的な難しさがあるのが現実だ」と語る。ライセンス管理を厳格にしたいという本音がある一方で、現実的にそれを徹底することには様々な課題があるのも事実だ。

このようなシステム担当者の課題やニーズを背景に、横河レンタ・リースの資産管理ソフトウェア「DotCOE」はシステム担当者の負担を軽減できるライセンス管理のソリューションを提供しているという。「DotCOE」は、複数の事業所や多くのパソコンを使用している環境に導入することで、ソフトウェアの導入やアップデート、パソコンの状態の管理・改善を一元的に行うことができるという特長を持つ。2012年7月には、日立システムズが提供しているライセンス管理システム「License Guard」をソリューションの一部として提供し、同システムへの取り込みを可能にするインベントリ CSV 出力機能をサポート。「DotCOE」を通じて、パソコンに導入されたソフトウェアのライセンス管理を行うことができる機能を追加したという。

中井氏によると「DotCOE」のライセンス管理ソリューションの一部として「License Guard」の提供を始めた背景には、「License Guard」が持つ辞書データの強みがあるという。「License Guard」は、ソフトウェアの「レジストリ」や実行ファイル(*.exe)の辞書と、利用規約などの各種約款をまとめた辞書という二つのデータを持つ。「License Guard」はパソコンの中の実行ファイルを読み取り、各種約款の内容を参照しながらその実行ファイルに対するライセンスの割り当てを行う。これにより、所有ライセンス数とソフトが稼働しているパソコンの数をイコールにすることができるのだ。

「DotCOE』と「License Guard」によるライセンス管理のスキーム
「DotCOE』と「License Guard」によるライセンス管理のスキーム

この「License Guard」の機能に、ソフトウェアの配信機能を持つ「DotCOE」の特性を組み合わせることにより、システム管理者はパソコンに導入されたソフトウェアとそれに割り当てられたライセンスを一元的に管理することが可能になり、冒頭に中井氏が「ソフトウェア不正利用の要因」と挙げていた、“現場でソフトウェアのインストール用メディアを自由に扱える”という状況を改善することができる。「『DotCOE』と『License Guard』を組み合わせることにより、現場にメディアを置く必要がなくなり、システム管理者は効率よく、確実にパソコンのライセンス管理が可能になる」と中井氏は語る。

同社がこのような機能を提供することになった背景には、ソリューションを利用する企業側からのニーズの高さがあるという。「以前よりコンプライアンスの観点からライセンス管理が課題として上がっていたが、ここ1年は特に、顧客のライセンス管理に対するニーズは具体化してきた。背景には、組織的な違法コピー・不正利用が摘発されたことによる社会的な関心の高まりや、実際に企業がソフトの不正利用によって様々なリスクを負ってしまったことなどが考えられる」と中井氏は語る。中には、実際に多額の賠償金を支払った企業や、株主への責任を問われた企業などもあるのだそうだ。

中井氏は最後に、企業がライセンスや著作権に対して厳しく対処する社会的責任について、「企業がルールを守らなかったときの社会的、道義的、経済的ペナルティはとてつもなく大きい。また、高価なソフトウェアを世に送り出すメーカーにとっても、ユーザーがライセンスを適切に利用しないことは死活問題になるほどの大きな損失で、ソフトウェア市場全体の衰退にもつながりかねない。今後、企業の資産管理や不正利用の撲滅の必要性はますます高まるだろう」という認識を示した。最近、ソフトウェア・ライセンス管理に対する社会の要請は厳しくなっており、企業にとってはルールの厳格な遵守が求められている。

最近ではソフトウェアメーカー側の技術向上により、不正コピーやライセンスの不正利用などは行いにくくなっているものの、依然として社員の独断でソフトウェアの不正利用を行なってしまうリスクは消えていない。企業の規模に関わらず、パソコンでビジネスを動かしている全ての企業は、改めてソフトウェアのライセンス管理について考えてみる必要があると言えよう。
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