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ビジネス2012年7月24日 11:00

快銭(99bill)の躍進から見る中国のオンライン B2B 決済

この記事のURLhttp://japan.internet.com/busnews/20120724/2.html
著者:株式会社クララオンライン 家本賢太郎
国内internet.com発の記事
快銭(99bill)は中国の大手オンライン決済サービス企業の一つで、中国でオンライン決済サービスを提供する企業が立ち上がり始めた2005年に創業しました。支付宝(Alipay)や財付通(Tenpay)が B2C のシェアを持っている状況に対し、快銭は B2B の決済領域でシェアを急速に伸ばしています。支付宝や財付通、あるいは少し領域が異なりますが銀聯といった B2C 領域の決済サービスについては日本でも多く取り上げられているものの、B2B に絞った場合には日本との接点がそもそも少なく、未だ注目されていません。

これには、日本のモバイル・インターネット企業が直接現地で決済サービスを受けることは一部の例外を除いて存在しにくい(これはオンラインサービス自体を提供するライセンスの関係による)ためでもあるかもしれません。ただ、内資企業との提携を通じて日本企業が現地でのオンライン決済サービスを利用するケースも徐々に見え始めているため、少し深堀が必要な領域です。今回は快銭のケースを取り上げることで、中国での B2B の決済代行サービスの最新状況を見てみることにします。

快銭は上海を本社として北京、広州、天津、南京などに拠点を持ち、直近では1,300名を超える従業員を擁しています。主に銀行口座やクレジットカードへの決済代行を中心として、プリペイド式携帯電話契約へのチャージ、代金回収代行など幅広い B2B の決済サービスを手掛けています。また一部ではファクタリングや約束手形の割引も取扱いを始めており、オンラインで手続きが完結するようなシステムに積極的に投資しています。中国ではこうしたサービスを提供するためには支付業務許可証という事業ライセンスが必要ですが、快銭は全国で業務が可能なライセンスを持って事業展開を進めており、地域単位でしか事業が出来ない中小の決済サービス事業者とは棲み分けがなされています。

快銭の主な顧客には、中国東方航空、中国南方航空などの航空会社(航空会社のオンラインでの航空券販売の決済を代行している)や、PICC、中国平安などの保険会社、360buy、当当網などの EC 事業者の大手企業の名前が連なっており、中国のオンライン決済自体の普及拡大にあわせて決済額が増え続けているという、様子がうかがえます。

快銭が公表しているデータや筆者のヒアリングによれば、2009年には1,000億人民元の取引額があったものが、2010年には4,500億人民元、2011年には1兆2,000億人民元に上っており、2015年には10兆人民元を超す計画であるとされます。

また、2011年にはアメリカの Square に似たスマホ対応の決済ソリューション「快刷」を発表し、既に展開を始めています。このようなサービス展開にあたっては「今まで中国では市中のお店でクレジットカード決済が出来ないお店が多かったが、快刷が普及すると消費者はより便利になるはずだ」と快銭は話しています。確かに、カード未対応という店舗は多いですし、対応していても銀聯のみというケースも多くみかけます。ただ、今のところ筆者は市中ではこの快刷を使っている現場を見かけてはいません(そもそも初めていくお店で、カードを使って決済をすることはスキミングリスクを考えると怖くてまだ抵抗感があります)。

一方で、急速にクレジットカードが普及している中で、小規模店舗のカード対応のハードルは専用端末の導入と比べて確かに低そうです。なお、ヒアリングによればこの決済端末自体は100元程度で提供しているとのことです。さらに、Western Union や CyberSource と接続し、快銭の加盟店が米ドルや香港ドルでの代金回収を行うことができる国際取引サービスにも力を入れ始めています。

快銭のロゴは赤色を基調にしていますが、従来は金色でした。まさにこれは「お金」をあらわす金色でしたが、企業活動にとって資金は血液のようなものであり、その血液をスムースに流すことが使命だという考えから、最近になってロゴを現在の色に変えています。

中国の金融システムや決済サービスは、まだ現金ベースの取引を前提としたものが色濃く残っています。やや直訳的な表現ですが、快銭はこれを「現代的金融システムから電子化金融システムへの移行期である」という表現をしています。まさに中国の B2B のオンライン決済は始まったばかり。銀行が担ってきた企業向けの資金提供という市場に対し、こうした民間企業がどこまで入り込んでいけるのかは引き続き注目です。

執筆:株式会社クララオンライン 家本賢太郎
記事提供:株式会社クララオンライン
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