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日本企業におけるビジネス・トラベルの実態と課題 -- 「ジャパン・ビジネス・トラベル・フォーラム」で調査結果を発表

japan.internet.com 編集部
2012年7月13日 / 10:00
 
東日本大震災の影響もあり、日本経済は長く不況に苦しみ、企業にとっては厳しい経営環境が続いているが、ビジネスのグローバル化などを背景に増加するビジネス・トラベル(業務出張)に対して、企業はどのように考え、あるいはマネジメントしているのだろうか。

企業のビジネス・トラベル・マネジメント(BTM)の支援やビジネス・トラベル領域のコンサルティングサービスを提供している日本旅行・アメリカン・エキスプレスは2012年7月11日、BTM の理解促進を目的として開催したイベント「ジャパン・ビジネス・トラベル・フォーラム」の中で、日本におけるビジネス・トラベル市場の動向の分析や提言をまとめた調査報告を発表した。

日本旅行・アメリカン・エキスプレス 代表取締役の竹村章美氏
日本旅行・アメリカン・エキスプレス 代表取締役の竹村章美氏

竹村氏によると、日本におけるビジネス・トラベルの規模はアメリカ、中国に次ぐ世界3位の規模で、国内旅行市場の3割を占めるという。しかし、ビジネス・トラベルは運輸、ホテルなどの市場動向を左右する存在でありながら、市場分析や具体的な対策については論じられてこなかったのだそうだ。そこで、日本旅行・アメリカン・エキスプレスでは2011年より日本のビジネス・トラベル市場の実態調査を実施。今年で2回目の発表となる。

調査は、日本国内の上場企業、大手外資系企業などを含む222社でビジネス・トラベルの管理を行なっている管理職からの回答をまとめたもの。2012年3月から4月にかけて電話や郵送調査により実施されている。

● 出張経費は増加傾向、"出張は投資"と捉える企業が増加

まず、回答した企業の2011年度の出張予算の動向について紹介された。回答した企業の約3割(29%)は、昨年の出張予算が「増加した」と回答しており、昨年の調査よりも3%増加。一方、予算を削減した企業は12%で、これは昨年の調査よりも6ポイント少ないという。

この背景について、竹村氏は「要因は海外出張の増加だ。アジア太平洋地域への出張を『増やす』と回答したのは全体の過半数(48%)を占め、出張の目的も顧客訪問や市場開拓だけでなく、『パートナーへの訪問』が増加傾向にある。背景には、東日本大震災の影響で国外に事業拠点を置く BCP 対策やそれに伴う国外のパートナーとの関係強化が考えられる」と述べた。

 過去12か月の出張予算の動向
 過去12か月の出張予算の動向
行き先別出張支出の推移
行き先別出張支出の推移

次に興味深いのが、企業の出張に対する考え方に変化が訪れているということだ。調査結果によると、出張を「企業やビジネスの成長にとって重要な役割を担っている」という認識を示したのは31%で、昨年の22%を10ポイント近く上回った。この点について竹村氏は、「日本企業にとって出張は『コスト・減らすべきもの』というイメージが強かったが、近年『出張は投資である』という考えが高まりつつある。欧米では、早くから出張経費を『投資』と捉え、そのコストに対する事業へのリターン(ROI)は大きい。日本でも同様の認識を持つ企業が増え始めている」と述べた。

「出張経費はビジネス成長のための投資」という認識が加速
「出張経費はビジネス成長のための投資」という認識が加速
 
ちなみに、回答企業の出張支出の中心は飛行機(38%)と鉄道(27%)という移動手段の経費で、合わせて65%を占める。飛行機の比率は昨年(34%)より増加しており、これは海外出張の頻度が増加していることと関係していると言える。また、「今後、管理を強化したい支出項目」の1位にも飛行機(55%)が挙がっている。

● 事後的な管理に留まっている日本の出張管理

このように、企業の出張予算は増加傾向にある一方で、その管理については大きな課題があるようである。

調査結果によると、回答した企業の出張管理は、事後的に行う経理面での確認が83%と高い一方で、出張規定の遵守度と出張経費に関する KPI を用いた分析を行なっているのは23%、個別の出張案件を抽出して経費の支出状況を検証するサンプリング分析を行なっているのはわずか8%に留まったという。そして、経費に関するレポートの入手先についても、「社内の経理システム」という回答が多く、「入手していない」という回答も23%いたという。

出張経費の管理は事後的な確認が大多数を占める
出張経費の管理は事後的な確認が大多数を占める

また、75%の企業が「自社の出張規定遵守度は90%以上」という認識を示している一方で、その出張規定の適用範囲は「日当」「業務プロセス」「移動経費」「出張経費の精算方法」など限定的なのだという。竹村氏は、「日本の出張コストの管理はまだ"会計的"で、欧米が出張前、出張中、出張後と全てのフェイズで規定を定めて管理している実態と比較すると、まだ例外的だと言える」という認識を示した。

ちなみに、企業の業務出張に関する予算策定、出張規定の策定、出張の管理などを行う「トラベルマネージャー」がいる企業は35%だった。主な業務は、「出張旅費の予算を設定する」が74%と最も多く、「出張旅費の精算」(60%)、「旅行関連業者に対する支払い」(51%)と続いている。ここでも、"会計的"な日本の出張管理の実態が浮き彫りになった。

● 旅行会社の活用にも企業により差が 企業が抱くニーズは?

調査結果によると、出張予算が5千万円を超える企業では、積極的に旅行会社のサービスを利用する傾向にあるという。旅行会社の利用率は全体で70%と高いものの、旅行会社の種類は専門的なトラベル・マネジメント・カンパニー(TMC)だけでなく、一般の旅行代理店、インハウスエージェンシーなど様々で、その活用実態は多種多様なのだそうだ。また、回答した企業の中には複数の旅行会社と取引がある企業も多いが、この点については「出張する社員に一貫したサービスが提供できないだけでなく、出張規定の遵守や危機管理の点でもリスクがある」と指摘した。

70%の企業が旅行会社と取引する
70%の企業が旅行会社と取引する

企業が旅行会社に求めている価値を聞いた質問では、大きく分けて「オンラインツール」「直接コストの削減」「出張者の安全管理」に対するニーズが高いという結果になった。

企業が旅行会社に期待する付加価値サービス
企業が旅行会社に期待する付加価値サービス

それぞれの項目で企業の実態を調べた結果によると、オンラインツールを導入している企業は欧州が60%、米国が80%と高い一方で、日本はわずか31%に留まっている。また、交渉により出張経費の削減が可能な場合が多いホテルや航空会社との法人契約については「していない」という割合が4割を超えている。そして、危機管理に関しては、企業の関心が高い一方で十分な体制が作れている企業の割合は低く、「出張中の社員といつでも連絡が取れる」と回答したのは欧州が79%である一方で日本は44%と過半数に届いていない。危機管理を TMC や旅行会社に任せている割合も低く、殆どの場合が「社内の担当部門」という回答になった。

調査結果を受けて竹村氏は、法人契約の低さについて、「航空会社との交渉には専門的な知識や豊富なマーケットデータが必要になる。また、海外のホテルなどでは現地社員が直接交渉するケースも多いが、専門的な知識を持った購買力の高い TMC を活用することで、経費の削減に繋がるだろう」と述べ、また出張時の危機管理については、「旅行会社に任せる場合、渡航先に支店がないケースもあり、十分なリスク管理ができない恐れがある」と指摘した。

● 企業の出張予算は今後も増加の傾向に

最後に、今年度以降の市場動向についての調査結果が公開された。調査によると、2012年-2013年度の出張予算は27%の企業が「増加する見込み」と回答しており、平均で3%程度の伸びを予測しているという。渡航先別のデータでは、「アジア太平洋地域」について42%が増加する見込みと回答しているほか、業種別には「卸売・小売業」の34%が増加する見込みだと回答している。

調査結果を踏まえて、竹村氏は「『出張はビジネス成長のための投資』という意識は高まっているが、日本企業の出張管理についての課題は多い。日本旅行・アメリカン・エキスプレスは、企業の出張管理をサポートすることを通じて、ビジネス・トラベルによる ROI の最大化と、企業の利益向上に貢献したい」とまとめた。


なお、同社は「ジャパン・ビジネス・トラベル・フォーラム」の会場で、出張専門のコンサルティングサービス「グローバル・アドバイザリー」を日本で提供開始すると発表している。このサービスは、アメリカン・エキスプレスが蓄積している世界中のビジネス・トラベルに関するデータや専門知識を活かして、企業のビジネス・トラベルに関する包括的な支援を行うもので、企業の担当者やインハウスエージェンシーとも協業して部分的なアドバイスや業務支援も行なっていくという。なお同社によると、このようなビジネス・トラベルに特化したコンサルティングサービスが日本で提供されるのは、初となるという。
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