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いつでもどこでも学べる“オンラインミュージックスクール”、その背景に込めた思いとは

japan.internet.com 編集部
2012年7月9日 / 11:00
 
写真やグラフィック・デザイン、英会話、資格取得など、インターネット上では余暇を活用して様々な趣味や教養を楽しめる環境が整っているが、いま「ネット上で楽器演奏を学ぶ」という"オンラインミュージックスクール"が密かに注目されているのをご存知だろうか。

当たり前の話だが、ミュージックスクールと言えば楽器を持って教室に行き、講師の先生の演奏方法を学んだり、手本に合わせて演奏の練習をするのが一般的だが、それがオンライン上で可能になったというのだ。"オンラインミュージックスクール"の仕組みや利用法、そして楽器演奏に興味がある人の効果的な活用方法などについて、「Boston School of Music」を運営するビーエスエム株式会社 BSM 事業本部長の松井 清氏にお話を伺った。

ビーエスエム株式会社 BSM 事業本部長の松井 清氏
ビーエスエム株式会社 BSM 事業本部長の松井 清氏

● "オンラインミュージックスクール"とは何か?

まず最初に、"オンラインミュージックスクール"がどのような仕組みで行われているのかについて、「Boston School of Music(BSM)」を例にお話を伺った。

松井氏によると、"オンラインミュージックスクール"は、送られてくる教材を元に学ぶ一般的な通信教育と異なり、ウェブサイト上で公開されている教材を使って楽器演奏を学ぶというもので、ブラウザベースで教材を閲覧するためパソコンだけでなくスマートフォンやタブレット端末を使えばいつでも、どこでもレッスンができるのが最大の特長だという。

BSM では、学習の順序である「カリキュラム」はあえて用意せず、受講生が自分の学びたいポイントをいつでも学べるような構成にしており、1回30分から1時間程度のレッスンで1つのポイントの学習を完結できるようになっているため、テンポよくレッスンを進められるよう工夫しているのだそうだ。

「リードギターコース」のレッスン。関心のあるものを自由に受講できる。
「リードギターコース」のレッスン。関心のあるものを自由に受講できる。

● 観て、聴いて、質問もできるオンラインレッスン

具体的な教材の内容は、テキストによる解説、練習用の譜面、そしてその譜面をインストラクターであるプロのミュージシャンが実際に演奏している音源や動画が主となっている。特に、音源や動画はレッスンを受けるために欠かせないもので、テキストと譜面だけではイメージできない曲や旋律の"完成イメージ"を聴いたり、そして演奏者の手元を観て演奏する指の動きなどをイメージしながら、自分自身がそれを練習できるというメリットがあるのだ。「時間の限られている教室でのレッスンと違い、何度も繰り返し観たり、聴いたりして深く内容を理解して練習できる点が特長だ」(松井氏)。

レッスンページの一例。動画や楽譜、解説を1ページにまとめてある。
レッスンページの一例。動画や楽譜、解説を1ページにまとめてある。

そして、一般的な通信講座では教材を観て、学んで、それで終わりだが、それだけでは終わらないのも BSM の特長だという。それが、「レッスンごとにインストラクターに質問ができる」というものだ。レッスン内容や演奏方法で疑問に感じた点があれば、テキストだけでなく、自分自身が演奏した音源データや動画を添付して質問ができる。現在のところ、追加料金や回数制限などはなく、自由に質問ができるのだそうだ。

また、質問の内容とインストラクターからの回答やアドバイスは、「フォーラム」と呼ばれる掲示板でレッスンごとに公開されて、同じレッスンを受講している他のユーザーにも共有される。「質問とアドバイスが蓄積されてそれを同じ楽器を楽しんでいる人たちで共有できる Q&A コンテンツになれば、レッスンの内容がより深く理解できるようになるだろう」と松井氏は語る。

そして、BSM ではレッスン以外にも、受講生の楽器演奏の練習をサポートするようなコンテンツを豊富に公開しているという。それが「トレーニング」と「理論」というものだ。「トレーニング」では、楽器演奏では定番の「パターン練習」や「指の動きの反復練習」を動画や音源、譜面を元にできるほか、「理論」ではレッスンで学んだ内容を、理論面からより詳しく理解するための解説が掲載されており、レッスン内容から更に踏み込んだ内容を学ぶことができるのだという。なお、演奏する楽器に合わせた専門用語の解説や演奏方法のより詳しい解説を提供するものとして、「基礎知識」「用語集」も用意しているのだそうだ。

指の動きや基本的な演奏手法を練習できる「トレーニング」
指の動きや基本的な演奏手法を練習できる「トレーニング」

● 「街中に音楽を溢れさせたい」-- BSM の背景にある想い

松井氏によると、BSM のターゲットユーザーは、趣味で楽器演奏を楽しんでいる/楽しんでいた30代後半以上の人たちなのだという。彼らの悩みは、「楽器を演奏したいけれど、時間がない」「少ないプライベートの時間を楽器の練習に割けない」「けれど、やっぱり楽器が好きで、やってみたい」というもので、彼らの切実なニーズに応えるために、少ない時間を有効活用し、場所も選ばないインターネットによるレッスンという形式にしたのだそうだ。

BSM 代表の北川 暁氏
BSM 代表の北川 暁氏
このような考えに至った背景には、同社代表で自身も BSM でギターコースのインストラクターを務める北川 暁氏の想いがあるのだという。北川氏は中学2年にギターを始め、大学卒業後にアメリカの名門であるバークリー音楽院に進学して本格的にギターを学んだ。北川氏がアメリカで見たものは、子供から老人までが気軽に楽しんでいる風景。この心から音楽を楽しむ風土を日本でも広めたいと強く思ったという。そこで、音楽をもっと楽しむ文化を育て、街中を音楽で溢れさせたい、そしてそれを日本中、世界中で実現したいという考えで、インターネットで楽器演奏を学べる"オンラインミュージックスクール"というスタイルを作ったのだそうだ。

今では、インターネット上だけでなく、リアルな場でのイベントも積極的に開催しており、ユーザー同士の交流や、普段は顔を見て話すことができないインストラクターと受講生の交流も盛んに行われているという。「将来的には、ユーザー同士の交流からバンドが生まれたり、演奏会などが開催されれば」と、松井氏は今後 BSM から生まれる音楽文化の発展に期待を寄せた。

ちなみに、イベントに参加できない遠方のユーザーでも、ネット上で簡単にアンサンブルやセッションが楽しめるコンテンツを用意しているという。それが、「BSM ライブラリ」というものだ。これは、いわば楽器版の"カラオケ"といったもので、セッションの音源から自分が演奏するパートだけを差し引いた音源を525円(無料会員は650円)で購入し、それに合わせて演奏の練習ができるというのだ。楽曲はポップスやジャズを中心に69曲を用意しており、インストラクターが演奏を担当した本格的なものだ。楽曲の紹介や演奏時のポイントなどを解説したコンテンツも楽しめるという。楽曲は今後も追加する予定だという。

自分のパートを"マイナス"したセッション音源が利用できる「BSMライブラリ」
自分のパートを"マイナス"したセッション音源が利用できる「BSMライブラリ」

● 「長く、いつまでも音楽を楽しんで欲しい」その思いは価格設定にも

松井氏によると、現在「Boston School of Music」が展開している、レッスンを受けることができる楽器の種類は現在ギター(リードギター/リズムギター)、ピアノ(ピアノ/ジャズピアノ)、サックス(アルト/テナー)、ベース、ドラムの5種類8コース。練習する楽曲は主にポップスが中心で、ジャズ、ファンク、ボサノヴァなども用意しているのだそうだ。

そして、興味深いのはその料金体型だ。一般的に、通信教育やスクールなどは高い会費が掛かったり、学習を進めるほどお金が掛かるという特徴があるが、「Boston School of Music」では毎月の基本料が525円、コースの月額費用が3,045円で、コースの受講期間(4〜6か月)が終了すると、そのコースのレッスン教材はそのあと基本料のみでいつまでも利用できるのだという。このような料金体系にした理由について、松井氏は「"レッスンが終わったら、そこでおしまい"ではなく、受講生の皆さんにはいつまでも音楽を楽しみ続けて欲しい。だから、最初にレッスン料を支払えば、いつまでも自由に学べるスタイルにした。」と語る。料金体系だけを見ても、そこには BSM の「音楽を楽しむ文化を育てたい」「音楽をもっと楽しんで欲しい」という想いが込められているのだ。

● "音楽を楽しみたい"その背中を押す存在を目指す

Boston School of Music」では今後、オンラインレッスンを軸として楽器演奏を楽しみたい人にとってのポータルサイトを目指し、音楽を楽しむ人の大きなコミュニティを生み出していきたいという。最後に、松井氏に音楽を楽しむ人やこれから楽しみたい人に向けてメッセージをもらった。

「"音楽をやりたい"という気持ちを持っていても、時間やきっかけがない人は少なくない。そういう人たちのための場所や教材を用意して、『Boston School of Music』は彼らの背中を押してあげられるような存在を目指している。押入れに楽器を眠らせている人は、ぜひまたその楽器で音楽を楽しんでみて欲しい。みんなで大好きな音楽を楽しく練習して、そしていつかイベントでみんなが集まってセッションをするのが、私たちの"夢"だ」(松井氏)。
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