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アメリカ大統領選の眺め方―データ解析力が今年の勝敗のカギ!?

シトラスジャパン株式会社 中溝俊哉
2012年7月3日 / 15:00
 
 
日本とアメリカでは、選挙へのかかわり方や感覚が全く異なる。その違いは、選挙運動に掛ける費用や方法からして異なる。アメリカ大統領選では、とくに広報宣伝に莫大な費用が掛けられるため、この機会に新たな広告手法が開発されることも多い。今年のアメリカ大統領選の候補者たちは、有権者の支持を集めるために、自分たちのメッセージを広く国民に投げかけようとあらゆる広告を使っているが、中でも注目されているのは、ネット上でのキャンペーン活動である。2008年の大統領選でも、オバマ氏によるネットを活用したキャンペーンが彼に勝利をもたらしたと言われて注目を集めたが、今回の選挙では、メッセージを届けたい有権者をピンポイントで狙い撃ちするための解析技術や広告配信技術がとくに重要視されている。各候補者は、オンラインマーケティングと広告のプロ集団を抱え込み、これまでにない新たな技術を開発導入させているようだ。

アメリカ大統領選がただの選挙でないということは、Web 担当者の方々はすでにお気づきだろう。アメリカの選挙戦で使われる最新のテクノロジーがどういうものであるか、何が国民の心をつかむ答えだったのかということを把握しておいて損はないのである。どの候補者が当選するかということよりも、企業の製品マーケティングや広告に適用できるヒントはないかという視点で遠いアメリカの選挙戦を眺めるのもいいだろう。

さて、最新技術については、さすがに選挙真っ只中で全て明らかになってはいないが、現状明らかになっている注目ポイントをいくつか紹介したい。

■注目すべき、オンラインマーケティングの専門集団(企業)は?

アメリカの民主党員も共和党員も、お抱えのオンラインマーケティング企業があるわけだが、アメリカ人も注目しているという、要ベンチマーク企業が以下の2社である。選挙戦が終われば、この企業が提供しているサービス内容が、今よりもっと明らかになると思うので簡単に紹介しておく。

◎Blue State Digital 社(bluestatedigital.com
オバマ氏の大統領選キャンペーンを支えるデジタル系戦略と技術供与を手掛けている。
◎CampaignGrid 社(campaigngrid.com
ある共和党候補者に対して、アメリカの有権者に関する膨大なデータベースを用いて、即時に解析するサービスを提供している。

■Google も選挙候補者をサポートする企業の一つ


Google は今回の大統領選で、無党派層への有効なアプローチ支援として「Four Screens to Victory」と呼ばれるマルチプラットフォームのマーケティング戦略を提供している。Google によれば、インターネットの普及は、国民の政治参加を、受動型から参加型へと転換させたという。同社の調査では、アメリカの有権者は候補者選びに際して平均して14.7もの情報源を参照しているという結果が出たそうだが、その情報収集ソースとしてネットを積極的に活用していることは想像に難くない。また、複数のデバイスを活用していることも予想できるだろう。「Four Screens to Victory」では、テレビ、パソコン、タブレット、そしてスマートフォンといった今日の主要デバイスを通して、候補者が有権者へアプローチするサポートをしているそうだ。

◎Four Screens to Victory
http://googlepolitics.blogspot.jp/2012/03/four-screens-to-victory.html

■最先端技術が集結している「Tech Field Office」

先日、オバマ氏再選を目指すチームが、何百万もの潜在的有権者に関する膨大なデータベースを利用できるようシカゴに解析部門を設置したという報道があった。年齢、性別、過去の投票行動、Facebook の連絡情報などの個人情報に応じて、予め用意したいくつもの異なるメッセージビデオを、狙いを定めて配信しているという。オバマチームはまた、シリコンバレー近くにある「Tech Field Office」と呼ばれるボランティア施設を用意し、デジタル技術分野に長けた優秀な若者たちを集めている。

◎Obama campaign opens tech field office in San Francisco
http://news.cnet.com/8301-13772_3-57378875-52/obama-campaign-opens-tech-field-office-in-san-francisco/?tag=untagged

2008年のキャンペーンでは、こうしたチーム内の若いメンバーたちが、オンライン上で寄付金を募る巧妙な「A/B テスト」のシステム開発をして多額な寄付金を集めることに成功したことは有名であるが、当時の開発者たちが立ち上げた Optimizely 社(optimizely.com)が、今回の選挙でも同様のテクニックを利用して寄付金集めを行っているので、この企業の取り組みからは目が離せないだろう。

同社はさらに、選挙活動のためのボランティア集めや、選挙集会への参加者動員など、「人々の選挙運動への関わり」を活性化させるため手法を編み出しているそうだ。そのテクノロジーの詳細やボランティア組織の規模などは公式に明らかされていないが、政界でも前例のない動きであると常に注目の的になっているので、アメリカ大統領選関連のニュースを見る時は、これらの点にも注目しておくべきだろう。

今や、高度な解析技術や広告配信システムの導入は、政治キャンペーンになくてはならないし、大統領選の成果を左右するといっても過言ではない。最先端のアドテクの博覧会と期待されるアメリカ大統領選、ぜひ Web 担当者の方々も注目あれ。

※本記事のオリジナル版 URL:http://www.citrusjapan.co.jp/global/23.html

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GLOBAL INSIGHTS では、英文ライターによるネイティブ視点のコラム、及び広告制作を通して異文化間の調整を手がけるコーディネーターによる研究レポートを発信しています。
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(執筆:シトラスジャパン株式会社 シニアコーディネーター/英文広告総合研究所所長 中溝俊哉)

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