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企業が災害から社員を守るために必要なものとは -- 防災用品オンラインショップに聞く

japan.internet.com 編集部
2012年3月26日 / 11:30
 
東日本大震災から1年が経った。震災後、消費者の防災に対する意識は高まり、再び起きるかもしれない万が一の事態に備えて食料や飲料水の備蓄などをしている人も増加した。一方で企業の中には、災害時に必要な非常食や生活用品、身の安全を守るために必要なものを集めた「非常用持ち出し袋」を用意しているところもあるが、そのニーズの実態や防災用品の販売者の考える"必要なもの"とはどのようなものなのだろうか。

防災用品を専門に扱うオンラインショッピングサイト「防災プロの地震対策ショップ」で被災者の声を元に30点の防災グッズをまとめた非常用持ち出し袋を販売している、店主で日本防災士機構認定・防災士の塚本祐平氏にお話を伺った。

● 「今まで何もしてこなかった」という企業は少なくない


まず、企業の防災対策に対する意識の変化についてお話を伺った。"業務中に万が一の事態が発生したときにどのように対応するべきか"という意識は震災前からもあったが、「今まで何もしていなかった」という企業は少なくないという。東日本大震災をきっかけに、改めてその必要性を認識した企業は多く、「震災後は企業からの防災用品の注文が約5倍に増えた」と塚本氏は語る。中には、福利厚生の一貫として会社が費用を負担して非常用持ち出し袋を社員の家庭に配布したり、安価で販売したりする企業もあるそうだ。

特に今年に入ってからは、大学の研究機関等で首都圏における直下型地震の発生確率が高まっているという研究結果を発表したことや、震災から1年経つことで改めて防災対策の重要性を認識する人が増加したことなどを受けて、問合せや注文が急増。同社の非常用持ち出し袋は5月初旬発送分まで既に予約で完売しているそうだ。

● 万が一の災害時に対して、企業は何を備えるべきか

では、企業は災害発生時に社員を守るために、どのような対策を講じる必要があるのだろうか。塚本氏によると、3日分の保存水と非常食、帰宅困難者が宿泊するのに必要な毛布やアルミブランケット、そして帰宅する社員が持ち歩く非常用持ち出し袋は必需品だという。

そして、東日本大震災をきっかけにして注目が高まったのが、「携帯電話の充電器」だという。携帯電話やスマートフォンは震災後に都市部などを中心に連絡手段や情報収集手段として役に立ったが、停電した場合や帰宅中に電池切れになるとその手段を失う。そのため、電池や電気がなくても充電できるタイプの充電器に注目が集まっているのだそうだ。ちなみに同店では手回しで発電できる充電器を販売しており、震災後の注文が増えているという。
携帯電話・スマートフォンの充電ができる手回し発電ライト
携帯電話・スマートフォンの充電ができる手回し発電ライト

● 被災地で生まれたニーズを元に企画した非常用持ち出し袋

話の中で、家庭や会社に備蓄しておくべき防災用品として非常用持ち出し袋が挙がっているが、塚本氏によると、同店で販売している非常用持ち出し袋は2004年に発生した新潟県中越地震をきっかけに企画され、被災者の声を元に30アイテムをまとめたものとなっているという。一般的な防災用品に加え、被災者からはどのようなニーズが挙がったのか、そしてそれに対して同ショップではどのような商品で応えているのかを伺った。
「防災プロの地震対策ショップ」で販売している非常用持ち出し袋
「防災プロの地震対策ショップ」で販売している非常用持ち出し袋

東日本大震災同様、中越地震では避難所に身を寄せた人や車の中で宿泊する人が多く、睡眠をサポートするグッズに対するニーズが高かったという。また、中越地震も寒い冬に発生した地震だったため、防寒用品や温かい食事に対するニーズが高く、また風呂に入れないという状況から衛生面での不快感を感じる人も少なくなかったそうだ。このようなニーズに対して、同店の非常用持ち出し袋にはエアーまくらやアイマスク、耳栓といった快眠グッズ、アルミブランケットやカイロといった防寒用品、発熱剤と水を混ぜることで食品を温めることができる食品加熱袋などを入れているという。また、トイレ不足という問題に対しては携帯できる簡易トイレを、そして先ほど紹介した手回し式の携帯電話充電器も入れているそうだ。

これらを含めて30品目も入れた非常用持ち出し袋となると、かなりの重量になりそうだが、塚本氏によると「一般的には10キロから15キロになる非常用持ち出し袋だが、高齢者などに配慮して軽量な商品を選び、重さは5キロ程度に抑えた」という。また、袋の本体は日本国内で製造しており、長期保存でも袋が痛まない強度を確保しているそうだ。「安価な海外製なら大量生産できるが、いざというときに袋が壊れては意味がない。なのでお待ちいただいても国内で生産したい」(塚本氏)。ちなみに、同店の非常用持ち出し袋は、個人、企業だけでなく市役所、大使館、大学や病院といった公共機関にも納入されているそうだ。

最後に、塚本氏に企業が取り組むべき防災対策についてアドバイスを戴いた。「必要な防災対策は人それぞれのいる環境、会社がある場所によって大きく異なる。万が一の災害を想定したシミュレーションを是非行なって欲しい。シミュレーションをすれば、"災害時に何が、どれだけ必要なのか"、"何が使えて、何が使えなくなるのか"が見えてくるはずだ」。
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