Business

ビジネス

就職活動の新たなトレンド「ソー活」 〜 企業は、学生は、SNS に何を求めているのか

japan.internet.com 編集部
2011年12月5日 / 15:00
 
 
● 変貌する就職活動戦線、「短期決戦」でいかに密度の濃い活動ができるか

今、大学生の就職活動のスタイルに変化が起きている。従来は、企業の新卒採用ページや大学生向けの就活ポータルサイト、あるいは大学の就職部や大規模な就職セミナーなどが彼らにとって重要な情報源となっているのだが、それに加えて Twitter や Facebook といったソーシャルメディアを就職活動の武器にしようとしているのだ。

ソーシャルメディアを活用した就職活動(通称「ソー活」)は、学生にとって様々なメリットがある。ひとつは企業の Twitter アカウントや Facebook ページをフォローしていれば更新された情報が随時自分のタイムラインやウォールに表示されるので、情報の取りこぼしが軽減される点、もうひとつは就活中の学生同士でネットワーキングすることにより、情報収集と共有を友人・知人同士で連携して行うことができる点、そしてもうひとつは企業によっては社員と交流できる機会もあり会社の現場の生の声を聞くことができるという点だ。「ソー活」は就職活動のための情報収集のスピードを上げ、その密度を濃くすることが期待されているのだ。

なぜ、このようなスピードと密度が求められるのか。その背景には今年度の就職活動より適用された日本経団連の「倫理憲章」見直しがある。これは就職活動が早期化しすぎることにより大学生が学業に専念できなくなる状態を是正するために決められたもので、従来は10月1日に解禁されていた企業の新卒採用情報の公開を12月1日に2か月後ろ倒し、そして2012年3月末までは「採用広報期間」として、採用選考は2012年4月1日に解禁するというものだ。これにより、学生は4か月という短い期間の間に自分の希望進路を決め、企業研究をし、選考に向けた準備をしなければならない。「短期決戦」の中でいかに密度の濃い情報を効率よく入手できるかがカギとなるのだ。情報解禁された12月1日には就活ポータルサイトがアクセス集中で相次いでダウンするなど、学生の意識は非常に高い。

これは一方で、企業にとってもいかに短い期間で自社のことを多くの学生に知ってもらい、興味関心をもってもらうかという課題にも繋がる。従来の新卒採用ページやセミナーでは伝えきれない情報を効率よく発信する手段として、ソーシャルメディアの活用が注目されており、12月1日には多くの企業が就活生向けの Facebook ページや Twitter アカウントを開設したほか、KDDI は Facebook と共同で就職活動における学生同士のコミュニケーションを支援する携帯電話・スマートフォン向けキャンペーンを開始した。また、オーシャナイズが大学生を対象に行った『2012年度及び2013年度の新卒採用活動における、就活生とスマートフォンに関する意識比較調査』でも、大学生の Facebook 活用意向は前年度就活生に比べて30%近く伸びており、ソーシャルメディアは今後新たな企業と大学生のコミュニケーションの場として注目されていくことが予想される。

● 採用広報に Facebook ページを活用する理由とは -- KDDI に聞く

それでは、情報を発信する立場である企業はソーシャルメディアの何に期待をし、どのように活用しようとしているのか。12月1日に採用広報活動用 Facebook ページを開始した KDDI 株式会社人事部の荒木良太氏にお話を伺った。
企業にとっての SNS 活用の意義を語るKDDI株式会社人事部の荒木良太氏
企業にとっての SNS 活用の意義を語るKDDI株式会社人事部の荒木良太氏

■ 「本当の KDDI の姿」を知ってもらいたい

荒木氏によると、今回採用広報活動用 Facebook ページを始めることになった背景には、やはり「倫理憲章」見直しによる広報期間の短縮が挙げられるという。学生にとっては企業研究の時間が限られることになり、いかに企業が学生との接点を増やし、学生により多くのことを知ってもらうかという課題があるのだ。

しかし、それだけでなく新卒採用ページやパンフレットだけで「本当の KDDI の姿」を伝えられていたかという同社が従来から感じていた課題があり、学生からも「職場の雰囲気や社員の働く姿をもっと知りたい」という声が多く挙がっていたことで、Facebook を通じてこの課題を解決できるのではないかと考えたのだそうだ。

KDDI の採用広報活動用 Facebook ページで中心的なコンテンツになるのは、「KDDI STYLE」と呼ばれるブログ形式の情報発信だ。これは同社の社員が日常の仕事やライフスタイルをそのまま伝えるというもので、幅広い年代、職種の社員が登場するという。「社員の個性をそのまま表現するために、社員に書いてもらった原稿は編集しないでそのまま掲載するつもり」と荒木氏。社員が職場で感じていることや仕事に対する考え方を包み隠さずそのまま掲載することで、「本当の KDDI の姿」を学生に知ってもらいたいと考えているのだ。「登場する社員の中には海外拠点で活躍する社員や研究職の社員などもいる。このコンテンツによって、説明会では伝えられない KDDI のインサイドを知ってもらえるはずだ」(荒木氏)。

KDDI の新卒採用広報用 Facebook ページ。社員の生の声を掲載する「KDDI STYLE」を中心に展開していく。
KDDI の新卒採用広報用 Facebook ページ。
社員の生の声を掲載する「KDDI STYLE」を中心に展開していく。

この「KDDI STYLE」のほかにも、採用活動に関するニュース発信や2012年度入社予定の内定者からのアドバイスなどを公開。また12月中には KDDI に興味や親しみをもってもらうことを目的としたソーシャルアプリ「先輩診断アプリ(仮称)」などを展開する予定だという。

■ 「新しいツールを勉強し、使いこなすための努力」が重要

KDDI の採用広報活動用 Facebook ページでは、学生からのコメントも受け付け、必要に応じて返信もするほか、Facebook のアンケート機能を使って学生からフィードバックを募集しページ作りに反映させるという。「学生が気軽に参加できる雰囲気を作りたい」と荒木氏。

荒木氏は Facebook を使いこなし、就職活動に活用しようとしている学生について、「新しいツールを勉強して、使いこなそうと努力する姿勢は評価できる」としている。特にテクノロジーの分野は新しい価値が次から次へと生まれ、ビジネスパーソンは新しい価値のキャッチアップと使いこなすための努力が求められる。Facebook やスマートフォンなど新しいデバイスやコミュニケーション手段を使い、ライフスタイルの変化を楽しもうとする姿勢は社会に出てからも重要なのだ。

しかし注意すべき点は、この Facebook ページはあくまで「広報活動用」のためのものであり、Facebook ページへの参加/不参加は採用選考には一切影響しない。Facebook を通じて採用選考活動も一切行わない。また、「ソー活」をする学生にとって不安のひとつが「企業に学生のプライベートを見られたら、採用に影響するのでは?」というものがあるが、荒木氏によると同社が学生とFacebook を通じて1対1で交流することは考えておらず、交流はあくまでウォール上での会話だけであり、参加している学生の Facebook ページを見に行くこともないという。

KDDI の採用広報活動用 Facebook ページの目的はあくまで「今まで知る機会の少なかった KDDI のインサイドを知ってもらう場所」という位置づけで、その目的のための学生との交流は様々な形で生み出していきたい考えだ。また、「Facebook ページに参加した学生同士で交流が生まれることは歓迎したい」とも荒木氏は語った。

荒木氏の話を聞いて感じたのは、Facebook ページを通じて、会社説明会や企業パンフレットなどで紹介するような事業展開や企業のビジョンだけではなく、職場の雰囲気や社員のライフスタイル・仕事ぶりなど「よりカジュアルな情報」を提供し、学生に「KDDI で働くということ」の本当の姿を知ってもらおうとしていることだ。学生が働く場所を選ぶ際に重要なのは、自分の考えや将来やりたいことが企業のビジョンと合っているかという点だけでなく、「その企業が『自分が働きたい場所』『自分が思う存分挑戦できる場所』であるか」という点だ。今後就職活動のトレンドとなるであろう「ソー活」は、今までの企業研究では知ることができなかった企業の真の姿を知る手段として学生の就職活動をサポートする存在となるだろう。
【関連記事】
大きく変化する就職活動、学生の武器は「つながるスマホ」と「Facebook」 -- オーシャナイズ調べ
Facebook、来春上場か?
カカクコム、Web 上の情報を共有する SNS サービス「Juke」β版を提供開始
ネットマーケティング、「10万いいね!」獲得ノウハウを活かした Facebook ページ支援サービス
なぜ中国から Facebook にアクセスできるのか

関連キーワード:
スマートフォン
 
Facebook
 
Twitter
 
SNS
 
就活
 
KDDI
 

New Topics

Special Ad

ウマいもの情報てんこ盛り「えん食べ」
ウマいもの情報てんこ盛り「えん食べ」 「えん食べ」は、エンジョイして食べる、エンターテイメントとして食べものを楽しむための、ニュース、コラム、レシピ、動画などを提供します。 てんこ盛りをエンジョイするのは こちらから

Hot Topics

IT Job

Interviews / Specials

Popular

Access Ranking

Partner Sites