Business

ビジネス

Apple が企業分野に再進出することへの期待とリスク

Rob Enderle
2011年11月24日 / 13:30
 
 
 
Steve Jobs 氏が Apple に復帰して以降、Apple は企業を対象とした販売努力を取りやめていた。だが、ここに来て、Apple 製品の企業利用が増加している。

これを Microsoft と比較してみよう。Microsoft は1990年代の終わりから2000年台の初頭にかけて一般ユーザーにフォーカスすることを止め、企業ユーザーへとその軸足を移した。Apple が同時期に一般ユーザーへとフォーカスを移したのとは対照的だ。だが、これは10年後の現在、意外な結果をもたらしている。iPhone や iPad により、企業が一般ユーザー向けの製品を利用するという新しいトレンドが生まれたのだ。その結果、Apple が企業向けの市場でシェアを伸ばし始めている。

現在は、Apple も企業向け市場に成長のチャンスがあると考えるようになっている。だが、企業向け市場にフォーカスし過ぎることが危険なのは、Microsoft の例が示す通りだ。

今週は、この問題を考えたい。

ユーザーフォーカス


我々は通常、PC、タブレット端末、スマートフォンを別々の分野の製品だと考えている。だが、実際はこれらはどれも個人用のコンピューター、つまり「PC」のバリエーションに過ぎない。サイズと処理能力に違いがあるだけだ。これら3つの製品に共通しているのは「個人」用だということだ。これらの製品が成功した理由が、個人用だったからだと言いかえてもかまわない。Apple は、「企業」ユーザーではなく「個人」ユーザーにフォーカスすることで、現在の評価を得た。これは理にかなったことだ。ユーザーにフォーカスしたツールは成功する。なぜなら、製品を選ぶのは「個人」だからだ。

だが、長い間、PC は単なる端末として扱われてきた。PC は企業によって大量にまとめ買いされ、企業からの要求に合わせて開発されるようになった。理由は簡単だ。初期の PC は高価なもので、一般ユーザーには手がでず、主な購入者は企業だったのだ。

携帯電話もスタートは同じだった。初期の携帯電話は高価で、主に企業が購入していた。だが、携帯電話の価格が下がり始めるのは早かった。すぐに一般ユーザーが購入できるものとなり、売り上げは急上昇した。そのとき以来、携帯電話のほとんどは、たとえそれが企業が購入する場合であっても、一般ユーザーによって選択されるようになったのだ。

技術人的資源委員会(EMC)の最近の会合では、多くの企業の情報システム担当役員(CIO) が Apple 製品の利用を会社内で受け入れたと語っていた。導入はかなりスムーズだったようだ。CIO達 によれば、Apple 製品を企業導入したのは、新規雇用者を惹きつけるためと、従来からの社員を引きとめることが主な理由だったそうだ。これは、Apple がユーザーにフォーカスした製品を作り続けてきたことが、正しい選択だったことを証明している。

IT部門への フォーカス


企業の IT 部門は、PC を大量に購入する。また、変化を嫌う。これが、Microsoft のような IT 部門にフォーカスした企業を動かす強力な声となり、またユーザーの声が無視される原因ともなった。ここには大きな落とし穴がある。なぜ Microsoft のユーザーは、最新版のソフトウェアにアップデートしたがらなくなったのか。Apple ユーザーであれば、最新版がリリースされればすぐに飛びつくというのに。私は、これは Microsoft が企業にフォーカスした結果だと考えている。Microsoft の製品は、IT 部門の要求に合わせて開発されることで、次第につまらないものとなっていった。

その結果、ユーザーは Microsoft の新製品からは興味を失い、現在自分が使っている製品をバージョンアップしなくなったのだ。この現象はすでに Windows 95 のときから兆候が見られたし、現在は Windows XP で大きな問題となっている。企業ユーザーは、Windows が変化することを望んでいないし、操作を1から学び直すことに苛立ちを隠さない。

だが、その人々は同時に、新しい iPad や iPhones を待ち望んでいるし、最新の Mac OS が搭載された PC を喜んで買っているのだ。理由は簡単だ。操作を1から学び直すことになったとしても、その労力を上回る魅力が Apple 製品にはあるからだ。

企業の IT 部門は安定を望んでいるが、PC ベンダーが成功するには積極的に新しい技術を提供し続けなければならない。ここには矛盾がある。IT 部門にフォーカスしたことで、Microsoft は輝きを失った。だが、エンドユーザーにフォーカスしたことで、Apple は最新製品を欲しいと思う人々を惹きつけることに成功したのだ。

結論


Apple 製品を IT 部門が集中管理できるツールを提供する、などを実行すれば、短期的には Apple は更なる成功を達成できるだろう。だが、企業フォーカスをさらに推し進めることで、一般ユーザーをないがしろにするようになれば、Apple は Microsoft と同じ道をたどることになりかねない。Apple は Microsoft のような巨大な OEM ベースを持っていない。Microsoft と同じ土俵で勝負すれば、1990年代同様、不利な戦いを強いられる。

Apple が直面している課題は、今後 Apple がさらなる成功を遂げるためには、IT 部門とユーザーの双方のニーズを満たしていかなければならないということだ。うまくやれれば、Apple はよりパワフルな企業となるだろう。だが、失敗すれば1990年代の Apple に逆戻りする。

Apple は、世界で最も賢い企業だ。Microsoft は1990年代にはそうだった。残念だが、私はまだユーザーニーズと企業ニーズの両方をバランスよく満たした企業を見たことがない。だが、実現できる企業があるとしたら、それは Apple だろう。
【関連記事】
Apple、2012年に HP を抜いて世界一の PC メーカーに
Mac の企業での採用が急増―第3四半期に44%増加
米 Poll Position、30歳未満は Apple、30歳以上は Google に将来性がある
Apple、「iTunes Match」対応の「iTunes 10.5.1」をリリース
アップル、バッテリ過熱問題で第1世代「iPod nano」の交換を開始

関連キーワード:
iPad
 
iPhone
 
タブレット
 
スマートフォン
 
Apple
 

New Topics

Special Ad

ウマいもの情報てんこ盛り「えん食べ」
ウマいもの情報てんこ盛り「えん食べ」 「えん食べ」は、エンジョイして食べる、エンターテイメントとして食べものを楽しむための、ニュース、コラム、レシピ、動画などを提供します。 てんこ盛りをエンジョイするのは こちらから

Hot Topics

IT Job

Interviews / Specials

Popular

Access Ranking

Partner Sites