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転職先の探し方 〜経済評論家・ 山崎元の転職原論(6)

経済評論家 山崎 元
2011年10月14日 / 10:00
 
■ 自分でアプローチするのが基本

現在の職場に不満を持ち、転職したいと思った場合に、転職先をどう探せばいいのだろうか。

入社したいと思う会社が最初からある場合は、きっかけを作るべく、自分でアプローチするのが基本だ。仕事で付き合った相手を辿る、学生時代などの友人・知人に仲介を頼む、会社のホームページの人材募集を見て問い合わせてみる、といった個人的な努力を先ずは考えよう。自分が働きたいと思う部署のマネージャーに会うことが出来れば理想的だ。

当面の求人がなくても、将来の候補としてマネージャーの記憶に残ることがあるし、どんな条件の人材が欲しいかについても教えてくれるだろう。優秀なマネージャーは、自分の部下になりうる候補者に常に関心があるのが普通だ。それに、自分の会社や仕事に対して真面目な関心を持ってくれる人に対して悪い印象は持たない。

もちろん、目標とする会社がライバル会社だったり、取引先だったりする場合には、ビジネス上の配慮が必要だ。特に、自社の情報を漏らしたり、悪口を言い過ぎるのは良くない。しかし、相手の会社で働くことに関して積極的な関心を示すことは構わない。

■ 紹介会社を通じて「マーケット」を知る

日頃から、いわゆる「横のつながり」(同業他社の人との付き合い)を心掛けていると、転職先へのアプローチは、案外、自分でも出来ることが多い。

しかし、そもそも自分の適職が自分でよく分からない場合や、転職したいと思っている業界の求人状況や求人の条件など、転職マーケットの状況が分からない場合は、人材紹介会社が持っている情報を利用しよう。

近年は、求人についてネットだけでもかなりの情報が手に入るようになったが、それでも、直接コンタクトしてきた相手にしか開示されない情報も多いから、ネット経由で、あるいは直接、人材紹介会社のコンサルタントと相談してみるといいだろう。

どんな職種に求人があるか。採用側が求める候補者の条件は何か、そのためにはどのような準備が有効か。求人のある職種はどんな経済的条件か。どこの会社の調子がいいか。こういった基本的な事柄について、プロである紹介会社のコンサルタントから出来るだけ多くの情報を引き出そう。

■ ヘッドハンターとの付き合い方

人材紹介会社ないしは、そこで働いている人のことを、俗に「ヘッドハンター」と呼ぶ。特に、「エグゼクティブ・サーチ」と言われるような、企業側の依頼に基づいて、特定のポジションに採用する人を探す職業がこう呼ばれることが多い。アメリカのビジネス界では、医者と弁護士とヘッドハンターにそれぞれいい友人を持て、といわれるくらい、ヘッドハンターは、ビジネスパーソンにとって身近な存在だ。これら三つの職種は、特に自分がピンチの時に役に立つ点が共通だ。

ヘッドハンターにも種類がある。転職しようとする側で厳密に区別する必要はないことが多いが、(1)特定のポジションの候補者を探すエグゼクティブ・サーチなのか、一般的な人材紹介会社なのか、(2)依頼先から報酬の一部ないし全部を前金(リテイナー・フィー)で受け取っている会社なのか、そうではないのか、(3)仕事の内容が候補者探しなのか、社員を別の会社に転職させることを請け負う「アウトプレイスメント」なのか、が主な区別だ。

エグゼクティブ・サーチの会社で特に前金で報酬を受け取るような会社からコンタクトがあった場合は、どこかの会社が、自分に興味を持ってアプローチしてきた場合が多い。基本的に話を聞いてみていいだろう。また、特定の求人が背後に無い場合にもアプローチがあるケースがあるが、こうした時にも、情報収集を兼ねて会ってみることは悪くない。

ヘッドハンターからのアプローチがあった場合に注意すべきケースが二つある。一つにには、現在の職場の様子や心境について根掘り葉掘り訊いてくるケースで、これは、ヘッドハンターを使った情報収集やアウトプレイスメントでのアプローチの場合がある。

もう一つは、履歴書を手に入れて、これをばら撒いて、成約できれば儲けものといった乱暴な仕事をするヘッドハンターだ。通常この種の履歴書は社名と氏名を匿名にして流通させるが、転職のアプローチは、ヘッドハンターを通さない方がいい場合もあるし、ライバル会社や取引先などに自分が職探しをしているという情報が漏れて不都合な場合がある。初対面の相手に直ぐに履歴書を渡さないことと、履歴書を渡す場合は、匿名であっても企業に履歴書を回付する場合は一件一件相手先毎に必ず自分に確認を取ることを条件とすることが大切だ。この条件を守らないヘッドハンターとは一切付き合わない方がいい。

アメリカ人を真似るわけではないが、ヘッドハンターと個人的に付き合うのはいいことだ。筆者も、ヘッドハンターに転職戦略を相談して進路を決めたことがある。ヘッドハンターとの付き合いでは、先方からは主に転職市場の情報を得るわけだが、反対にこちらからは候補者となる人の紹介と自分の業務の専門知識の提供(仕事に関わる技術や制度の説明やトレンドの解説など)が程よい「ギブ・アンド・テイク」となる。

■ 面接は積極的に受ける

どんな求人情報があるのかを具体的に調べてみると、必ずしも第一志望ではないが、興味はあるという程度の求人が見つかることがある。こうした場合、「第一志望ではないから」、「まだ転職すると決めたわけではないから」といった理由で面接に行くことを躊躇する人が居るが、これは勿体ない。

先ず、採用されれば入社すると決めていなくても、興味のある会社なら、面接を受けに行くことは失礼ではない。それに、実際に相手の会社の誰かに会ってみなければ、会社の実情も、職場の雰囲気も分からないことが多い。情報収集の観点からも、面接の機会は大いに利用すべきだ。

副産物として、面接の練習という意味がある。はっきり言って、第一志望の会社との面接が初回の場合、いきなり自分のベストの面接が出来る人は少ない。面接を受ける際に何が自分の課題なのかを見極めるためにも、興味のある会社・職種の募集があれば、面接に行ってみることをお勧めする。

相手企業に対するアプローチにせよ、求人に応募して面接に出向くことにせよ、結果的に採用に直結しなくとも、情報収集や経験として十分に元が取れる場合が多い。人生全般に通じる傾向だが、恥ずかしがらずに自分から積極的にアプローチしてみる方が何かと実りが多いものだ。


【筆者紹介】
山崎 元(やまざき はじめ):経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員。58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。

※この記事は、リクルートエージェントのウェブサイト「転職成功ガイド」に掲載された内容をjapan.internet.com 編集部が再編集したものです。リクルートエージェントの転職支援サービスについては http://www.r-agent.co.jp/ をご覧ください。


 
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