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台湾と中国が海底ファイバーで直接繋がる

株式会社クララオンライン 家本賢太郎
2011年10月11日 / 10:00
 
 
2011年9月、台湾の国家通訊伝播委員会(NCC、台湾の通信や放送を監督する独立行政機構)は、台湾と中国とを直接結ぶ海底ファイバーの計画について承認したことを発表しました。

これは台湾と中国が直接結ばれる初めての海底ファイバーです。台湾は長らく中国とのあいだで「三不通」と呼ばれる政策をとり、通商・通航・通郵(通信)の3つの直接のやり取りを禁止してきました。

しかし今や台北の空港に行けば中国との直行便が毎日飛び(ちなみに台湾桃園国際空港と中国大陸を結ぶフライトは10月7日の一日を例にとると、なんと45便もあります!)、2010年には事実上の自由貿易協定である ECFA の締結によって台湾と中国は密接な関係を作り出しています。そしてついに、三不通の最後の課題であった「通信」が直接繋がることになりました。

台湾の金門島と、中国・福建省の厦門を結ぶ海底ファイバー(2012年3月開通予定)
台湾と中国を結ぶ海底ファイバー
*クリックして拡大
今回計画が承認された海底ファイバーは、台湾の金門島と中国の福建省の厦門を結ぶものです。地図をご覧いただくとわかりやすいのですが、金門島は中国大陸にほぼ近い場所に位置している島で(最も近い場所同士では2キロ強しか離れていない)、既に金門島と台湾本島との間には海底ファイバーは敷設済みでした。しかし金門島では過去に中国軍との軍事的な衝突があったことや、台湾にとって重要な軍事拠点の一つであったため、金門島と厦門が海底ファイバーで結ばれることはとても象徴的な出来事です。

そしてこの海底ファイバーの計画は、政治的な距離が縮まっていることを示す意味だけではありません。増え続ける中国と台湾との間のインターネットのトラフィックがこの海底ケーブルを介して流れるようになると、香港などを介していた従来と比べて通信品質が向上し、特にモバイルコンテンツなど、通信の遅延が小さければ小さいほどよい通信内容にとっては大きなメリットがあります。

また中国と外国とのインターネットの出口(国際ゲートウェイ)は中国政府の政策によって制限されており、通信は決して安定していません。また中国国内のデータセンタにサーバーを設置して情報発信をすることにも様々な規制があるため、中国国内でライセンスが必要なコンテンツなどの場合には香港にサーバを設置するなどの対策が一般的でした。ただ、香港のデータセンタと比べて台湾のデータセンタや回線コストは全体的に安いため、今後は台湾を拠点に中国向けの情報発信をするといった活用事例も増えると予想しています。

台湾の NCC が発表した資料によれば、この海底ファイバーは2012年3月には開通する予定で、プロジェクトには中国側は中国電信(China Telecom)、中国聯通(China Unicom)、中国移動(China Mobile)の主要3社すべてが出資し、台湾側は中華電信が出資します。比率は中国側・台湾側が折半するとされており、冗長性を確保するために2本のケーブルが敷設される予定です。

具体的には、一本は金門島の古寧頭から厦門の大嶝島までの約9キロ、もう一本は金門島の慈湖と厦門の観音山の約11キロの区間です。50年前にはここを舞台とした武力衝突があったことを考えると、時代は大きく変化しているとの印象をもちます。ちなみにこの計画は既に2009年の時点で中国当局は承認していましたが、中華電信が台湾当局に申請していた内容は2年近く保留され、この間に台湾の安全保障上の問題が議論されていましたが、今回ようやく承認に至りました。

この台湾海峡を跨ぐ海底ファイバーについてはもう一本計画が進められており、台湾の淡水と中国の福州省長楽市を結ぶ約210キロにも海底ファイバーが敷設される見込みです。台湾周辺は海底を震源とする地震が数年おきにあるため、台湾の北側と南側で異なるルートを通ることは安全性の向上にも繋がることが期待されます。

筆者は直近、厦門へは2009年末に訪れ、デルの工場などを見学しました。既に厦門と金門島の間はフェリーで結ばれ、片道約30分で行き来できるようになっています。2010年にはこの航路を約127万人が利用しました。台湾が海外から中国大陸へのゲートウェイの役割も担い、名実共に「三不通」から「三通」となる日も間もなくです。

(執筆:株式会社クララオンライン 家本賢太郎)

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