スマートフォンサイトにおいて、独自で行うべき SEO 施策は存在しない。ただし、スマートフォンサイトと PC サイトそれぞれを運営している場合は、ユーザーと検索エンジンクローラをどちらの Web サイトに振り分けるかを考える必要がある。これはユーザビリティ観点から必要な施策となるが、SEO 観点からも重要な施策なのだ。

現在、Yahoo! 検索で検索を行った場合と Google で検索を行った場合、検索結果はどちらも Google のユニバーサル検索を除き Yahoo! 検索も Google ほぼ変わらない。

また、スマートフォンは PC と同じ検索エンジンを用いるため、スマートフォンで検索を行った場合は Yahoo! 検索、Google どちらで検索を行っても Google の検索結果が表示されることとなる。(2011/6/27時点)そのため、スマートフォンサイトと PC サイトの両方を運用している場合は、PC サイトのみがインデックスされる状態にしておく必要がある。

PC サイトとスマートフォンサイト両方がインデックスされた場合は重複コンテンツとなり、ランディングページの制御が行えなくなる可能性があるためだ。重複コンテンツを回避するには、検索エンジンクローラがサイトに訪れた際に表示させるページを固定し、インデックスさせたいページを1つに統一する必要がある。その際は PC サイトのみをインデックスさせることをお勧めする。

なぜならば、PC サイトは1ページあたりに記載できる情報量も多く、かつ自然発生リンク(※本稿では、ペイドリンク等金銭が伴わず自然発生的に設置されたリンクのことを指す)が集まりやすいため、検索エンジンから良好な評価を得られやすいためだ。

自然発生リンクに関しては PC ユーザーがわざわざ PC からスマートフォンサイトを閲覧するためのツールを用いてスマートフォンサイトへ訪れ、そのスマートフォンサイトのURL を取得した上でリンクを張るとは考えにくい。

また、スマートフォンユーザーがスマートフォンで URL をコピーして自分のブログへリンクを設置するという行為は手間がかかることが想定される。そのため、結果的にPCサイトの方が自然発生リンクが集まりやすく、検索エンジンからも良好な評価を得やすい状態になると考えられる。このように、ユーザーの導線をいかに確保するか、という点を考えれば後は何も必要ないといえる。

しかし、ここで一点気になるのが検索キーワードだ。従来型携帯電話のユーザーと PC ユーザーでも検索キーワードの傾向は大きく異なる。そのため、スマートフォンユーザーにおいても検索キーワードの傾向が異なる可能性が考えられる。スマートフォンユーザーは従来型携帯電話からの乗り換えユーザーが多いことは容易に想像がつく。

日本における人気のスマートフォンの多くはタッチパネル方式となり文字入力も従来型携帯電話にはない、フリック入力が主になる。まだまだ普及したてのスマートフォンであるため、多くのユーザーはフリック入力に慣れていないだろう。

しかしながら、一般的にスマートフォンユーザーは掛け合わせキーワードでの検索が多いと言われている。なぜだろうか。

これは、入力補助機能によるものと考えられる。入力補助機能とは検索キーワードを自動補完する機能で、ユーザーが入力したキーワードから検索キーワードの候補を自動的に提示するものだ。(Google ではこの機能を「オートコンプリート」、Yahoo! JAPAN では「キーワード入力補助機能」と呼ばれる)

例えば、[スマートフォン]と入力すると入力補助機能には[スマートフォン 比較][スマートフォンアプリ][スマートフォン ドコモ][スマートフォン au][スマートフォン とは]という5つのキーワードが表示される。

さらに[スマートフォン あ]まで入力すると[スマートフォン アプリ][スマートフォン au][スマートフォン i モード][スマートフォン アプリ おすすめ][スマートフォン アプリ ランキング][スマートフォン アクセサリ]といったように2語、3語掛け合わせキーワードが表示され、目的のキーワードをすべて入力せずとも入力補助機能で提示されたキーワードで検索を行うことが可能だ。

2011/6/21時点 「オートコンプリート」による表示例1
2011/6/21時点 「オートコンプリート」による表示例1

2011/6/21時点 「オートコンプリート」による表示例2
2011/6/21時点 「オートコンプリート」による表示例2

このようにユーザーがキーワードを入力しようとした場合、そのキーワードと関連性の高いキーワードを入力補助機能で提示されるため、フリック入力に慣れていないユーザーでも簡単に2語、3語など複数のキーワードを掛け合わせて検索することができる。

また、スマートフォンユーザーと PC ユーザーで大きく異なる点は検索を行うシチュエーションだ。スマートフォンはモバイル端末であるため、外出先など出先での検索が可能となる。そのため、従来型携帯電話のユーザーのようにアクション直前のニーズを検索するという場面が多く想定される。

そこで重要になってくるのがローカル検索だ。現在、地域名を含んだキーワードで検索を行った場合、Yahoo! 検索、Google 共に検索結果に地図が表示され、Google は「Google プレイス」、Yahoo! 検索は「Yahoo! ロコ」内での検索結果が表示されている。このローカル検索結果に表示されるためにはそれぞれ「Google プレイス」「Yahoo! ロコ」に自社の情報を登録する必要がある。「Google プレイス」に関しては自動的に情報が収集され、登録していなくても既に情報が登録されている場合もあるが、必ずしもウェブ管理者の意図した情報と一致しているとは限らないため、自社で再度登録することをお勧めする。

また、「Yahoo! ロコ」に関しても「Google プレイス」同様登録が必要になる。但し「Google プレイス」のように自動で情報収集等は行われないため、自社で登録を行わない限り「Yahoo! ロコ」内に情報は表示されない。実店舗を持っている場合は、「Google プレイス」「Yahoo! ロコ」共に登録しておくことをお勧めする。

前述したようにスマートフォンというデバイスの特性上、検索キーワードやユーザーニーズは今後も多種多様になることが想定される。今までの従来型携帯電話のように、今後ユーザーの最も近くにあり、気軽に検索できるツールとして様々な活用がされるだろう。

しかしながら、スマートフォンサイトに関しては、PC サイト、モバイルサイトのように専用の検索エンジンが存在しているわけではないため現段階でスマートフォンサイトへの SEO 施策というものは存在しない。(2011/6/27時点)

また、スマートフォンユーザーは掛け合わせキーワードで検索する場合が多い点も前述の通りだが、これに対しても特別な施策は必要ない。このような掛け合わせキーワードは、特殊な事情がない限り、スマートフォンユーザーだけでなく PC ユーザーも検索する可能性があるキーワードとなり得るため、今まで通り PC サイトのファインダビリティ向き上に努めるだけで充分といえるだろう。

今までビックキーワードの上位表示のみに注力してきた企業は、今後はユーザーからより見つけやすいサイト作りに取り組んでいってほしい。

(執筆:株式会社アイレップ モバイル SEO チーム SEO 第2チーム 坂本彬)

記事提供:アイレップ