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データウェアハウス活用事例

安達敏光
2009年9月7日 / 09:00
 
データウェアハウスは世界のさまざまな団体に導入されています。製造業、通信サービス・電話会社、金融機関、保険会社、流通・小売業、航空、鉄道、軍、地方公共団体などです。

データウェアハウスという概念自体は、本来企業や団体の規模とは無関係なのですが、メガカンパニーと呼ばれるような超大企業ほど、企業情報が部門ごとに分散して一貫したデータが得られなくなっているのが現実です。そのため規模の大きい企業のほうがデータウェアハウスの導入欲求が強いようです。

データウェアハウスの活用例

eBay マーケットプレース

PB(ペタバイト)級のデータウェアハウスを全社で活用

全世界で2億人近い登録ユーザー数を誇る、インターネット上でのオークションサービスを中心にビジネスを展開している米国に本社を置く企業です。毎月8,100万のユニークビジターがあり、過去1年間に8,600万人以上が実際に eBay で出品や応札を行っています。常に1.4億個が出品中であり、毎日約7百万個の新規出品があるそうです。

同社では、あらゆる部門の数千人もの社員が、何らかのデータ分析を通してビジネス動向に目を光らせ、日々の業務をこなしています。このデータ分析ユーザーが利用しているのが、2.5ペタバイトのデータを格納した RDB(リレーショナルデータベース)によるデータウェアハウスです。データウェアハウスには、eBay が運営している1万台のサーバーからのデータが集中・統合されています。

eBay ではデータウェアハウスを次のような業務で活用しています。

購買者エクスペリエンス分析、出品者エクスペリエンス分析、不正行為の監視、収益管理、サーバーの構成および配置を最適配置するための監視と分析、カスタマーサービス業務、情報セキュリティ、新サービスの立案のための利用者傾向の分析、マーケティングのための利用者行動分析など。とにかくありとあらゆる業務に及んでいます。

ネット空間でビジネスを行う同社では、データ分析がお客さまの動きや反応を知る目や耳としての使命を担います。自社の業務にフィットした機能を提供するため、市販のBIツールをベースに独自に開発したダッシュボードなどのデータ参照および分析のためのツールを使っています。
ちなみに eBay ではデータウェアハウスとは別に、ごく少数の専門家が使う XML データを格納した 6.5PB 規模のストレージマシンも保有しています。


エアラインでのデータウェアハウス活用

航空会社でもデータウェアハウスが活用されています。

もともと航空会社には非常に多くの業務システムが存在しています。運行管理、運行計画(スケジュール)、収益管理、座席在庫管理、予約、航空券発券、搭乗管理、代理店管理、乗務員管理、機材整備管理、保守部品在庫・出庫管理、顧客管理、マイレージプログラム、コールセンターシステムなど、とにかくたいへん多くの重要な業務システムが存在していて、データウェアハウスがない場合は、たいていのデータはバラバラの状態になっています。

このような航空会社がデータウェアハウスを導入して得たビジネス上のメリットを、いくつか紹介します。これらは米国のコンチネンタル航空、デルタ航空、ドイツのルフトハンザ航空の事例からの抜粋です。

データウェアハウスで高度化を実現した業務
データウェアハウスで高度化を実現した業務
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収益改善策を見出す

航空会社ではデータウェアハウスを駆使して、さまざまな角度から収益向上のための取り組みを実現してきました。

・最適な座席在庫管理とプライシング

飛行機は空席を残したまま離陸してしまうと、その座席は全く収益を生みません。空席で飛ばすくらいなら値引きしてでも全座席を売り切ってしまうほうが収益に貢献します。

しかし早い段階で値引き販売してしまうと、収入を自ら減じてしまうことになります。

そこで一つひとつの便について、予約状況、発券状況を常にウォッチし、さらに予約については、予約しているお客さま一人ひとりの過去のキャンセル行動(ビジネス客には、とりあえず予約しておいてキャンセルする人も多い。しかし、そのようなビジネス客は往々にして上客)までも加味して、完売させるためにはどのタイミングでどのくらいディスカウントを行うべきかの判断を動的にコントロールして、収益の最大化を図っています。

これは、フライトごとの予約状況データ、過去の路線別の予約、発券、搭乗実績を示す時系列データ、そして予約した顧客の過去の予約行動と実際に搭乗したかどうかのデータなどを横断的に分析できなくては実現不可能なことでした。

・オーバーブッキング(超過予約)のコントロール

座席予約の入れ方も重要なカギです。

先の項でも触れましたが、一度予約があってもキャンセルされる分もたくさんあります。当日になってキャンセルする人もいるし、連絡もなしに当日姿を見せない人(ノーショウ)もいます。

そこで航空会社ではあらかじめ、実際の航空機の座席数より多くの予約を受け付けて、極力空席を作らないようにしていますが、逆にあまりに多くの予約を取ってしまって、当日乗り切れないことも起こります。そうなった時は現金やマイレージ特別付与等の補償を提供して、他の便への振替に協力してくれる人を空港で募らなくてはなりません。

そのような事態を起こさないよう、かつちょうど満席になるように、各便の過去の搭乗実績データに加え、予約者一人ひとりの過去の明細データを参照してノーショウ(当日無断でキャンセルする)率、キャンセル率の予測を行い、動的にきめ細かく予約受付数のコントロールを行っています。

・高収益顧客の把握

そもそも航空会社では、フリクエントフライヤーズプログラム(マイレージプログラム)は実施していたけれど、真の高収益顧客が誰なのか、ということも判っていませんでした。

コンチネンタル航空でデータウェアハウスを導入して間もない頃、この分析をしたところ、マイレージをたくさん獲得していることと、自社の収益への貢献度との間にはあまり関係ないことが判明しました。

現在同社では、ビジネスクラスを正規料金で頻繁に乗ってくれるビジネス客のような真の優良顧客を正しく認識して、しかるべき対応ができるようになったということです。

・出発地から最終目的地単位での路線別収益の把握

米国やヨーロッパを飛行機で移動するとき、直行便がないため、乗り継いで最終目的地に行くというのは珍しくありません。つまり顧客にとっては、出発地と最終目的地が一つの行程として認識されているわけですが、従来、航空会社では、フライトごとの分析しかできませんでした。

データウェアハウスを使って、顧客データと発券データやフライト別収益データを統合できたことにより、出発地−最終目的地間ごとの収益性分析、顧客需要予測ができるようになったのです。

その結果、どこからどこまで移動するお客さまが多いのか、どのような出発地−最終目的地区間に優良顧客が多いのかを把握できるようになり、高収益区間に競争力のある機材を設定したり、他社と提携してコードシェア便を設定し、一層利便性の高い運行スケジュールにするというような施策に反映されています。

・その他

ほかにも、例えば悪天候で減便や到着地を変更する必要がある時、出発予定の各フライトの収益データを即座に参照して、儲かる飛行機から優先して飛ばすなど、収益へのマイナス影響をなるべく小さくするよう意思決定を行っています。

あるいは空港カウンターでは、予約状況とチェックインのリアルタイムデータと、過去の分単位でのチェックイン客到来データを照らし合わせて、当日のカウンターへの利用客到来の波を予測。カウンター要員と荷物ステーションの要員配置をきめ細かい時間割りでダイナミックに最適化して窓口の待ち行列を減らし、顧客の待ち時間短縮と、職員が手持ち無沙汰でムダに過ごす人件費削減を両立させています。

エアラインを運行するために欠かせない基本業務については、どの航空会社でも専用システムを使って管理していますが、そこで発生するデータの多くは共有されず、まして明細データを統合するなんてことは、一昔前には考えられないことでした。

紹介した事例はごく一部に過ぎませんが、このような、従来の業務システムでは実現困難だった、一歩進んだ顧客サービスと収益改善の実現に、データウェアハウスが大きな役目を果たしています。

記事提供:日本テラデータ株式会社
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